• ホーム
  • dx
  • 【実践】画像から動画へ。AIで静止画に命を吹き込む最新ワークフローと制御の極意
dxdx

【実践】画像から動画へ。AIで静止画に命を吹き込む最新ワークフローと制御の極意

【実践】画像から動画へ。AIで静止画に命を吹き込む最新ワークフローと制御の極意
手元にある商品写真やイラストを、AIを使って高品質な動画へと変換する方法を網羅的に解説します。本記事は、システム・アプリ開発を行っているGMOデザインワンDX事業本部の事業責任者・泉川学監修のもと、RunwayやLumaといった最新ツールの使い分けから、狙い通りの動きを作るプロンプト技術、さらにはビジネス導入に欠かせない著作権の注意点までを詳しく紹介します。制作コストを抑えつつ、視聴者の目を引く「動くビジュアル」を量産したいマーケティング担当者やディレクター必見の内容です。

目次


1. 「画像から動画(Image-to-Video)」の基本原理

これまで静止画でしかなかった写真やイラストが、AIの力で魔法のように動き出す時代がやってきました。 

「Image-to-Video(イメージ・トゥ・ビデオ)」は、一枚の画像からその前後にあるはずの「動き」をAIが予測して作り出す技術です。 

まずは、この革新的な技術がどのような仕組みで成り立っているのか、そして現在どのようなツールが主流なのか、その基礎知識を深めていきましょう。

1-1. 静止画の要素を解析し、時間軸の動きを予測する仕組み

画像から動画を作るAIの内部では、高度な「予測」が行われています。 AIは読み込んだ画像の中に何が写っているのか、例えば「人物」「空」「水」といった要素をバラバラに認識します。 

次に、それらが物理的にどう動くのが自然かを、過去に学習した膨大な動画データと照らし合わせます。 

「髪の毛なら風に揺れるはずだ」「水面なら波が立つはずだ」といった時間的な変化を、数秒先の未来まで描き足していくのです。 

分かりやすく言えば、パラパラ漫画の「最初の一枚」を渡されたAIが、その後のページをすべて自動で描き上げているようなイメージです。 

この仕組みを理解すると、なぜAIが時々不思議な動きをするのか、その理由も少しずつ見えてくるようになります。

1-2. 主要なAIツール(Runway, Luma, Kling, Pika)の特徴と使い分け

現在、動画生成AIの世界ではいくつかの強力なツールが競い合っています。 

「Runway(ランウェイ)」は業界の先駆けで、細かい設定変更ができるプロ向けの機能が充実しています。 

「Luma(ルマ)」は非常に滑らかで実写に近い動きが得意で、初心者でも使いやすいのが魅力です。 

「Kling(クリン)」は中国発のAIで、非常に長い時間の動画生成や、人間のような複雑な動きの再現度が高いことで注目を集めています。 

「Pika(ピカ)」はアニメ調の表現や、コミカルな動きを作るのが得意なツールです。 

これらのツールにはそれぞれ「得意分野」があり、自分が作りたい動画の雰囲気に合わせて最適なものを選ぶことが、完成度の高いコンテンツを作るための近道となります。

1-3. テキストから作る動画(Text-to-Video)とのクオリティの違い

動画生成には、言葉だけで指示を出す「Text-to-Video(テキスト・トゥ・ビデオ)」という方法もあります。 

しかし、ビジネスの現場では「画像から作る方法」の方が圧倒的に有利な場面が多いです。 

なぜなら、言葉だけでは「商品の正確な形」や「ブランド特有の色使い」をAIに完璧に伝えるのが難しいからです。 

元となる画像があれば、AIはそれを「守るべき設計図」として認識するため、情報のズレが少なくなります。 

テキストから作る動画が「AIにお任せの福袋」だとしたら、画像から作る動画は「オーダーメイドの特注品」と言えるでしょう。 

特にブランドイメージを大切にしたい場合や、特定の商品を宣伝したい場合には、高品質な静止画をベースに動画化する手法が最も適しています。

2. 高品質な動画を生むための「元画像」の選び方

AI動画の品質を左右する最大の要因は、実は「入力する画像の質」にあります。 

AIにとって動かしやすい画像と、どうしても不自然な結果になりやすい画像には明確な違いが存在します。 

ここでは、後から修正する手間を減らし、最初からクオリティの高い動画を手に入れるための「素材選び」のポイントを整理していきましょう。

2-1. AIが動きを認識しやすい構図と被写体の条件

AIがスムーズに動画を作れる画像には、「空間の余裕」があります。 

例えば、人物が画面いっぱいに映っているよりも、少し背景に余裕がある構図の方が、AIは「人物が動いた後の背景」を描きやすくなります。 

また、被写体が複雑に重なり合っていないことも重要です。 「何が主役で、何が背景か」がはっきりしている画像ほど、AIは迷わずに動きを付けることができます。 

写真のピントがしっかり合っていて、境界線がくっきりしているものを選ぶと良い、と考えると分かりやすいでしょう。 

逆に、霧がかかっていたり、ピントが大きくボケていたりする画像は、AIが形を捉えきれずにドロドロとした不自然な動きになりやすいため、注意が必要です。

2-2. 解像度とアスペクト比が動画の仕上がりに与える影響

「解像度(かいぞうど)」とは画像のきめ細かさのことで、「アスペクト比」は縦と横の長さの比率のことです。 

元画像の解像度が低いと、動画になった際にノイズが目立ち、安っぽい印象になってしまいます。 

また、アスペクト比は「最終的にどこで公開するか」を意識して選ぶ必要があります。 

スマートフォンの縦画面で見る動画を作りたいのに、横長の写真を入力してしまうと、AIが無理に引き伸ばしたり、上下を無理やり描き足したりして不自然さが増す原因になります。 

最初から「縦16:横9」や「正方形」など、動画の用途に合わせた比率の画像を準備しておくことが、プロらしい仕上がりへの第一歩です。 

素材を準備する段階で最終形を見据えておくことが、作業の効率を大きく引き上げます。

2-3. 写真、イラスト、3DCGなどスタイル別の得意・不得意

AIは、写真のような「実写スタイル」の動画化には非常に高い精度を誇ります。 

現実世界の物理法則(重力や光の反射など)をたくさん学習しているため、違和感のない動きを作りやすいのです。 

一方で、抽象的なイラストや、線が極端に細い絵などは、AIが「これをどう動かせばいいのか」を判断できず、形が崩れてしまうことがよくあります。 

3DCG(コンピュータグラフィックス)のような立体感のある画像は、AIにとっても「奥行き」が理解しやすいため、非常に相性が良いと言えます。 

自分の持っている素材がどのスタイルに属するのかを把握し、もし苦手なスタイルであれば、あえて動きを控えめにする指示を出すなどの工夫が必要です。 

スタイルの特性を知ることで、失敗を未然に防ぎ、素材の良さを最大限に活かせるようになります。

3. 動画の動きを制御する「モーションプロンプト」の技術

画像を入れるだけで動画は作れますが、自分の思い通りの動きに近づけるには「モーションプロンプト」が欠かせません。 

これは「どのような動きをしてほしいか」を言葉で追加指示するテクニックのことです。 

ただ漠然と「動かして」と言うのではなく、具体的な指示を出すことで、AIはより正確にあなたの意図を反映した動画を作成してくれます。

3-1. 物理法則を意識した動きの指定(歩く、流れる、爆発する等)

動画にリアリティを持たせるためには、現実に起こる現象を具体的な言葉で伝えるのが効果的です。 

「水が穏やかに流れる」「炎が激しく燃え盛る」「髪がそよ風に揺れる」といった具合に、動きの強弱や質感を言葉に盛り込みます。 

AIは「歩く(Walk)」という単語一つでも、それが「ゆっくり散歩している」のか「急いで走っている」のかで、生成するフレーム(動画のコマ)の中身を大きく変えます。 

物理的な動きを具体的に指定することで、AI特有の「ヌルヌルとした不思議な動き」を、人間が納得できる「自然な動き」へと飼い慣らすことができるのです。

3-2. カメラワークの制御(ズーム、パン、ドリーショット)の記述法

被写体そのものを動かすだけでなく、「カメラ自体をどう動かすか」という指示も重要です。 

「ズーム(Zoom)」は被写体に近づいたり遠ざかったりする動き、「パン(Pan)」はカメラの向きを左右に振る動きを指します。 

「ドリーショット(Dolly Shot)」はカメラ自体が移動しながら撮影する手法で、奥行き感を出すのに最適です。 

これらのカメラ用語をプロンプトに加えることで、まるでプロのカメラマンが撮影したような映画風の演出が可能になります。 

例えば、ただの商品の静止画でも、ゆっくりとカメラが寄っていく「スローズーム」を指示するだけで、高級感のある紹介動画に変わります。 

カメラワークを操ることは、視聴者の視線をどこに誘導するかをコントロールすることであり、マーケティングにおいて非常に強力な武器となります。

3-3. 感情や雰囲気(エモーショナルな揺れ、緊張感)を動きで表現するコツ

動きには、その場の「空気感」を伝える力もあります。 

「 cinematic lighting(映画のような光)」「 dreamy atmosphere(夢のような雰囲気)」といった抽象的な言葉を添えると、AIはそれに合わせて動きのテンポや質感を調整します。 

例えば、ゆったりとした浮遊感のある動きは「癒やし」や「高級感」を演出し、素早くキレのある動きは「ワクワク感」や「エネルギー」を伝えます。 

言葉の響きが持つイメージを動画のテンポに同期させることで、見た人の心に刺さるエモーショナル(感情的)な映像が完成します。 

技術的な指示の最後に、このような「雰囲気」を表す言葉を一つ添えるだけで、動画全体の統一感が増し、ブランドのメッセージがより深く伝わるようになるでしょう。

4. 高度な制御機能:ブラシツールとリージョン指定

プロンプトだけでは、どうしても「画面のここだけを動かしたい」という細かい要望が伝わりにくいことがあります。 

最新のAIツールには、マウスで直接画面を塗りつぶして指示を出す直感的な機能が備わっています。 

この「視覚的な指示」を使いこなすことで、AIへの命令精度は飛躍的に高まり、制作のストレスが大幅に軽減されるはずです。

4-1. 動かしたい場所だけを指定する「モーションブラシ」の活用法

「モーションブラシ」とは、画像の中で動かしたい部分だけをペンでなぞるように指定する機能です。 

例えば、草原に立っている人物の画像で、人物は止めたまま「背景の草だけを揺らしたい」という場合に、草の部分だけをブラシで塗ります。 

これにより、AIは塗られた場所以外を固定しようとするため、意図しない場所がグニャリと動いてしまう現象を防げます。 

この機能の登場により、「全体が勝手に動いてしまう」というAI動画特有の悩みが解決され、静止画の良さを活かしつつ、特定のポイントだけに注目を集める演出が簡単に行えるようになりました。

4-2. 複数の異なる動きを一枚の画像内で共存させるテクニック

高度なツールでは、複数のエリアに対してそれぞれ異なる動きの指示を出すことができます。 

例えば、画面左側の川は「下に流れる」ように指定し、中央の木々は「横に揺れる」ように、そして右側の雲は「ゆっくり右へ動く」ようにといった個別の設定が可能です。 

これを「リージョン指定(領域ごとの指定)」と呼びます。 

バラバラの動きを一画面の中で矛盾なく組み合わせることで、動画の密度が上がり、一目で「手が込んでいる」と感じさせる高品質な映像になります。 

特に風景動画や、複数の商品が並んでいる広告などでは、この機能を使うことで、静止画から作ったとは思えないほどの生命感を与えることができるようになります。

4-3. 特定のオブジェクトを固定し、背景だけを動かす方法

ブランドのロゴや商品のパッケージなど、絶対に形を崩したくない「固定したい対象物」がある場合にこのテクニックが役立ちます。 

動かしたい場所を指定するのとは逆に、「動かさない場所」を保護する指示を出します。 

これにより、背景だけがシネマティックに(映画のように美しく)動いている中で、商品はピタッと止まって細部まで鮮明に見えるという、非常にクオリティの高い動画が完成します。 

これは「シネマグラフ」と呼ばれる技法に近いもので、視聴者の視線を商品に釘付けにする効果があります。 

AIの「何でも動かそうとしてしまう」という性質を逆手に取り、あえて止めるところを作ることで、映像にプロらしいメリハリが生まれます。

5. 動画の長さと一貫性を保つ編集テクニック

AIが一度に生成できる動画は、通常数秒から十数秒程度と短いものです。 

しかし、実際の業務ではもっと長い動画が必要だったり、複数のカットを繋げてストーリーを作ったりする必要があります。 

生成した動画をどう管理し、どう繋げていくかという「編集」の視点を持つことで、AIは単なる素材作りツールから、本格的な映像制作ツールへと進化します。

5-1. 動画を延長(Extend)してストーリーを繋げる際の注意点

生成した動画の最後のフレームを「最初の一枚」として次の動画を作る機能を「延長(エクステンド)」と呼びます。 

これを使えば、4秒の動画を8秒、12秒と伸ばしていくことが可能です。 

ただし、延長を繰り返すと、徐々に被写体の顔が変わったり、背景が別の場所に変化したりといった「ズレ」が生じやすくなります。 

これを防ぐには、各ステップで元のプロンプトを少しずつ調整し、AIに「これまでの流れ」を思い出させることが大切です。 

高校生が物語の続きを書くときに、前の章の設定を忘れないように読み返すのと似ています。 

一気に長い動画を作ろうとせず、短く区切って品質を確認しながら丁寧に伸ばしていくのが、失敗しないコツです。

5-2. キャラクターの顔やディテールを崩さないためのシード値管理

AIには「シード値」という、生成のベースとなるランダムな数字が割り当てられています。 

同じプロンプトを使っても、このシード値が変わると、生成される動画の内容は全く別物になってしまいます。 

逆に言えば、気に入った動画ができた時のシード値を固定したり控えたりしておくことで、似たような雰囲気の動画を再現しやすくなります。 

キャラクターを登場させる場合、シード値を管理することで「さっきと顔が違う」というトラブルを最小限に抑えられます。 

これは実験のレシピを記録しておくようなもので、プロの現場では「再現性(さいげんせい)」、つまり何度やっても同じ結果が出せる状態を作ることが、効率化の鍵となります。

5-3. フレームレートの調整とスローモーションの効果的な使い方

「フレームレート(fps)」とは、1秒間に何枚の画像を使うかという数値です。 

この数値が高いほど動画は滑らかになりますが、AI動画の場合はあえて「スローモーション」で書き出すことで、動きの不自然さを誤魔化し、優雅な印象を与えるテクニックがよく使われます。 

特に、粒子が舞う様子や液体が跳ねるシーンなどは、ゆっくり見せることで情報の密度が高まり、視覚的な満足度が上がります。 

また、AIが生成した後に、一般的な動画編集ソフトを使って速度を微調整するのも有効です。 

AIで「素材」を作り、編集ソフトで「リズム」を整える。 

この二段階のステップを踏むことで、AI特有の「違和感」が消え、人間が心地よいと感じる映像のリズムが生まれます。

6. AI動画制作における著作権と倫理ガイドライン

動画という表現は、静止画以上に強い影響力を持ちます。 

それゆえに、権利関係や倫理的なルールを守ることは、個人にとっても企業にとっても非常に重要です。 

「知らなかった」では済まされない法的なトラブルを避けるために、最低限押さえておくべき知識と、社会的なマナーについて詳しく見ていきましょう。

6-1. 実在の人物や特定の著作物を含む画像を使用する際のリスク

実在する芸能人やインフルエンサー、あるいは有名なキャラクターの画像を使ってAI動画を作ることは、大きな法的リスクを伴います。 

「パブリシティ権(有名人の名前や肖像が持つ経済的価値を守る権利)」や「著作権」の侵害になる可能性が高いためです。 

また、他人が撮影した写真を勝手に動画化することも避けるべきです。 高校生の皆さんにも知っておいてほしいのは、たとえ悪意がなくても、インターネットに公開した時点で法律の対象になるということです。 

ビジネスで利用する場合は、自社で権利を持っている素材か、商用利用が許可されているフリー素材のみを使用することを徹底しましょう。 

安全な素材を使い、正当な手続きを踏むことが、クリエイティブな活動を長く続けるための基盤となります。

6-2. 生成された動画の商用利用権とプラットフォーム別の規約

AIツールで作成した動画を仕事(商用利用)で使えるかどうかは、そのツールの「利用規約」によって決まります。 

無料プランでは商用利用が禁止されていたり、有料プランに入っている期間だけ権利が認められたりと、条件はツールごとにバラバラです。 

また、AIが学習に使用したデータに問題がないことを保証しているかどうかも、企業がツールを選ぶ際の判断基準になります。 

「作った動画をYouTube広告に使ってもいいのか」「会社のホームページの背景にしてもいいのか」など、用途に合わせて規約を熟読する必要があります。 

規約は英語で書かれていることも多いため、翻訳ツールなどを使い、権利の所在をはっきりとさせてから実務に投入するようにしましょう。

6-3. ディープフェイク防止とAI生成物であることの明示義務

「ディープフェイク」とは、AIを使って本物そっくりの偽動画を作ることで、情報の改ざんやなりすましに悪用されることが社会問題になっています。 

こうした悪用を防ぐため、最近では生成した動画に「これはAIで作られました」というマーク(ウォーターマーク)を入れたり、文章で明記したりすることが推奨、あるいは義務付けられつつあります。 

特に、ニュースのように見える映像や、誤解を招きやすいリアルな映像を公開する際は、視聴者に「これはAIによる創作物である」と正しく伝える誠実さが求められます。 

技術を使う側の私たちが高いリテラシー(情報を正しく扱う能力)を持つことで、AIは社会にとって脅威ではなく、豊かな表現手段として受け入れられるようになります。

7. ビジネス現場での活用シーンと導入事例

理論を学んだ後は、実際にどのようにAI動画が使われているのか、具体的な活用イメージを膨らませてみましょう。 

高額な機材や専門スタッフがいなくても、AIを賢く使うことで、これまでは諦めていたようなハイクオリティな動画施策が可能になります。 

代表的な3つのビジネスシーンを紹介します。

7-1. 商品画像からSNS広告用のショート動画を高速量産する

スマートフォンの普及により、SNS(InstagramやTikTokなど)での動画広告の重要性はますます高まっています。 

これまでは一枚の「商品写真」を載せるだけだった投稿も、AIで背景を動かしたり、商品に光を走らせたりするだけで、ユーザーの目に留まる確率が数倍に跳ね上がります。 

何よりのメリットは「量産」ができることです。 

同じ画像から、異なるカメラワークの動画を何パターンも作り、どれが最も反応が良いかを試す「A/Bテスト」も、AIなら数分で準備が整います。 

高校生が部活動の勧誘ポスターをデジタルで作るような感覚で、企業も日々新鮮な動画コンテンツを発信し続けることができるようになります。 

低コストで「動き」という付加価値を加えられるこの手法は、現代のマーケティングにおいて最強の武器の一つです。

7-2. コンセプトアートに動きをつけ、プレゼンの説得力を高める

企画会議やクライアントへのプレゼンテーションにおいて、「まだ形になっていない未来のイメージ」を伝えるのは大変です。 

言葉や静止画だけでは伝わりにくいプロジェクトの完成イメージを、AI動画にして見せることで、関係者の理解度は劇的に向上します。 

例えば、新しい商業施設の完成図を動画化して、人々が行き交う様子を見せれば、プロジェクトの「熱量」まで伝えることができます。 

「完成したらこんなにワクワクする場所になります」というメッセージを視覚的に体験させることで、企画の承認率が高まるだけでなく、チーム全体のモチベーションアップにも繋がります。 

AI動画は、未来を先取りして見せるための「タイムマシン」のような役割を果たしてくれるのです。

7-3. Webサイトの背景(ヒーロー動画)としての活用とファイル軽量化

Webサイトを訪れた瞬間に目に飛び込んでくる、全画面の「ヒーロー動画」は、ブランドの世界観を瞬時に伝える効果があります。 

しかし、実写動画はファイルサイズが大きくなりがちで、サイトの表示速度を遅くしてしまうのが悩みでした。 

AIで生成した短い動画を、違和感なくループ(繰り返し再生)させるように加工すれば、ファイルサイズを抑えつつ、印象的なWebデザインが実現できます。 

「静止画だと思ったら、雲や水面が微かに動いている」というさりげない演出は、サイトの高級感を演出し、滞在時間を延ばす効果も期待できます。 

最新の圧縮技術とAI動画を組み合わせることで、デザイン性とパフォーマンス(使い心地)を両立させた、次世代のWeb体験を提供することが可能になります。

8. 次世代のAI動画技術と将来の展望

AIの進化は止まることを知らず、今この瞬間も新しい技術が次々と生まれています。 

これまで別々だった「映像」「音」「空間」の生成技術が一つに溶け合い、私たちの創造力はさらに自由になっていくでしょう。 

少し先の未来、動画制作がどのように変化していくのか、その可能性を覗いてみましょう。

8-1. 音声生成AIと連携した「音のある動画」の自動生成

現在の動画生成AIの多くは「映像のみ」ですが、今後は映像の内容をAIが自動で読み取り、それにぴったりの「音(BGMや環境音)」を同時に作り出す機能が普及していきます。 

「風が吹けば風の音がする」「靴音が響けばコンクリートの音が鳴る」といったことが、人間が音付け作業をしなくても自動で行われるようになります。 

さらに、登場人物の口の動き(リップシンク)に合わせて、自然な多言語の声を当てる技術も実用化が進んでいます。 

視覚と聴覚が完全に統合されることで、AI動画の没入感(ぼつにゅうかん、その世界に入り込んだような感覚)はこれまでの比ではなくなるでしょう。

8-2. リアルタイム生成によるインタラクティブな動画体験

あらかじめ作られた動画を見るだけでなく、見る人の反応や選択に合わせて、その場で動画が生成される「インタラクティブ(双方向)」な体験も現実味を帯びてきました。 

例えば、Webサイト上でユーザーが選んだ言葉に合わせて、その場で背景動画がリアルタイムに書き換わるといった演出です。 

これはゲームの技術と画像生成AIが融合した形であり、広告や教育の現場で驚くような体験を生み出す可能性があります。 

「いつも同じ内容が流れる動画」から「見るたびに、見る人に合わせて変化する動画」へ。 動画というメディアの定義そのものが、AIによって書き換えられようとしています。 

誰もが自分だけの体験を持てる時代は、私たちのコミュニケーションのあり方を根本から変えていくはずです。

8-3. 映画・アニメーション制作フローの劇的な変化

これまで何百人ものスタッフと膨大な予算を必要としていた映像制作が、少人数のクリエイターとAIの協力によって実現できるようになります。 

AIは「面倒な作業(中割りアニメーションの作画や、背景の細かい描き込みなど)」を引き受け、人間は「物語の構成や演出」といった最もクリエイティブな部分に集中できるようになります。 

これはプロの現場だけでなく、個人のクリエイターにとっても革命です。 

自分の頭の中にある壮大な叙事詩を、たった一人でアニメーション映画に仕上げて世界中に発信する。 

そんなことが可能な時代が、AIの進化によって現実のものとなりつつあります。 

技術が民主化される(誰もが使えるようになる)ことで、これまで埋もれていた才能が次々と花開く、新しいクリエイティブの黄金時代が幕を開けるでしょう。

9. まとめ:静止画の枠を超え、新しい物語を創り出すために

画像から動画を生み出すAI技術は、私たちが持つ「静止した思い出」や「固定されたアイデア」を、生き生きとした物語へと変える魔法の杖です。 

しかし、その杖を振るうために必要なのは、最新のAIツール以上に、あなたの「何を表現したいか」という熱意と、正しい知識に基づいたコントロールです。

9-1. AIを活用した「動くビジュアル」が拓くクリエイティブの可能性

動画は、静止画よりも情報の密度が高く、人々の感情を揺さぶる力が強い媒体です。 

AIのおかげで、誰もがこの強力な表現手段を手に入れられるようになったことは、人類の創造性の歴史において大きな一歩と言えます。 

これまでコストやスキルの壁で諦めていたアイデアも、まずは一枚の画像からAIに命を吹き込ませてみることで、形にできるかもしれません。 

「動くこと」が生み出す新しい価値に注目し、失敗を恐れずに様々な表現に挑戦してみてください。 

あなたの小さな試行錯誤が、誰も見たことのない新しいビジュアル表現の扉を開くきっかけになるはずです。

9-2. 継続的な学習とツールのアップデートに対応する重要性

AIの世界は非常に変化が速く、今日使っている最強のツールも、数ヶ月後にはさらに優れたものに置き換わっている可能性があります。 

特定のツールの使い方に固執するのではなく、「AIにどう指示を出せば、どう動くのか」という根本的な原理原則を学び続ける姿勢が、あなたを長く助けてくれるでしょう。 

新しいゲームのルールを覚えるように、最新技術を楽しみながらキャッチアップ(追いかけること)していってください。 

常に学び続け、柔軟に自分をアップデートしていく。 

その姿勢こそが、AIという荒波を乗りこなし、自分らしい物語を創り続けていくための最も大切なスキルとなります。


プロフィール画像
記事を書いた人
泉川 学

小売業界でブランド品のバイヤーなどを経験したのちIT業界に転身。 株式会社ライブドアのインフラ事業の営業責任者を担当。 ベンチャー企業の運営に関わった後、2016年にデザインワン・ジャパン(現GMOデザインワン株式会社)へ入社。 「エキテン」事業の営業・サポート部門責任者を務めたのち受託開発事業の立ち上げを担当し、 現在は執行役員兼エキテン事業、受託開発事業とその所管グループ会社を統括。

contact お気軽にご連絡下さい。