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インタビューインタビュー

労働法務の常識を変えるデータベース「Labor Field」がAI検索を実装。開発の「壁」を共に乗り越えたGMOデザインワンの伴走支援

Labor-Field
法律・人事労務の専門知識を標準化し、サブスクリプション型で提供する「Labor Field株式会社」。同社が運営するリーガルサービス支援データベースに、自由な文章で質問ができる「AI検索機能」が実装されました。開発の裏側には、オフショア開発におけるコミュニケーションの課題や、AI特有の精度の壁、そして法律を扱うがゆえの「非弁行為」という法的なハードルがありました。これらの困難をどのように乗り越え、リリースに至ったのか。代表の西脇巧氏に詳しくお話を伺いました。

目次

西脇 巧 氏
プロフィール
Labor Field株式会社 代表取締役・弁護士 西脇 巧 氏

自身が弁護士として法律事務所を運営する中で感じた課題を解決するため、2021年にLabor Field株式会社を設立。弁護士・元労働基準監督官としての知見も活かし、2023年4月に労働分野特化型のリーガルデータベースサービスをリリース。

労働分野に特化。専門家監修の「質の高いナレッジ」を全国へ届けるサブスク事業

LABOR Field

ーまずは、Labor Field様の事業内容について詳しく教えていただけますでしょうか。

弊社は、主に「労働分野」に特化したリーガルサービスの支援を行っています。弁護士や社会保険労務士(社労士)といった「士業」の方々、あるいは企業の労務担当者様向けに、法律相談や労務相談のQA回答をナレッジとして蓄積したデータベースを、サブスクリプション形式で提供しています。

ーなぜ、数ある法務分野の中で「労働分野」に着目されたのでしょうか。

私自身が労働分野を中心に担当している弁護士であり、元労働基準監督官でもあるという背景もありますが、最大の理由は「雇用」がすべての企業にとって切り離せない問題だからです。人を使う以上、どの企業でも必ず労務の悩みやトラブルは発生し得ますし、その需要がなくなることはありません。

しかし、従来のリーガルサービスには「書籍や専門書に頼りすぎていて調べるのに時間がかかる」「地方だと専門性の高い士業にアクセスしづらい」といった地域格差や、専門分野の偏りという課題がありました。一方で、Web上に無料で公開されている情報や汎用的な生成AIの回答は、根拠(ソース)が不確かであったり、ハルシネーション(嘘の回答)のリスクがあったりして、実務でそのまま使うには危険が伴います。

そこで、裁判例や法令、行政解釈、最新の文献まできちんとリサーチし、弁護士と元行政官が監修した「確かな情報」を標準化・データベース化して、必要な時にいつでも取り出せるようにしたのが、弊社のサービスです。

他社オフショア開発での挫折。AI特有の「品質」と「コミュニケーション」の壁

ー2023年にサービスをリリースされた後、新たにAI機能を実装しようと考えられたきっかけは何だったのでしょうか。

リーガルテックの進化のスピードは凄まじく、AIの実装は業界のトレンド、あるいは当たり前のインフラになりつつありました。弊社も時代に取り残されないよう、AIの実装を決めました。

当初は、キーワード検索やカテゴリー分類でアクセス性を高めていましたが、コンテンツが1,000件、2,000件と増えていくと、キーワードが完全に一致しないとヒットしなかったり、関係のないものまで大量に出てきたりして、ユーザーにストレスを与えてしまうという課題が見えてきたのです。キーワードではなく、自由にプロンプト(質問文)を入力することで、データベースから最適な回答を引き出せる仕組みが必要だと考えました。

ー当初は別の開発ベンダー様でプロジェクトを進められていたとお聞きしました。そこからなぜ、弊社(GMOデザインワン)にご相談いただいたのでしょうか。

実は、最初は別のベトナムのオフショア開発企業に実装を依頼していました。しかし、直接やり取りするのが開発のプロジェクトマネージャー(PM)ではなく、日本語スキルを持った「コミュニケーター」の方だったため、意図が正確に伝わらず、コミュニケーションがスムーズにいかないストレスがありました。

さらに致命的だったのが、彼らの「AI技術や品質に対する理解の乏しさ」です。要件定義通りにシステムは作ってくれるのですが、いざ蓋を開けてみると、こちらが求めている回答の精度に全く達していなかった。確認を求めても、原因の説明が二転三転し、なかなか改善されませんでした。AIは学習データやプロンプトの調整など「仕様通りに組めば動く」という単純なものではないため、開発畑の論理だけでは限界があったのです。

そこで、以前からAI関連の情報発信を熱心にされており、ビジネスの文脈から理解してくれる会社を探していたところ、GMOデザインワンさんに出会い、まずは要件定義のコンサルティングからお願いすることにしました。

GMOデザインワンを選んだ理由:ビジネスを理解した要件定義と、日本人の伴走体制

ー相見積もりも取られていたと思いますが、最終的に弊社に決めていただいた理由は何だったのでしょうか。

GMOデザインワンさんは、弊社がやりたいことを最も深く理解し、具体的なイメージが持てるような調査・提案をしていただいたことが印象に残っています。要件定義を進める段階で、具体的な完成イメージが持てたのは大きかったです。

また、GMOデザインワンさんもベトナムに開発拠点を持つ「ハイブリッド型」の体制を取られていますが、他社と違ってプロジェクトの最上流には日本人の優秀なPMが立ち、日本国内で厳格なクオリティチェックを行った上で、現地のエンジニアに落とし込んでくれます。コストを抑えつつも、日本のビジネス習慣や高い品質基準を維持できるこの体制が、前述の課題を抱えていた私にとって非常に魅力的でした。

結局、リリース直前まで進んだものの、バグ・精度面の課題やAI技術への理解不足が重なり、GMOデザインワンさんに引き継ぐことを決断しました。

法律の壁「非弁リスク」を回避し、実務で使える「AI検索」へシフト

ー開発の過程では、技術面だけでなく「法的なハードル」にも直面されましたね。

はい。当初の構想では「回答の文章をAIが自動生成する」ところまでを目指していました。しかし、法律の分野は間違った回答が絶対に許されない世界です。法的検討の結果、民間事業者がAIを使って法的見解を自動生成して出力するサービスは、法務省とも協議しましたが、弁護士法に抵触する「非弁行為」に該当するリスクがあるという見解に至りました。

そのため、社外向けの機能としては文章の自動生成を断念し、入力された質問に対してデータベース内の類似QAを一覧で表示する「AI検索サービス」として機能を磨き上げる形にシフトしました。

ーその際の弊社の対応はいかがでしたでしょうか。

非常に助かりました。ただ言われた仕様を組むだけの開発会社であれば「生成ができないなら終わり」になっていたかもしれません。しかしGMOデザインワンさんは弊社のビジネスのゴールを共有してくれていたので、「どうすれば法律の壁をクリアしながら、ユーザーへの価値を最大化できるか」という視点でプロンプトの調整やデータの整理方法を提案してくれました。

結果として、社外向けには安全かつ利便性の高い「AI検索」をリリースし、一方で社内(管理側)には業務効率化のための文章生成機能を残すという、時代に合わせた最適な着地ができました。

導入の効果と今後の展望:AIを使いこなす「人の目」と「コンテンツの質」が勝負の分かれ目

ー無事リリースされましたが、現在の反響や今後の展開について教えてください。

現在は社労士の先生方を主なターゲットとして営業を展開していますが、やはり「自由な文章で検索して、すぐに類似事例にアクセスできる」という利便性には非常に高い評価をいただいています。

士業の本質的な価値は、情報を調べる時間ではなく、手元にある正確な情報をもとに「どう課題を解決するか」を深く思考し、クライアントに専門的な知見を提供することです。この検索にかかる時間を大幅に削減できたことは、士業のDX推進、そして情報の少ない地域経済への貢献にもつながっていると確信しています。

ー最後に、これからのAI時代におけるリーガルテックのあり方について、どのようにお考えですか。

AIの技術自体(GPTやClaudeなど)は、巨大な資本を持つグローバル企業が牽引しており、そのモデル自体で戦うのは現実的ではありません。だからこそ、今後は「AIに読み込ませるコンテンツの質」がすべてを決めると考えています。どれだけAIが進化しても、元となるデータが嘘であれば意味がありません。

また、AIはプロンプトの入れ方によってバイアスがかかりやすく、同じ問題でも労働者側と使用者側で都合の良い異なる回答を出してくることがあります。最終的には「人間の目」で確認し、エビデンスをチェックするプロセスが不可欠です。

弊社は今後も、弁護士・元行政官の監修によるコンテンツの拡充と最新化に重きを置き、そのアクセス性を高める道具としてAIを活用していきます。将来的には、法整備の波を捉えながら、さらに踏み込んだサービス展開も視野に入れたいですね。

ーすばらしいお話をありがとうございました。今後とも、Labor Field様の持続的な成長を全力でサポートさせていただきます!

Labor Field ロゴ

労働法務データベース「LABOR FiELD」

サービスの詳細は公式サイトをご覧ください

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記事を書いた人
泉川 学

小売業界でブランド品のバイヤーなどを経験したのちIT業界に転身。 株式会社ライブドアのインフラ事業の営業責任者を担当。 ベンチャー企業の運営に関わった後、2016年にデザインワン・ジャパン(現GMOデザインワン株式会社)へ入社。 「エキテン」事業の営業・サポート部門責任者を務めたのち受託開発事業の立ち上げを担当し、 現在は執行役員兼エキテン事業、受託開発事業とその所管グループ会社を統括。

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