">">">
  • ホーム
  • dx
  • DXエンジニアの育て方ガイド|中小企業が始める内製化DX戦略のポイント
dxdx

DXエンジニアの育て方ガイド|中小企業が始める内製化DX戦略のポイント

DXエンジニアの育て方ガイド|中小企業が始める内製化DX戦略のポイント
「DXを推進してほしい」と上司から指示を受けたものの、社内にDXに詳しいエンジニアがいない、どうやって人材を育成すればいいのかわからない――そんな悩みを抱える企業の担当者の方は少なくありません。特に中小企業では、限られたリソースの中でDX化を進める必要があり、外部委託だけに頼らず内製化を進めたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。 この記事では、現状分析から具体的な教育手法、成功事例までを通じて、中小企業がDXエンジニア育成と内製化を明日から始めるための実践的な道筋を解説します。

目次

DXエンジニアとは?求められる役割と必要なスキルセット

DXエンジニア育成を始める前に、まずはDXエンジニアの役割と必要なスキルを明確にしておきましょう。ここを曖昧にしたままでは、効果的な育成計画を立てることができません。

DXエンジニアに期待される役割とは?

DXエンジニアは単なるシステム開発者ではありません。デジタル技術を活用して企業の事業戦略を実現し、ビジネスモデル自体を変革する推進役として期待されています。

具体的には、既存の業務プロセスを分析し、デジタル技術でどのように改善できるかを提案する役割があります。また、AI活用スキルやクラウド技術習得を通じて、従来のIT化とは一線を画したデジタルトランスフォーメーションを実現します。

さらに重要なのは、プロジェクトマネジメント DXの観点から、技術導入だけでなく組織の変革まで視野に入れた取り組みを推進することです。

DXエンジニアに必須の技術・業務スキル

DXエンジニアに求められるスキルは多岐にわたりますが、以下のような要素に分類できます。

技術系スキル:

  • クラウド基盤(AWS、Azure、GCP)の設計・構築・運用
  • データ分析力強化に必要な統計知識とツール活用(Python、R、SQL等)
  • AI・機械学習の基礎知識と実装経験
  • API連携やマイクロサービスアーキテクチャの理解

ビジネス系スキル:

  • 業務プロセス改善 DXの観点から現状を分析する能力
  • ビジネス戦略とDXを結び付けて考える戦略的思考力
  • ステークホルダーとのコミュニケーション能力
  • 現状課題の可視化と改善提案のスキル

関連記事はこちら: DX推進におすすめのプログラミング言語とノーコード活用法を徹底解説

育成の羅針盤!中小企業が重視すべきDXスキルマップ

大企業と異なり、中小企業のDXエンジニアは幅広い領域をカバーする必要があります。自社の業界特性や事業フェーズに合わせたスキルマップを作成することが、効率的な人材育成の第一歩となります。

例えば、製造業であれば IoT やセンサーデータ活用、小売業であれば顧客データ分析やECシステム連携といった具合に、業界特有のスキル要件を明確にしておくことが重要です。

なぜ今DXエンジニアの内製化が急務なのか?「2025年の崖」の真相

経済産業省が提唱する「2025年の崖」問題をきっかけに、多くの企業がDX推進の必要性を感じています。しかし、なぜ外部委託ではなく内製化が重要視されているのでしょうか。

放置は危険!レガシーシステムがもたらす深刻なリスク

2025年までに予想される IT 人材不足は約43万人とされており、既存システムの維持管理コストは年々増加しています。特に中小企業では、20年以上前に導入したシステムをそのまま使い続けているケースも少なくありません。

これらのレガシーシステムは、セキュリティリスクの増大、維持費用の高騰、新しいビジネス要件への対応困難という三重の問題を抱えています。外部ベンダーに依存し続ける限り、これらの問題は根本的に解決されません。

なぜ外部委託だけではダメなのか?DX推進を阻む壁

外部の開発会社に DX を委託する場合、以下のような課題が顕在化することが多いです。

まず、自社の業務プロセスや商習慣を理解してもらうまでに時間がかかり、結果として的外れなシステムが納品されるリスクがあります。また、システム稼働後の運用・改善フェーズで、迅速な対応ができないという問題も発生しがちです。

さらに、中小企業 DX推進においては、継続的な改善とブラッシュアップが成功の鍵となりますが、外部委託では都度費用が発生するため、気軽に改善を重ねることが難しくなります。

競合に差をつける!DX内製化がもたらす競争優位性とは

内製化DXを進めることで、以下のような競争優位性を獲得できます。

第一に、自社の事業特性を深く理解したDXエンジニアであれば、真に価値のあるデジタル施策を迅速に実行できるようになります。市場環境の変化に素早く対応し、競合他社に先駆けて新しいサービスを提供することが可能です。

第二に、DX人材育成を通じて組織全体のデジタルリテラシーが向上し、現場レベルでの業務改善アイデアが生まれやすくなります。これは外部委託では得られない大きなメリットと言えるでしょう。

DXエンジニア育成の具体的な進め方:7つの実践ステップ

ここからは、実際にDXエンジニアを育成するための具体的なステップを解説します。計画的かつ段階的に進めることで、限られたリソースでも確実な成果を上げることができます。

ステップ1:まずは現状分析と目標設定から

最初に行うべきは、自社の現状分析と明確な目標設定です。「何をDXで実現したいか」を具体的に定義することが、効果的な人材育成の出発点となります。

現状分析では、既存業務の課題(コスト、時間、品質の観点から)を洗い出し、それぞれにDXでどの程度の改善効果が期待できるかを数値化します。例えば、「見積作成時間を現在の2時間から30分に短縮」「在庫管理の精度を95%から99%に向上」といった具合に定量的な目標を設定することが重要です。

ステップ2:理想との差は?社内人材のスキルギャップ分析

目標が明確になったら、現在の社内人材がどの程度のスキルを持っているかを評価します。ITエンジニア育成方法を検討する前に、まずは現在地を正確に把握することが必要です。

デジタルスキル標準(DSS-P)などの公的なガイドラインを参考にしながら、各社員のスキルレベルを可視化します。プログラミング経験、データベース操作、クラウドサービス利用経験などを項目別に評価し、理想像とのギャップを明確にします。

ステップ3:無理なく育成!段階的な社内研修プログラムの設計

スキルギャップが明確になったら、それを埋めるための研修プログラムを設計します。重要なのは、一気に高度なスキルを習得させようとせず、段階的にレベルアップを図ることです。

短期計画(3-6ヶ月): 基礎知識の習得とデジタルツールの操作に慣れる期間。Excel VBAやPythonの基礎、クラウドサービスの基本操作などから始めます。

中期計画(6-12ヶ月): 実際のプロジェクトに参画しながらスキルを向上させる期間。小規模なデータ分析プロジェクトやシステム改善案件を通じて実践経験を積みます。

長期計画(1年以上): 他部署との連携や新しい技術領域への挑戦を通じて、DX推進のリーダーとしての能力を身につける期間です。

ステップ4:知識を実践へ!OJTとプロジェクトで経験を積む

座学での知識習得だけでなく、実際の業務を通じた学習(OJT研修)を重視します。社内の小さな課題を解決するプロジェクトからスタートし、徐々に規模を拡大していきます。

例えば、「月次売上レポートの自動化」「顧客データの重複排除」といった身近なテーマから始めることで、成功体験を積み重ねながらスキルアップを図ります。

ステップ5:社内だけで抱えない!外部研修・セミナーの戦略的活用

社内だけでは補えない専門知識については、外部研修・セミナー活用法を戦略的に組み込むことが効果的です。特に最新技術トレンドや業界のベストプラクティスを学ぶ機会として活用します。

IPAが提供する公的な研修プログラムや、各クラウドベンダーが提供する認定講座などを活用し、体系的な知識習得を支援します。

ステップ6:モチベーションUP!資格取得支援でスキルを体系化

モチベーション維持と客観的なスキル証明のために、関連資格の取得を支援します。AWS認定資格、Google Cloud認定資格、データサイエンティスト検定などが代表的です。

資格取得費用の会社負担や、取得時の報奨金制度を設けることで、継続的な学習を促進できます。

ステップ7:学びを止めない!継続的なスキルアップ体制の構築

DX分野は技術の進歩が早いため、継続的な学習体制の構築が不可欠です。月例の技術共有会、外部コミュニティへの参加支援、eラーニング DXプラットフォームの導入などを通じて、組織全体で学習する文化を醸成します。

DXエンジニア育成の費用は?主要項目と予算の目安を解説

DX人材育成を進める際に気になるのが費用面です。計画的に予算を組むことで、継続性のある人材育成プログラムを構築できます。

社内研修に関わる基本コスト

社内研修の基本コストとしては、研修教材の購入費、講師の人件費(社内講師の場合)、研修時間中の受講者の人件費などが挙げられます。

中小企業の場合、年間の研修予算として社員一人あたり20-30万円程度を目安に設定することが一般的です。これには外部セミナー参加費、オンライン学習プラットフォーム利用料、書籍代などが含まれます。

外部リソース活用時のコスト構造

外部の研修機関や講師を活用する場合、以下のような費用体系になることが多いです。

集合研修: 1日あたり30-50万円(講師派遣型、10名程度参加の場合)

オンライン研修: 月額1-3万円/人(eラーニングプラットフォーム利用)

個別コンサルティング: 月額20-50万円(専門コンサルタントによる継続支援)

資格取得支援制度の予算計画

資格取得支援制度を導入する場合、以下のような費用を見込んでおく必要があります。

  • AWS認定資格:受験料 15,000-30,000円/回、対策講座 10-20万円
  • データサイエンティスト検定:受験料 10,000円、対策教材 5-10万円
  • Google Cloud認定:受験料 20,000円程度、対策環境構築費 月額数千円

ROI(投資収益率)の考え方

人材育成への投資効果を測定するために、定量的な効果測定指標を設定しておくことが重要です。例えば、「システム開発の外注費削減額」「業務効率化による工数削減効果」「新規事業創出による売上増」などを指標として設定します。

一般的に、DX人材育成への投資は2-3年で回収できるケースが多く、中長期的には大きなコスト削減効果をもたらします。

DXエンジニア育成の成功事例から学ぶ「明日から使える」ポイント

実際にDX人材育成に成功した企業の事例を参考にすることで、自社での取り組みに活かせる具体的なヒントを得ることができます。

株式会社フジワラテクノアート:現場改善からスタートした段階的アプローチ

創業90年を超え、ベテラン社員が多くITリテラシーが低いという課題を抱えていた醸造機械メーカーのフジワラテクノアート。同社では、外部委託に頼らず、部門横断の委員会を立ち上げて自社主導のDXプロジェクトを推進しました。

まず現場が主体となってペーパーレス化などの小さな改善を重ね、成功体験を積むことからスタート。この取り組みがきっかけとなり、社員が自発的にスキル学習や資格取得にチャレンジする文化が醸成されました。

結果として、工程の可視化や情報共有が進み、工数・事務負担・ミスが大幅に削減。デジタルスキルを持つ社員が増加・定着するという好循環が生まれています。

富士通株式会社:全社員をDX人材化する大規模リテラシー向上施策

大手IT企業の富士通は、「全社員DX人材化」を目標に掲げ、全社員を対象とした大規模なデジタルリテラシー向上施策を展開しています。

具体的には、全社員にDX基礎リテラシー研修を必修化。さらに、社内に独自のスキル認定制度を導入することで、社員一人ひとりのスキルレベルの可視化を進めました。オンラインプラットフォームも活用し、社員の自律的な学習を強力に促進しています。

この施策により、経営層と現場の意識の乖離なく、組織全体でDX推進が加速。会社全体にスキルベースの文化が形成され、人材の可視化と育成が循環的に進む体制が構築されています。

株式会社山本金属製作所:現場のリアルタイムデータを生きた教材に

工作機械部品メーカーの山本金属製作所では、自社の強みである現場のデータを人材育成に活用しています。

同社は、設備の稼働状況などをリアルタイムで監視する技術やデジタルツインを駆使し、そこで得られる生きた現場データを教材化。現場技術者の仮説検証力やデジタルスキルを育成する「LAS(Learning-Advanced-Support)サービス」として展開しています。

外部の一般的な研修に頼るのではなく、自社のリアルなデータを活用することで、実務に直結したデータドリブンな意思決定能力を持つ人材を効率的に育成することに成功しています。

DX推進で失敗しない開発パートナーの選び方

内製化を進めながらも、専門性の高い領域や大規模開発では外部パートナーとの連携が不可欠です。適切なパートナー選択により、内製化とのシナジー効果を最大化できます。

「事業理解」が鍵!本物のDXパートナーの見分け方

多くの開発会社は「要件通りに作る」ことに重点を置きがちですが、真のDXパートナーは、まず顧客のビジネスモデルや課題を深く理解することから始めます

良質なパートナーを見分けるポイントとして、初回の打ち合わせで技術的な話よりも事業課題について多くの質問をしてくるかどうかを確認してください。また、過去の事例紹介において、「どんな技術を使ったか」よりも「どんな事業課題を解決したか」に焦点を当てて説明する会社を選ぶことが重要です。

コストと品質を両立!バランスの取れた開発体制とは

中小企業のDX推進においては、コストパフォーマンスも重要な要素です。純国産開発は品質が高い反面、コストが高くなりがちです。一方、海外オフショア開発は価格面では魅力的ですが、コミュニケーションコストや品質面での不安があります。

理想的なのは、設計などの上流工程は経験豊富な国内エンジニアが担当し、実装は海外拠点で行うハイブリッド体制を採用している開発会社です。これにより、品質を担保しながらコストを抑えることが可能になります。

作って終わりじゃない!運用・改善サポート体制の評価ポイント

DXプロジェクトは、システムが稼働してからが本当のスタートです。継続的な改善とブラッシュアップを通じて、初めて真の価値を生み出します。

そのため、開発会社を選ぶ際には、以下の点を必ず確認してください。

  • 運用・保守体制の具体的な内容とレスポンス時間
  • 機能追加や改修時の対応プロセスと費用体系
  • データ分析レポートの提供やKPI改善提案の有無
  • 緊急時のサポート体制と連絡手段

セキュリティと信頼性、どう見極める?パートナーの選択基準

中小企業であっても、顧客データや営業機密を扱うシステムでは、高度なセキュリティ対策が必要です。開発パートナーを選ぶ際は、ISO27001やプライバシーマークなどの認証取得状況、過去のセキュリティインシデントの有無、データ保護に関する具体的な対策内容を必ず確認しましょう。

また、長期的な事業継続性の観点から、パートナー企業の経営安定性や技術者のスキルレベルについても評価することが重要です。

まとめ

DXエンジニア育成を成功させる鍵は、明確な目標設定と段階的な計画に基づき、小さな成功体験を重ねて組織全体のスキルを向上させることです。また、内製化だけに固執せず、自社の事業を深く理解してくれる外部パートナーと連携することも、限られたリソースで成果を出すためには不可欠です。

DX推進は長期的な取り組みですが、本記事で解説したポイントを参考に、まずは自社の現状分析から小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。継続的な取り組みが、将来の大きな成果へと繋がります。

contact お気軽にご連絡下さい。