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DX推進ガイドラインとは?効果的なデジタルトランスフォーメーションの実現手法

DX推進ガイドラインとは?効果的なデジタルトランスフォーメーションの実現手法
「DX推進の具体的な指針がなく、何から着手すべきか分からない」。経営層からの要求と現場の実情とのギャップに悩む担当者は少なくありません。そこで活用したいのが、経済産業省が策定した「デジタルガバナンスコード」です。これは、企業がデジタル変革を進める上で経営者が実践すべき事項を定めた、DX推進の羅針盤となるガイドラインです。 本記事では、デジタルガバナンスコードの基本的内容から、最新版「2.0」での変更点、そして具体的な実践プロセスまでを体系的に解説します。この基準を正しく理解し活用することで、自社のDXを迷いなく着実に前進させるためのヒントが見つかるはずです。

目次


デジタルガバナンスコードとは何か

デジタルガバナンスコードは、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための経営のあり方を示した行動指針です。経済産業省が策定したこの指針は、単なるIT導入の手引きではなく、経営者のコミットメントからビジネスモデルの変革まで包括的にカバーする内容となっています。

企業がデジタル時代において持続的な成長を実現するための道筋を示すものとして、多くの企業で活用されています。

デジタルガバナンスコードが策定された背景

デジタルガバナンスコードの策定には、日本企業が直面する深刻な課題が関係しています。2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」では、老朽化したITシステム(レガシーシステム)が企業の競争力を阻害し、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失をもたらす可能性があると警鐘を鳴らしました。

この「2025年の崖」問題を克服するためには、単なるシステム刷新ではなく、経営戦略とITを一体化させた本質的な変革が必要だと認識されました。

こうした背景から、2020年11月にデジタルガバナンスコードが策定されました。これは企業がDXを推進する際、どのような体制やプロセスを構築すべきかを示す具体的なガイドラインとして位置づけられています。

経営層や取締役会がDXの取り組みをチェックし推進するための公式な基準を提供することで、日本企業全体のデジタル競争力向上を目指しています。

デジタルガバナンスコードの目的と対象企業

デジタルガバナンスコードの主な目的は、企業が自社のDX成熟度を客観的に把握し、課題を明確化した上で実効性のある改善策を講じることにあります。

「何から始めるべきかわからない」という企業にとっての羅針盤となり、経営者の関与やIT基盤の見直しなど、DXの本質的な推進力となる観点を提示しています。IT投資を単なるコストと捉えるのではなく、経営課題の本質的な解決に資する変革の手段として再定義することも重要な目的の一つです。

対象となるのは、業種や規模を問わずすべての企業です。特に上場企業においては、投資家やステークホルダーへの説明責任を果たすための枠組みとしても機能します。中小企業においても、デジタル化への取り組みを体系的に進めるための指針として活用できる内容となっており、経営ビジョンの明確化から組織変革まで幅広く参照可能です。

DX認定制度との関係性

デジタルガバナンスコードは、経済産業省が運用する「DX認定制度」と密接に関連しています。DX認定制度とは、デジタルガバナンスコードの基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。

認定を受けることで、企業はDXに積極的に取り組んでいることを対外的に証明できます。

認定を取得した企業は、「DX認定事業者」として経済産業省のウェブサイトで公表されるほか、税制優遇措置の対象となる可能性があります。取引先や投資家からの信頼獲得につながるため、営業面でもメリットがあります。

デジタルガバナンスコードに基づいて自社の取り組みを整理し、認定基準を満たすことで、組織全体のDX推進を加速させることが可能になります。

デジタルガバナンスコード2.0の主な変更点

2022年9月、デジタルガバナンスコードは「デジタルガバナンスコード2.0」へとアップデートされました。

この改訂は、DXを取り巻く環境変化や企業の実践から得られた知見を反映したものです。新たな項目の追加や既存項目の具体化により、より実践的な指針へと進化しています。

DX推進ガイドラインとの統合による改訂

デジタルガバナンスコード2.0の最大の特徴は、2018年に策定された「DX推進ガイドライン」との統合です。DX推進ガイドラインは、企業がDXを推進する上で実践すべき事柄を体系的にまとめた指針でした。

このガイドラインには「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」という2つの柱があり、これらの内容がデジタルガバナンスコード2.0に包含されました。

統合によって、経営戦略からITシステムの構築まで一貫した指針として参照できるようになりました。企業は複数の文書を参照する必要がなくなり、DX推進の全体像を把握しやすくなったのが大きな利点です。

また、DX推進指標との連携も強化され、自社の成熟度を測定しながら改善を進める流れが確立されています。

デジタルガバナンスコード2.0で追加された項目

バージョン2.0では、サイバーセキュリティに関する項目が大幅に強化されました。デジタル技術の活用が進む中で、サイバー攻撃のリスクも高まっており、経営課題としてのセキュリティ対策の重要性が明記されています。

経営者がサイバーセキュリティリスクを経営リスクの一つとして認識し、適切な対策を講じることが求められています。

同時に拡充されたのが、人材確保と「企業文化」に関する項目です。単にDX人材を採用・育成するだけでなく、組織全体が変化を受け入れ、失敗を恐れず挑戦する企業風土の醸成が重要視されています。部門間の壁を超えた協働など、デジタル技術を活かすためのソフト面(組織・人)の変革が強く求められる内容となりました。

旧版からの具体的な変更内容

旧版からの変更点として、成果指標(KPI)の設定に関する記述がより具体的になりました。DXの取り組みを「やりっぱなし」にせず、定量的な指標で進捗を測定し、継続的に改善していくPDCAサイクルの重要性が強調されています。

経営者のコミットメントについても、単なる号令ではなく、具体的な資源配分や意思決定への関与が求められるようになりました。

ITシステムの構築に関しては、クラウド活用やマイクロサービス化など、現代的なアーキテクチャへの言及が追加されています。「維持・継続するもの」「廃棄するもの」「刷新するもの」への仕分けを行い、優先順位をつけて計画的に移行を進めることの重要性も明記されました。変化に迅速に対応できるアジャイルな開発体制の導入についても示されています。

関連記事はこちら: 経済産業省のDX推進指標とは?企業変革を成功に導く実践ガイド

デジタルガバナンスコードの構成と実践方法

デジタルガバナンスコードは、体系的な構成によって企業のDX推進を支援します。各項目は相互に関連しており、一つずつ着実に取り組むことで、組織全体のデジタル変革を推進できる設計になっています。ここでは具体的な構成要素と実践のポイントを解説します。

5つの柱から成る基本的な枠組み

デジタルガバナンスコードは、主に5つの柱で構成されています。第一の柱は「経営ビジョン・ビジネスモデル」で、デジタル技術による社会変化を踏まえた経営ビジョンの策定を求めています。第二の柱は「戦略」で、ビジョンを実現するための具体的なデジタル戦略の立案が含まれます。

第三の柱は「組織づくり・人材・企業文化に関する方策」で、DXを推進する体制の整備について規定しています。

第四の柱は「ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策」で、既存システムの刷新や新技術の導入に関する指針が示されています。

第五の柱は「成果と重要な成果指標」で、取り組みの成果を測定するためのKPI設定について記載されています。これらの柱は独立したものではなく、相互に影響し合いながら企業のDXを支える構造になっています。

認定取得に必要な実施項目

DX認定を取得するためには、デジタルガバナンスコードの「基本的事項」に対応していることを示す必要があります。具体的には、経営者が自社のビジネスモデルや経営戦略において、デジタル技術をどのように活用するかを明確にすることが求められます。

その戦略を実現するための体制整備や、必要な人材の確保・育成についても計画を策定する必要があります。

また、ITシステムに関しては、レガシーシステムの分析と対応方針の策定が求められます。サイバーセキュリティ対策の実施状況やデジタルリスク管理についても、自社の取り組みを整理して示すことが必要です。これらの内容を申請書類にまとめ、経済産業省に提出することで認定審査を受けることができます。

企業が取り組むべき具体的なステップ

デジタルガバナンスコードに基づいてDXを推進する際、まずは現状分析から始めることが重要です。自社の業務プロセス、ITシステム、組織体制を棚卸しし、デジタル化の成熟度を客観的に評価します。DX推進指標を活用することで、他社との比較も可能になり、自社の強みと弱みを把握できます。

次に、経営層を巻き込んだビジョン策定を行います。DXは全社的な取り組みであり、経営者のコミットメントなしには成功しません。

ビジョンが定まったら、実現に向けたロードマップを作成し、優先順位をつけて施策を実行していきます。各事業部門で新たな挑戦を促し、仮説検証の繰り返しプロセスを確立することで、組織全体がDXに向かって動き出す体制を構築できます。

デジタルガバナンスコードに取り組むメリット

デジタルガバナンスコードへの取り組みは、単なる認定取得にとどまらない多くのメリットをもたらします。経営の可視化から企業価値の向上まで、様々な効果が期待できます。ここでは具体的なメリットを3つの観点から解説します。

DX認定取得による企業価値の向上

DX認定を取得することで、企業は対外的にDXへの取り組み姿勢をアピールできます。認定企業は経済産業省のウェブサイトで公表されるため、取引先や顧客からの認知度向上につながります。デジタル化が進む現代において、DXに積極的に取り組んでいる企業として認識されることは、競争優位性の確保に直結します。

また、認定取得は社内への効果も大きいものがあります。全社的な目標として認定を掲げることで、部門間の壁を越えた協力体制が生まれやすくなります

経営層から現場まで、DX推進という共通の目標に向かって一体となって取り組む契機となり、組織変革の推進力となります。

ステークホルダーからの信頼獲得

デジタルガバナンスコードに基づく取り組みは、投資家や金融機関からの評価向上にもつながります。ESG投資の観点からも、ガバナンス体制の整備は重要な評価項目となっており、DXへの取り組みを体系的に示すことで、企業統治への姿勢をアピールできます。

特に上場企業においては、株主への説明責任を果たす上で有効です。

取引先からの信頼獲得という点でも効果があります。大企業を中心にサプライチェーン全体でのデジタル化が進む中、DX認定を取得していることが取引条件となるケースも増えています。また、採用活動においても、デジタル変革に積極的な企業としてデジタルネイティブな優秀な人材を惹きつけることができます。

経営改革を推進する指針としての活用

デジタルガバナンスコードは、DX推進だけでなく、経営改革全般の指針としても活用できます。ビジョンの策定、戦略の立案、組織体制の整備、成果測定という一連のプロセスは、経営管理の基本フレームワークと重なります。コードに沿って取り組むことで、経営の仕組み自体を見直し、強化する機会となります。

さらに、データ活用の基盤整備という観点でも重要です。デジタルガバナンスコードでは、ITシステムの整備だけでなく、データを経営に活かす仕組みづくりも求めています。蓄積されたデータを分析し、意思決定に活用する体制を構築することで、データドリブン経営への転換を促進できます。こうした取り組みは、中長期的な企業競争力の向上に直結します。

まとめ

本記事では、デジタルガバナンスコードの基本的な内容から、デジタルガバナンスコード2.0への改訂ポイント、具体的な構成と実践方法、そして取り組むことで得られるメリットまで解説してきました。

デジタルガバナンスコードは、企業がDXを推進するための羅針盤として、経営ビジョンの策定からITシステムの構築、人材育成まで包括的な指針を提供しています。

2022年の改訂によりDX推進ガイドラインと統合され、サイバーセキュリティや企業文化の醸成など、現代の経営環境に即した内容へと進化しました。DX認定制度との連携により、取り組みの成果を対外的に示すことも可能になっています。

重要なのは、デジタルガバナンスコードを単なるチェックリストとして捉えるのではなく、自社の経営改革を進めるためのフレームワークとして活用することです。経営者のコミットメントのもと、全社一丸となってDXに取り組むことで、デジタル時代における持続的な成長を実現できます。

まずは自社の現状を客観的に分析し、優先すべき課題を特定することから始めてみてはいかがでしょうか。

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