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【事例で理解を深めよう】アパレル業界におけるDXについて徹底解説

【事例で理解を深めよう】アパレル業界におけるDXについて徹底解説

目次

「アパレル業界におけるDXってどういうものなんだろう」

「アパレル業界でDXを推進するってどういう施策があるの?」

と感じていませんか?


そもそもDXとはツールやシステムの活用を通して、スピード感のあるビジネス環境の変化に対応し、そして業務の改革やビジネスの新しい価値を生み出すことです。「DX化」は業界問わず、重要なキーワードになっており、もちろんアパレル業界も例外ではありません。

アパレル業界におけるDXとは、ツールやシステムを駆使して「業務を効率化する」「顧客サービスを向上する」のいずれか、もしくは両方を実現することです。

たとえば以下のようなDX施策がアパレル業界で実施されています。


【アパレル業界のDX事例】

<業務を効率化する>

・RFIDタグを利用した無人レジの設置

<顧客サービスを向上する>

・身長と体重の入力で自分のサイズに合うアイテムを顧客に提案(ECサイト)

・展示会・ファッションショーのデジタル化

・ARポップアップショップのオープン

・リアル店舗で採寸、購入はECサイト

・顧客データからニーズを把握して、施策を実行

ただしアパレル企業がDX推進に取り組むべきか判断する際、知っておくべきなのは施策例だけではありません。DX推進の必要性・効果と課題、DX推進の全体像も知ったうえで、推進するかどうかを総合的に判断するべきです。

というのも自社にとってのDXのメリットや課題、負担を把握しないままDX推進を決めてしまうと「なぜ自社にDXを取り入れるのか」「取り入れると将来企業はどう良くなるのか」「取り入れない場合どうなるのか」がわからないままなんとなくDXを推進することになるので「DXの形骸化」が起こる可能性があるのです。

そこでこの記事では、アパレル企業のDX推進の基礎知識や成功事例をご紹介するだけでなく、


・アパレル業界におけるDX推進が必要な理由

・アパレル業界におけるDX推進の効果

・アパレル業界におけるDX推進の課題

・アパレル業界でDX推進する際の全体像


をご紹介します。

本記事の内容は以下のとおりです。


【本記事の内容】

・アパレル企業におけるDXとは

・アパレル企業におけるDX成功事例

・アパレル業界におけるDX推進が必要な理由

・アパレル業界におけるDX推進の効果

・アパレル業界におけるDX推進の課題

・アパレル業界でDX推進する際の全体像

この記事を最後まで読むことでアパレル企業におけるDXとはどういうものか理解できるようになります。そして自社でDXを推進していくべきか判断できるようになります。

ぜひ最後までお読みください。


1.アパレル業界におけるDXとは

アパレル業界・DXとはのイメージ

アパレル業界におけるDXとは、ツールやシステムを駆使して「業務を効率化する」「顧客サービスを向上する」のいずれか、もしくは両方を実現することです。

たとえばアパレル業界には以下のようなDX施策があります。


【アパレル業界のDX事例】

<業務を効率化する>

◆RFIDタグを利用した無人レジの設置

複数のタグを同時に読み取れるRFIDタグ(商品情報が入力されたタグ)の特性を活かして、RFIDタグを取り付けた複数の商品をレジに置くだけで瞬時に商品情報・価格を読み取れる無人レジを設置します。

<顧客サービスを向上する>

◆身長と体重の入力で自分のサイズに合うアイテムを顧客に提案(ECサイト)

ECサイト上で自分の体重と身長を入力すると、自分のサイズに合う商品を数十種類もあるサイズから選んで提案するサービスを提供します。

◆展示会・ファッションショーのデジタル化

3DCGの技術を使ってバーチャルファッションショーを開催します。これには「視聴者が手元でランウェイを楽しめるモバイルアプリ」を使います。モデルが着用している衣装に小型の装置を取り付けることで、視聴者が衣装情報をアプリでリアルタイムに見ながら、お気に入りのものに「いいね」できます。

◆ARポップアップショップのオープン

ARレンズを使ってバーチャルストアを閲覧したり、AR試着したりできるショップです。欲しい商品があったらその場ですぐに購入できるようになっています。

◆リアル店舗で採寸、購入はECサイト

リアル店舗で採寸を行えば、次からは採寸データをもとにしてECサイトから、着用シーンや好みに合わせてスーツのデザインを選び、生地の色、柄、機能性を自由に選択してスーツをオーダーできます。

◆顧客データからニーズを把握して、施策を実行

ECアプリから収集した顧客データをもとに、スムーズな買い物体験やサービスを提供します。

たとえば、

・顧客がECサイト・アプリで購入した商品を店舗で受け取れる

・店頭でバーコードスキャンによる商品情報の確認を行える

・特典の取得ができる

・その店舗にしかない限定商品の購入などができる

・店頭でスタッフが顧客のサイズをスキャンしアプリに登録し、最適なサイズの商品を購入できるようにしてくれる

・LINEを通してスタッフに質問できる

といったサービスを提供します。顧客は無駄を減らしてスピード感のある買い物が可能です。

アパレル業界のDX推進は他の業界と比べると遅れている状況ではありますが、それでもさまざまな企業でDX施策が実行されています。

アパレル業界では特に人手不足が進んでいます。WWDJAPANが実施した、主要なアパレル小売企業への「販売員の人手不足の現状(2023)」の調査結果によると、「販売スタッフ(正社員、パート・アルバイト)は足りているか?」の質問に対し、「不足」「とても不足」と答えた企業が8割以上でした。こうした現状では、人手が足りなくても効率良く販売できる仕組みを整える必要があるのです。


また、顧客は「高い顧客体験」を求めるようになっています。

セールスフォースが行った「2019年度版カスタマーエクスペリエンスの最新事情に関する調査」によると、「より良い顧客体験を受けるためならより多くのお金を払っても良い 」と回答したミレニアル世代(1981年から1997年の間に生まれた人であり、近年のメイン顧客)は86%でした。

さらに最近では、顧客ニーズの変化が早く、トレンドの把握が難しくなったりするなどの課題があります。

こうしたアパレル業界特有の課題をDX推進によって解決できるからこそ、今、アパレル業界に少しずつ「DX」が取り入れられるようになっているのです。

アパレル業界においてDX推進が必要な詳しい理由については「3.アパレル業界におけるDX推進の必要性」にて解説しています。


2.DXを推進しているアパレル企業の6つの成功事例

DX アパレル 企業の成功事例・6つのイメージ

アパレル業界におけるDX推進についてよりイメージが膨らむよう、2章ではアパレル業界におけるDXの成功事例を以下6つご紹介します。


【DX推進による業務効率化を実現した事例】

・RFIDタグを利用した在庫管理(ファーストリテイリング)

【DX推進によって顧客サービス向上を実現した事例】

・AIによるデジタル採寸(ZOZOTOWN)

・展示会・ファッションショーのデジタル化(Badgley Mischka)

・オンライン再販ショップ「RE/AE」の立ち上げ(アメリカンイーグル)

・オン/オフラインの融合(FABRIC TOKYO)

・購買データを活用したコンセプトショップNIKE Liveの展開(NIKE)

2-1.【業務効率化】RFIDタグを利用した在庫管理(ファーストリテイリング)

1つめの事例はユニクロやGUなどのアパレルブランドを展開するファーストリテイリング社の事例です。

ユニクロは年間で13億着もの服を製造しており、以前は、


・どの商品がどこで作られているのか

・どのくらい作られているのか

・いつ倉庫に届くのか

・どれくらい倉庫に保管されているのか

・在庫はどのくらいあるのか


をすべて把握しきれていない状況でした。

また在庫数を把握するためには生産工場や倉庫、店舗などにおいて人力で確認作業を行う必要があるため、時間がかかったり、エラーが発生したりし、その結果コスト(人件費)が大きく膨れ上がってしまっていました。

そこでファーストリテイリングでは、RFIDタグを導入しました。

RFIDとは、電波を使って無線でデータの読み取りを行えるシステムで、モノの識別・管理を行うことができます。RFIDタグは、データが入っている記憶媒体のことです。

RFIDタグに商品情報と個別IDデータを付加しておけば、遠距離であってもデータの読み取りが可能になったり、箱を開けずに中身を読み取ったり、複数のタグを一括読み取りしたりすることができます。

具体的にRFIDを導入して行ったことは主に以下2つです。


【ファーストリテイリングがRFIDタグを導入して行ったこと】

①在庫管理におけるRFIDタグの導入

全商品に生産の段階で商品情報の入ったRFIDタグを貼っておくことで、生産工場から出荷されたあと、どの商品がどこに(店舗や倉庫など)どれくらいあるのかを瞬時に把握できるようにしました。

また「複数のタグを同時に読み取ったり、箱を開けずに中身を読み取ったりできる」というRFIDタグの特性を活かして検品作業や棚卸し作業を行えるようにしました。

②RFIDタグの導入による無人レジの設置

複数のタグを同時に読み取れるRFIDタグの特性を活かして、RFIDタグを取り付けた複数の商品をレジに置くだけで瞬時に商品情報・価格を読み取れる無人レジを設置しました。

その結果、上記の2つの施策は以下のような成功を収めることができました。


【RFIDタグ導入の結果】

①在庫管理の効率化による人的コスト削減

生産工場や倉庫、店舗関係なく在庫情報をリアルタイムで共有できるようになり、サプライチェーン全体でSKU管理(在庫の最小単位を把握・管理すること)が可能になりました。また検品作業や棚卸し作業などの圧倒的な手間削減、時間短縮に成功。人的コストを下げることができました。

②無人レジ設置による人的コスト削減

RFIDタグを用いた無人レジの設置によって、従業員がレジでお会計をする必要がなくなったため、少ない人数でも店舗運営できるようになり、人的コストを削減することができました。

このようにファーストリテイリングでは「RFIDタグを導入する」DX推進を行うことで、業務を効率化し、人的コストを削減することに成功しています。

2-2.【顧客サービス向上】AIによるデジタル採寸(ZOZOTOWN)

ZOZOTOWNは2000年にファッションECサイトを立ち上げ、以降多くの人がZOZOTOWNからアパレル商品を購入しています。

「ECサイトでは試着ができないのでサイズ感がわからない」という不安から、どうしても多くの顧客がオンラインよりもリアル店舗で購入してしまう点を課題だと認識していました。

そこでZOZOTOWNでは、以下のDX施策を実行しました。


【ZOZOTOWNが行ったこと】

①AIデジタル採寸システム「ZOZOSUIT」の提供

ZOZOSUITは専用のウェアを身につけて専用のアプリで360度撮影するだけで、体のサイズを3Dで計測できるサービスです。顧客は計測結果から自分のサイズに合う商品を探せるため、店舗に行って試着しなくても、いつでもどこでもオンラインで購入しやすくなります。

②マルチサイズプラットフォーム(MSP)

ECサイト上で自分の体重と身長を入力すると、自分のサイズに合う商品を数十種類もあるサイズから選んで提案するサービスを提供しています。

その結果、上記の2つの施策は以下のような成功を収めることができました。


【ZOZOTOWNのDX施策の結果】

①顧客の「サイズ感がわからない」を解決

「届いた商品を着てみたら着用モデルのイメージと違った」「膝丈ワンピースのはずがロングになってしまった」「スカートが思ったよりも短すぎた」など、試着ができないが故に発生する「サイズ感がわからない」という顧客の悩みを解消することができ、ZOZOTOWNで購入する付加価値を顧客に提供できるようになりました。

こうしてZOZOTOWNはAIデジタル採寸システムやマルチプラットフォーム(MSP)の導入によって顧客サービスの向上に成功したのです。

2-3.【顧客サービス向上】ファッションショーのデジタル化(バッジェリーミシュカ)

Badgley Mischka(バッジェリーミシュカ)はアメリカのラグジュアリーアパレルブランドです。

アパレル業界では新型コロナウイルスの流行により、リアル展示会やファッションショーの開催が制限される事態となっていました。

そこでバッジェリーミシュカは以下のDX施策を実施しました。


【バッジェリーミシュカが行ったこと】

①3DCGの技術を使ったバーチャルファッションショーの開催

3DCGの技術を使ってバーチャルファッションショーを開催。具体的には、視聴者が手元でランウェイを楽しめるモバイルアプリを開発し、モデルが着用している衣装に小型の装置を取り付けることで、視聴者が衣装情報をリアルタイムで見ながら、お気に入りのものに「いいね」できる環境を実現しました。

その結果、上記の施策は以下のような成功を収めることができました。


【バッジェリーミシュカのDX施策の結果】

①コロナ禍の外出制限下でもファッションショーの実施を実現

新型コロナウイルスで外出制限される中でも、ファッションショーを実施することができました。またこれまで招待できる人数が限られていたファッションショーを「配信」することで、これまで参加できなかった顧客もファッションショーに参加できるようになり、顧客体験を向上させることができました。

さらにどの衣装がどのくらい人気があるのか、といった情報を収集できることによってトレンドをいち早く先取りすることにもつながっています。

このようにバッジェリーミシュカはバーチャルファッションショーの実施によって顧客サービスの向上に成功しました。

2-4.【顧客サービス向上】オンライン再販ショップ「RE/AE」の立ち上げ(アメリカンイーグル)

アメリカンイーグルは、アメリカのカジュアルファッションブランドです。SNSネイティブ・デジタルネイティブと言われるZ世代がメインターゲットとなっています。

現在アメリカのZ世代では古着ニーズが高まっています。スレッドアップ(ThredUp)の2023年4月のレポートによると、Z世代の顧客による購入は、今後5年間で古着購入する人口のおよそ3分の2を占めると予想されています。

デジタル化が急速に進んでいく中で、デジタルに精通した古着ニーズの高いZ世代に対し、効果的なアプローチをしたいとアメリカンイーグルは考えていました。

そこでアメリカンイーグルは以下のDX施策を実施しました。


【アメリカンイーグルが行ったこと】

①オンライン再販ショップ「RE/AE」の立ち上げ

オンライン再販ショップ「RE/AE」を立ち上げました。「RE/AE」では80年代以降のアメリカンイーグル製デニムやジャケット、アクセサリーなどさまざまな商品を展開。さらにZ世代に人気のSNS「Snapchat(スナップチャット)」と提携して、Snap ARポップアップショップをECサイト内で展開しました。ARレンズを使ってバーチャルストアを閲覧したり、AR試着したりする中で、欲しい商品があったらその場ですぐに購入できるようになっています。

その結果、上記の施策は以下のような成功を収めることができました。


【アメリカンイーグルのDX施策の結果】

①総収益で1000万ドル(約13億円)

オンライン再販ショップを運営した結果、ARストアでは総収益で1000万ドル(約13億円)を上げることができました。

こうしてアメリカンイーグルはオンライン再販ショップによって顧客サービスの向上に成功。現在、同社は売上成長のためにこのテクノロジーにさらに注力しています。

2-5.【顧客サービス向上】オン/オフラインの融合(FABRIC TOKYO)

FABRIC TOKYOはオーダースーツの販売を行っている会社です。

最近ではオンラインでアパレル商品を購入する顧客が増える傾向にあります。

そうした中でFABRIC TOKYOは、以下のようなDX施策を実施しました。


【FABRIC TOKYOが行ったこと】

①店舗で採寸、ECサイトで購入

一度リアル店舗で採寸を行えば、次からは採寸データをもとにしてECサイトから、着用シーンや好みに合わせてスーツのデザインを選び、生地の色、柄、機能性を自由に選択してスーツをオーダーできるよう、サービスの仕組みを整えました。

その結果、上記の施策は以下のような成功を収めることができました。


【FABRIC TOKYOのDX施策の結果】

①オーダーメイドでありながらいつでもスーツを提供できるようになり顧客体験を向上させた

オーダーメイドでありながら、リーズナブルな価格でオーダーメイドスーツを顧客に提供できるようになりました。また顧客はスマホがあればいつでも、どこからでも、自分のサイズにピッタリで好みのデザインのビジネススーツをオーダーできるようになり、顧客体験を向上させることに成功しました。

これはオンラインとオフラインの融合でアパレルのDXを成功させた事例だといえるでしょう。

2-6.【顧客サービス向上】購買データを活用したコンセプトショップNIKE Liveの展開(NIKE)

NIKEはスポーツ用品(アパレル含む)の製造・販売を行っている会社です。

店舗で取り扱う商品は売上を左右しますが、近年、移り変わりの激しいファッショントレンドや顧客ニーズを把握するのが難しくなっており、「店舗にどの商品を配置するのか」といった判断は難易度が増しています。

そこでNIKEでは、以下のDX施策を実施しました。


【NIKEが行ったこと】

①コンセプトショップ「NIKE Live」をオープン

コンセプトショップ「NIKE Live」をオープンしました。

スマホ用の「NIKEアプリ(ECアプリ)」から収集した顧客データをもとに、スムーズな買い物体験やサービスを提供しています。

具体的には、


・顧客がNIKEのオンラインショップで購入した商品を店舗で受け取ってもらう

・店頭でバーコードスキャンによる商品情報の確認を行ってもらえる

・店頭で特典の取得をしてもらう

・その店舗にしかない限定商品の購入できるようにする

・店頭でスタッフが顧客の足のサイズをスキャンしアプリに登録し、最適なサイズのナイキシューズを購入できるようにする

・LINEを通してスタッフに質問できようにする


といったサービスを提供し、無駄を減らしてスピード感のある買い物ができるようにしています。

NIKE Liveは地域密着を掲げており、商品は周辺地域の顧客の購買データをもとにして2週間に1回入れ替えを行ったり、新商品を先行販売したりするなど、購買データを活かして店舗運営を行っています。

こうしたDX施策が功を奏し、上記の施策は以下のような成功を収めることができました。


【NIKEのDX施策の結果】

①売上高アップ

売上高は順調に推移し、過去11四半期で31%から42%まで上昇しました。

このように顧客の購買データを活かしたDX戦略を実施することで、顧客体験を向上し売上をのばすことができるのです。


3.アパレル業界におけるDX推進の必要性

DX アパレル 必要性のイメージ

ここまでアパレル業界におけるDXとはどのようなものかについて、成功事例もあわせてお伝えしましたが、「結局のところ、自社においてDX推進って必要なのかどうか」は悩むところです。

結論、アパレル業界においてDX推進は必要です。

それは、

・アパレル業界では特に人手不足が進み、業務効率化が求められるから

・顧客が高い顧客体験を求めるようになったから

・移り変わりの激しい顧客ニーズの変化に対応するため

・在庫問題を解消するため

といった理由があるからです。

3章では「アパレル業界にはDX推進は必要」という主張を前提に、その理由について上記4つを詳しく解説していきます。

それぞれ見ていきましょう。

3-1.アパレル業界では特に人手不足が進み、業務効率化が求められるから

1つめの理由は「アパレル業界では特に人手不足が進み、業務効率化が求められるから」です。

アパレル業界では、とくに「販売員」の人手不足が深刻になっています。

販売員は、長時間の立ち仕事やノルマ・売上のプレッシャーがありますが、その割に給与が低いケースが多く、離職率が高くなっています。

優秀な人材は実力を評価して給料に反映してくれるような外資系のアパレル企業や、一流の接客が求められるようなアパレルブランドにヘッドハンティングされたり、転職してしまったりするため、優秀な人材の確保は難しくなっているのです。

WWDJAPANが実施した、主要なアパレル小売企業への「販売員の人手不足の現状(2023)」の調査結果によると、「販売スタッフ(正社員、パート・アルバイト)は足りているか?」の質問に対し、「不足」「とても不足」と答えた企業が8割以上でした。

8割を超えるアパレル小売企業が販売員の不足を感じているという事実は、アパレル業界の人手不足の深刻さを物語っているといえるでしょう。


こうした中でアパレル企業がDXを推進すれば、業務効率化によって販売員の数が少なくてもスムーズな店舗運営が可能になり、さらに在庫管理に人員を割く必要がなくなります。

たとえば以下のように「RFIDタグ」による在庫管理や無人レジを導入してDX化を進めれば、これまでレジ対応や在庫の確認などで必要になっていた人的リソースは不要になるでしょう。


【RFIDタグ導入によるアパレル企業の業務効率化】

①在庫管理におけるRFIDタグの導入

全商品に生産の段階で商品情報の入ったRFIDタグを貼っておくことで、生産工場から出荷されたあと、どの商品がどこに(店舗や倉庫など)どれくらいあるのかを瞬時に把握できます。(たとえば、販売員に配布されたスマホですぐに商品ごとの在庫数がわかるなど)

また「複数のタグを同時に読み取ったり、箱を開けずに中身を読み取ったりできる」というRFIDタグの特性を活かして検品作業や棚卸し作業を行えます。

→大幅な時間短縮・手間削減によって業務効率化し、人手不足を補える

②RFIDタグの導入による無人レジの設置

複数のタグを同時に読み取れるRFIDタグの特性を活かして、RFIDタグを取り付けた複数の商品をレジに置くだけで瞬時に商品情報・価格を読み取れるため、レジを無人化できます。

→販売員の数が少なくてもスムーズな店舗運営ができる

アパレル業界では人手不足が深刻になっているからこそ、こうした業務効率化を実現する「DX」を推進する必要があるのです。

3-2.顧客が高い顧客体験を求めるようになったから

2つめの理由は「顧客が高い顧客体験を求めるようになったから」です。

近年、顧客が価値を感じる対象は商品そのものだけではなく、「体験」も含まれるようになっています。

セールスフォースが行った「2019年度版カスタマーエクスペリエンスの最新事情に関する調査」によると、「より良い顧客体験を受けるためならより多くのお金を払っても良い 」と回答したミレニアル世代(1981年から1997年の間に生まれた人であり、近年のメイン顧客)は86%でした。

つまり、多くの顧客がより良い顧客体験を求めているのです。

こうした現状の中DXを推進すれば、高い顧客体験を提供でき、売上向上につなげることができます。


たとえば先の事例「オンラインとオフラインを融合させたオーダースーツの販売」をもう一度考えてみましょう。

オーダースーツを作りたいときに、リアル店舗で一度採寸を行って「採寸データ」を登録すれば、今後は店舗に行かなくても、好きなデザイン・生地をオンライン上で選択して購入できます。

自分の好みで、体型にぴったりのスーツがいつでもどこでもスマホから注文できるため、「何度も店舗に行く手間が省ける」「欲しいと思ったときに注文ができる」といったように、顧客体験を向上でき、ブランドの価値を顧客に感じてもらうことができるでしょう。

顧客体験を求める顧客が増えているからこそ、今、DXを推進して顧客体験を向上していく必要があるのです。

3-3.移り変わりの激しい顧客ニーズの変化に対応するため

3つめの理由は「移り変わりの激しい顧客ニーズの変化に対応するため」です。

近年SNSの普及によって、顧客ニーズやトレンドの変化スピードは早くなっています。

特に以下のような場合にファッショントレンドの変化が起こる傾向にあります。


【SNSの影響により、ファッショントレンドの変化が加速する事例】

◆インフルエンサーによるファッションアイテムの紹介

最近ではSNS上で活躍するファッションインフルエンサーが大きな影響力を持つようになっています。インフルエンサーが特定のアイテムを紹介すると、そのアイテムが一気に注目を浴び、多くのフォロワーが同じトレンドに敏感に反応する傾向があります。

◆ハッシュタグトレンドの影響

特定のファッショントピックやスタイルに関連するハッシュタグが広く利用され、これによってユーザー間での情報共有が促進されています。ハッシュタグが広がることで、短期間でトレンドが形成され、変化します。

アプリケーション機能の影響

SNSプラットフォーム内において、ショッピング機能や投票機能が利用され、これが新しいファッショントレンドの形成や意見の共有に影響を与えています。ファッション製品への直接的なリンクやユーザーの意見が即座に反映され、トレンドが生まれます。

◆ユーザーコミュニティの形成

SNS上でユーザーコミュニティが形成され、共通のファッション愛好者が集まります。各ユーザーが新しいスタイルやブランドを発見し、その情報が拡散され、トレンドの変化が生じます。

このようにSNSが顧客ニーズやトレンドに与える影響は大きく、ニーズの変化は加速しているのです。あなたもこうしたトレンドが作られる瞬間を目撃したことがあるのではないでしょうか。

こうした中でアパレル企業がDXを推進すれば、顧客に関するデータ収集・分析が可能になり、「今現在、顧客がどんなニーズを持っているのか」を把握しやすくなります。

たとえばアパレルECサイトから以下のような顧客データを収集して分析すれば、顧客属性ごとに、ある一定の期間ではどのようなニーズがあるのか明らかにできます。


・年齢

・性別

・居住地

・購入した日付

・購入した商品

・購入した数量


顧客のニーズが分かれば、「顧客ニーズの高い商品を優先的に店頭に並べられるよう、2週間に1回は商品の入れ替えを行う」「ニーズの高いデザインで商品のバリエーションを増やす」といった施策を実行できるでしょう。

顧客ニーズの移り変わりが激しいからこそ、アパレル企業ではこうしたDX推進によってニーズ分析を細かに行い、顧客に求められるものを販売できるように施策を打ち出す必要があるといえるでしょう。

3-4.在庫問題を解消するため

4つめは「在庫問題を解消するため」です。

近年、アパレル業界では「商品の供給過多」が原因で在庫を抱えすぎてしまっている現状があります。

Techable(テッカブル)がアパレル・ライフスタイル34社(導入ブランド数:168)を対象に行った「アパレル・ライフスタイル企業の利益構造に関する市場調査」によると、各企業が抱える全商品のうち20%のみの商品で利益の8割を生み出していることが明らかになりました。

出典:衣料品の8割は赤字販売/全在庫の2割に利益を頼る構造露呈

同調査では「80%の商品は販売するために過度な値引きをして利益を毀損する傾向があります。そのような商品が全体の80%にも及ぶということは、商品が供給過多であるという事実を表していると言えます。」と商品の供給過多が発生していることを伝えています。

こうした状況を打破するためには、DXを活用することで在庫消化率を高めることができます。

たとえば以下のように「RFIDタグ」による在庫管理を導入した場合を考えてみましょう。


【在庫管理におけるRFIDタグの導入】

全商品に生産の段階で商品情報の入ったRFIDタグを貼っておくことで、生産工場から出荷されたあと、どの商品がどこに(店舗や倉庫など)どれくらいあるのかを瞬時に把握できます。(たとえば、販売員に配布されたスマホですぐに商品ごとの在庫数がわかるなど)

このようにリアルタイムでサプライチェーン全体の在庫管理ができれば、店舗Aで在庫切れを起こしそうな商品Xを、在庫が豊富にある店舗Bから移動させて補充することで在庫の調整を行い、商品Xが売れやすい店舗で在庫を消化するといった施策を行うことができます。

「この商品は売れないからセールにしよう」と決める前に、DX推進によってリアルタイムで在庫管理を行うことで、値引きしなくても販売できるような施策をすぐに打ち出すことができるでしょう。

このように在庫を抱えすぎ利益を失っているアパレル業界の現状を変えるためには、DXの推進は必要であるといえるでしょう。


4.アパレル業界にいてDXを推進する4つの効果

DX アパレル 推進・4つの効果のイメージ

アパレル業界においてDXを活用する必要性について理解したところで、さらに詳しく「アパレル業界においてDXを活用するとどんな効果・メリットがあるのか」を解説します。


・業務を効率化できる

・顧客満足度を向上できる

・サステナビリティを考慮した取り組みを実践できる

・集客につながる

上記4つの効果について、それぞれ見ていきましょう。

4-1.業務を効率化できる

1つめは「業務を効率化できる」ことです。

商品の在庫管理をデジタル化して一元管理することで、検品作業や棚卸し作業、バックヤードの在庫管理などにかかる時間を短縮でき、業務を効率化できます。

また店舗の運営業務をDX推進することで、少ない人数で店舗を効率よく運営できるでしょう。

この記事で何度かご紹介していますが、たとえばRFIDタグを導入しDXを進めることで、在庫管理や店舗運営を以下のように効率化できます。


【RFIDタグの導入によるDX】

①在庫管理におけるRFIDタグの導入

全商品に生産の段階で商品情報の入ったRFIDタグを貼っておくことで、生産工場から出荷されたあと、どの商品がどこに(店舗や倉庫など)どれくらいあるのかを瞬時に把握できます。(たとえば、販売員に配布されたスマホですぐに商品ごとの在庫数がわかるなど)

また複数のタグを同時に読み取ったり、箱を開けずに中身を読み取ったりできるというRFIDタグの特性を活かして検品作業や棚卸し作業を行えます。

②RFIDタグの導入による無人レジの設置

複数のタグを同時に読み取れるRFIDタグの特性を活かして、RFIDタグを取り付けた複数の商品をレジに置くだけで瞬時に商品情報・価格を読み取れるため、レジを無人化できます。

このようにアパレル業界においてDXを行うと、これまで在庫管理や店舗運営に必要な作業時間を大幅に短縮できます。

人手不足が進むアパレル業界では、DX推進によって業務効率化できる点は魅力的なメリットといえるでしょう。

4-2.顧客満足度を向上できる

2つめは「顧客満足度を向上できる」ことです。

DXを推進することで、さまざまな顧客情報や行動履歴、購入履歴のデータを収集・分析が可能になります。分析結果から顧客の属性やニーズを把握できるようになるため、すばやく市場にトレンド商品を売り出すことができ、「このブランドは欲しいものがいつも置いてある。欲しい商品がたくさんある」と顧客に満足してもらうことができます。

たとえば、アパレルショップの店舗を運営するA社がECサイトをオープンした場合を考えてみましょう。

ECサイトを運営していくと以下の情報を取得できるため、それらのデータを活用して顧客のニーズ分析を2週間に1回行うようにしました。


・年齢

・性別

・居住地

・購入した日付

・購入した商品

・購入した数量


そうすると、顧客の属性によってどの商品が購入される傾向にあるのか、地域別にどんな商品が人気なのかといった顧客のニーズを把握できるようになります。

こうしたニーズ分析をもとに、「各店舗の商品は周辺地域の顧客のニーズに合わせて2週間に1回入れ替えを行う」「色・デザイン・素材などの顧客ニーズを取り入れて商品開発を行う」といった施策を打ち出すことができ、結果的に「顧客が求める商品が常に店頭に並んでいる」状態を作り出すことができ、顧客満足度を向上させることができるのです。

また最近では、顧客の相談・質問にチャットで答える店舗も増えており、DX推進する中で、「人にしかできないサービス」を充実させることで、顧客満足度の向上を目指す企業も増えています。

このように、DX推進を行うことで市場や顧客のニーズを把握し施策を打ち出すことができるので、顧客の満足度を向上できるのです。

4-3.サステナビリティを考慮した取り組みを実践できる

3つめは「サステナビリティを考慮した取り組みを実践できる」です。

アパレル業界においてDXを進めることによって、物理的な素材や原材料を使わないで商品を提案できたり、在庫消化率を高められたりできるため、「資源を無駄にしない」という点でサステナブルな取り組みであるといえるでしょう。

たとえばトミーヒルフィガーでは「パターン作成」「サンプル作成」「ショールーム展示」といった制作プロセスを3Dでデザインして行っています。これによって試作段階で出ていた生地やその他の素材を無駄にすることがなくなりました。

またRFIDタグを用いた効率の良い在庫管理を行うことで、どこにどれだけの在庫があるのかをリアルタイムで更新できるようにできます。在庫が余っている店舗から在庫が必要な店舗に移動させるといった在庫消化を効率よく行えるため、在庫が余り過ぎてしまうといった事態を避けることができます。

このようにサステナビリティを考慮して取り組めるという点は、アパレル業界だけでなくどの業界においても重要事項であるため、DX推進による効果は大きいといえるでしょう。

4-4.集客につながる

4つめは「集客につながる」ことです。

店舗の販促活動を拡散力の高いショップアプリ(通販アプリ)やSNSなどの拡散力の高いデジタルツールに移行するDX推進を行うことで、多くの人に情報を発信できるため、より多くの人に購入してもらえる可能性が高くなります。

またECアプリやECサイトの購入履歴や閲覧履歴から、自社商品を購入してくれそうな顧客を狙って最新情報や限定クーポンなどを配信できるため、店舗やオンラインショップへの集客につながります。

具体的には、ECアプリ・ECサイトの顧客データから以下のような施策を打ち出すことで集客につなげることができます。


【ECアプリ・ECサイトで得た顧客データから顧客にアプローチして集客するための施策】

◆購入履歴に基づくパーソナライズドメール

顧客が過去に購入した商品に基づき、その顧客が好みそうな商品のメールキャンペーンを実施します。たとえば、顧客が好む商品カテゴリーの新着アイテムや関連商品の情報を送信し、顧客の興味を引きつけるといった施策を行います。

◆閲覧履歴からのリターゲティング広告

顧客がECサイトで特定の商品を閲覧した場合、その商品に関するリターゲティング広告を配信します。そうすることで興味を示していた商品に対して再度注意を引き、購買意欲を高めることができます。

◆顧客専用のプロモーションコードの発行

過去に購入した商品や閲覧した商品に関連するプロモーションコードを顧客に送信します。たとえば、直近の購入から一定期間経過した顧客に対して限定クーポンを提供することで、再購入を促します。

◆最新情報のプッシュ通知

ECアプリを利用している顧客に対して、最新の商品情報やセール情報をプッシュ通知で配信します。これにより、アプリを通じてリアルタイムに顧客にアプローチし、商品の新着情報を伝えます。

◆特定商品の先行予約権利の提供

過去に特定商品を購入した顧客に対して、新商品の先行予約権利を提供します。このような特典を通じて、顧客に対して感謝の意を示し、早期に新商品を購入してもらう動機づけを行います。

このようにDX推進により顧客データを活用して上記のような施策を実行できるため、顧客にはECショップやリアル店舗に来てもらいやすくなり、集客につながっていきます。


5.アパレル業界におけるDX推進の3つの課題

DX アパレル 3つの課題のイメージ

ここまでアパレル業界におけるDX推進の良い面を紹介しましたが、実はアパレルにおいてDXを進めるのには以下のような障壁があり、推進できていない企業が多いのも事実です。


・顧客が「試着できないこと」に対して不安を持っている

・アパレル業界からのトレンド発信が前提となっている

・個人の販売スキルに依存してきた

しかしすでに上記の課題を解決するための施策も出てきており、課題面を懸念してDX推進を断念してしまうのは、正直なところもったいないといえます。現代においてDX推進をしないのは、ビジネスの競争から降りたも同然でしょう。

そのためアパレルにおいてDXは進めたほうが良い、という結論は変わりません。

そこで5章ではアパレル業界におけるDX推進の課題について解決策を提示しながら解説していきます。

5-1.顧客が「試着できないこと」に対して不安を持っている

1つめの課題は「顧客が『試着ができないこと』に対して不安を持っている」ことです。

顧客は、ECサイトやECアプリだけでは現物を手にとって確認できません。

あなたが服をECサイトで購入する際、サイズや色などが自分に合うのかどうかわからないとか、素材感・質感がわからないといった不安を感じたことはありませんか?

株式会社Virtusizeが行った「アパレル通販における恒常的な問題点についての調査(2020)」によると、約8割のユーザーが「試着ができないから」という理由でオンラインでの買い物をやめてしまうことがあることが判明しました。

顧客は「実物が写真と違う印象だったら嫌だ」「一度試着してみないと自分に合うのかわからない。試着しないで購入したくない」といった不安を持っているのが実情なのです。

この「ECサイト・アプリでは試着ができない」という課題は、実は以下のような施策を行うことによって解決できます。


【解決策】

◆試着・返却サービス

ECサイトで気になった商品を取り寄せ、自宅で試着し、合わなければ返却できるサービスです。

◆画像認識によって顧客にフィットする服を提案するサービス

顧客の画像認識を行い、顧客の体にフィットするサイズを提案してくれます。

◆オンラインとリアル店舗の組み合わせ

オンラインとオフラインを組み合わせ、採寸や生地・質感の確認はリアル店舗で行い、その採寸データをもとにECサイトで購入することが可能です。

ECサイトやECアプリだけでは試着ができないために買い物を諦めてしまう顧客を取りこぼさないよう、上記のような施策を行うことが重要です。

5-2.アパレル業界からのトレンド発信が前提となっている

2つめは「アパレル業界側からのトレンド発信が前提となっている」ことです。

これまではアパレル業界がトレンドを作り、消費者に提供をする「トップダウン型」でした。

雑誌などのメディアを通して「今年のトレンド」を発信することで、消費者がトレンドアイテムを購入する流れが前提だったのです。

あなたもファッション雑誌やさまざまなメディアで「今年のトレンドはオレンジ色」「今年はファーアイテムが流行る」といった、「今年の流行を定義するような発信」にふれたことがあるのではないでしょうか。


しかし近年、SNSなどで消費者が積極的に情報発信できるようになったため、トレンド発信の主導権が移り変わりつつあります。 

たとえば、近年以下のようなことがSNS上で起こり、消費者がトレンド発信しています。


【SNS上で起こった消費者がトレンド発信する例】

◆消費者発信のコンテンツの拡散

消費者がSNS上で自らのスタイルやコーディネートを発信し、これが他の消費者に拡散され、影響を与えるケースが増加しています。特にInstagramなどのビジュアル重視のプラットフォームでは、消費者の投稿が瞬く間に広まり、新たなファッショントレンドが形成されています。

◆消費者の投稿を活用した宣伝

ブランドや小売業者は、消費者が投稿した写真や動画を活用して自社の商品を宣伝する手法が一般的になっています。これにより、ブランドの広告よりもユーザーコンテンツが信頼性を持ち、消費者同士のコミュニケーションを通じてトレンドが形成されます。

◆ハッシュタグキャンペーン

ブランドが消費者に向けてハッシュタグキャンペーンを実施し、消費者がそのハッシュタグを使用して自身のスタイルや購入品を共有することが広まっています。これにより、ブランドのプロモーションにおいても消費者の発信が重要な要素となり、トレンドが生まれやすくなっています。

◆リアルなファッションストーリーの共有

消費者がSNS上でリアルなファッションストーリーを共有し、その生活スタイルや購買体験が他の消費者の憧れとなり真似する人が現れています。ブランドが提示するよりも消費者同士の交流がトレンドに影響を与え、ファッションの多様性が増しています。

こうした状況があるにも関わらず「トレンドの発信はアパレル業界側から」という前提がアパレル業界にあるため、アパレル企業は消費者のデータ収集・分析を積極的に行っておらず、消費者の多様化するニーズを把握しきれていない傾向にあります。

こうした課題がある中、DXを進めるならば、以下の施策を行いましょう。

そしてまずは顧客データを集め、トレンドの把握や属性ごとのニーズを把握し、商品開発や店舗運営に活かしていくと良いでしょう。


【解決策】

◆ECサイトの開設、顧客データの収集・分析

ECサイトやECアプリを開設し、顧客の属性や購入履歴を集計して全体のトレンドや属性ごとのニーズを把握します。また商品の閲覧履歴やカゴ落ち(カートの商品を購入しないで離脱すること)、セット購入のデータを集計・分析すると、顧客の細かなニーズも解き明かすことができます。

5-3.個人の販売スキルに依存してきた

3つめは「個人の販売スキルに依存してきた」ことです。

アパレル業界では、店舗に来店した顧客とコミュニケーションを取りながら、顧客の好み・似合う服などを探って提案する流れが定番でした。

顧客にとっては満足度が高いサービスではあるものの、売上は販売員の接客・販売スキルに依存しているため、DX推進によって顧客が商品を購入するまでのプロセスを均一化したり、マニュアル化してしまったりすると、顧客が購入してくれないおそれがあります。

こうした懸念から、アパレル業界ではDXが進まないのです。

この問題を解決するためには、以下の解決策があります。


【解決策】

◆ライブコマース

ライブ配信を活用した販売方法です。アパレル企業が ショップ店員やインフルエンサーにライブコマースの依頼を行い、配信者がライブ配信で商品をおすすめし、配信の視聴者や配信者のファンがおすすめされた商品を購入します。またコメントなどで配信者に質問を投げかけることもできます。

◆データ分析・AIを活用したレコメンド機能

顧客の購入履歴などから好みなどを分析し、AIを活用して顧客の好みに合った「おすすめの商品」をレコメンドします。

このように個人の販売スキルに依存しなくても顧客が購入してくれるようDX化を行うことで、効率よく多くの顧客にアプローチすることができるようになります。


6.アパレル業界でDX推進するときの全体像

DX アパレル 推進・全体像のイメージ

DX推進を行うべきか検討している場合、その必要性や効果、課題点だけでなく「スケジュール感や期間」「コスト」の面も含めて総合的に判断したいものです。

そこで6章では、アパレル企業でDX推進するときの全体像について、以下3点を解説します。


・DX推進の全体スケジュール

・DX推進に必要な期間

・DX推進に必要なコスト

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6-1.DX推進の全体スケジュール

DX推進の全体スケジュールは、以下の通りです。


【ステップ①】現状把握を行う

【ステップ②】DX推進の目的を決定する

【ステップ③】DX戦略を立てる

【ステップ④】DX推進の組織体制を作る

【ステップ⑤】DX推進の開始

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6-1-1.【ステップ①】現状把握を行う

まずは自社の現状の把握を行いましょう。そうすることで自社の課題を理解でき、どのようなDX施策を行うのが自社にとって良いのかを判断できます。

現状の調査では、以下3つを行うと良いでしょう。


【現状の調査で行うべきこと】

◎DXに成功/失敗している会社の要因を調査

DXの推進は多くの企業が失敗したり、中途半端な状態で終わってしまったりしています。他社の事例を調査し、失敗要因を見つけ出して、同じ過ちを繰り返さないようにしましょう。また、成功事例も数多くあるため、成功している企業の成功要因についても調査して自社のDX施策に活かしましょう。

たとえば「他社のDX失敗要因は、現場までDX推進の必要性を理解してもらえるように、DX推進部門が情報を共有できていなかった」「他社のDX成功要因は、自社の課題と顧客のニーズをしっかり捉えた上で、的を得たDX施策を展開したから」といったように、他社(アパレル企業)がなぜ失敗/成功したのかを知って、参考にしましょう。

◎顧客ニーズの把握

自社にどのような顧客ニーズがあるのかを把握することで、DX推進の方向性を決めることができます。ECサイトやリアル店舗における顧客の購買履歴、行動履歴やアンケートなどを通して顧客が自社に何を求めているのかを把握しましょう。

たとえば、ECサイトやECアプリで、顧客の属性や購入履歴を集計して全体のトレンドや属性ごとのニーズを把握します。また商品の閲覧履歴やカゴ落ち(カートの商品を購入しないで離脱すること)、セット購入のデータを集計・分析すると、顧客の細かなニーズも明らかになります。

◎自社のリソース(技術・人材・システム・データなど)の整理

DXを進めるための社内リソースがあるのかどうかを調査し、整理しておきましょう。

具体的には、


・活用できるデータはどういうものがあるのか、何が足りないのか

・DX人材(デジタル技術が使えるだけではなく、周りを巻き込み推進できる人材)はどのレベルの人が、どのくらいいるのか、どの部署にいるのか

・どのシステムにどういった状態のデータがあり、どのシステムと連携しているのか、誰がアクセスできるのか


を行うことで、自社がどのレベルからDXを推進していくべきなのかが明らかになり、必要なもの(人材採用・育成、ツール・システム、DX推進において必要なデータ)を準備できるようになります。

6-1-2.【ステップ②】DX推進の目的を決定する

次にDX推進の目的を決定しましょう。

目的が定まっていないと、各部署や従業員が異なる方向に動いてしまい、計画どおりにDXが進まなくなる可能性があるのです。

ステップ①で明らかになった自社の現状・課題から、特に解決するべき優先事項を目的として設定すると、自社の課題を解決するDX施策を考えられます。

また経営層にはこの時点で目的を共有し、理解を得ておきましょう。

というのも、DX推進を部署単位で進めても、企業の根本的な課題には対処できない可能性が高いからです。経営層にDXの目的・重要性を理解してもらい、担当者に十分な権限を与えてもらうか、もしくは経営者自ら旗振り役となることで、スピード感のある取り組みを実現できます。

6-1-3.【ステップ③】DX戦略を立てる

次に具体的な戦略を立てます。

自社の課題や目的に応じて有効なDX施策を考えます。

いきなりDX施策を考えるのはハードルが高いため、他社の成功事例を参考にして自社のDXの課題と目的に合うものを取り入れたり、アレンジしたりすると施策を考えやすくなります。

ただしいきなり1つに絞るのではなく、いくつかの候補を出して優先順位を決めて施策を進めたり、並行できそうな施策を並行させて進めたりすると、効率的にDXを推進していけるでしょう。

6-1-4.【ステップ④】DX推進の組織体制を作る

次にDX推進をする組織を作りましょう。

DX推進の組織体制として、以下の3パターンがありますので、自社に適する組織体制を選びましょう。


【DX推進の組織体制パターン】

 

IT部門拡張型

従来のIT部門を拡張してDX推進の役割を与えます。

基幹システムの保守や運用の業務に追加して、DXを進めることになるため、社員へのDXに関する教育が必要になります。


人的リソースがなく、既存の部署にDX推進を任せたい企業におすすめです。

事業部門拡張型

営業部、経理部などの部署内にDX推進の部門を設置します。

それぞれの現場の社員が主導権を握ることで、現場の状況に合わせたDX推進を行うことができます。


部門にデジタル技術に精通した人材がいない場合は、新たに人材を採用する必要があります。

DX推進人材を採用できる、もしくは社内にいる企業におすすめです。

専門組織設置型

DX推進を行う専門部署を新たに設立します。

IT部門と事業部門から人材を集め、両部門の視点からDXを推進していくのが一般的です。現在DXで成功している会社はこの方法でDXを推進しているケースが多い傾向にあります。


ただし経営層とDX推進部門だけでDXを進めてしまい、他部署と軋轢が生じて失敗するケースもあるため注意が必要です。


DX推進人材を採用できる、もしくは社内にDX推進を任せられる人的リソースがある場合におすすめです。

6-1-5.【ステップ⑤】DX推進の開始

いよいよDX推進のスタートです。

デジタルツール・システムを導入すると以前と比べて「どのくらい効率化できたか」「どのくらいリピーターが増えたのか」など、数字として現状が見えるようになります。

効果測定と課題抽出を繰り返して、より効果的なDX推進を進めていきましょう。

6-2.DX推進に必要な期間

DX推進に必要な期間は、「1週間程度〜1年以上」。期間に幅があるのは、会社の規模、現状、導入したツール・システムなどによってその期間は大きく変わり、「このくらいの期間でDX推進できる」と断言するのは難しいからです。

ただし導入するツール・システムによって必要な期間の目処を立てることは可能です。

たとえば「社内向けチャットツールの導入」を数十人程度の会社で進める場合は、1週間程度で運用できるようになります。

一方で「AIによるデジタル採寸」「RFIDタグによる在庫管理」など、大規模にDXを進めようとすると、ただ既存のシステムを導入するのではなく、自社向けにカスタマイズしたり、システムをはじめから開発したりする必要があります。そうした場合、運用までに半年〜1年程度の期間を要する可能性があるでしょう。

DX推進は思わぬところで時間が必要になることもあるため、迅速に対応していくことが重要です。

6-3.DX推進に必要なコスト

DX推進に必要なコストは必要な期間と同じように、「これくらいの費用が必要」と言い切るのは難しいでしょう。

たとえば無料のチャットツールを少人数で運用する場合は、初期費用も運用コストも「ゼロ」にできます。しかし、「AIによるデジタル採寸」「RFIDタグによる在庫管理」といった大規模なツール・システムの導入をする場合は数百万円以上のコストがかかる可能性があります。

さらにDX人材の採用を行うとなると、コストはさらにかかるでしょう。

DX推進に必要なコストは、導入したいDX施策の規模によって大きく変わるということを知っておきましょう。


7.DXの立ち上げはパートナー企業と提携して推進しよう

DX 立ち上げ・パートナー企業・連携のイメージ

DX推進を行う際のスケジュールや期間、コストについてご紹介しましたが、実際のところ、DX推進を行ったことのない企業がいきなりDXを立ち上げて進めていくのは簡単ではありません。

というのも、以下2つの理由があるためです。


①DXを推進する際は、自社にシステム開発できる部署がない場合、パートナー企業(システム開発会社、アプリ会社)の協力がないと進めていけない

②パートナー企業の選び方に失敗すると、自社の業務に合うシステムを作ってもらえず運用が進まないため、DX推進自体がうまくいかない

DX推進には上記のような壁にぶつかる可能性があるため、自社に合ったパートナー企業を判断し、選ぶことが重要になります。


デザインワン・ジャパンではDXをこれから立ち上げる企業様の良きパートナーとなり、DXを成功させるためのDXソリューションやシステム・アプリ開発をご提案しています。

自社で口コミサイト「エキテン」の開発・運営の経験があるため、「開発後にどのようなことが必要なのか」「どのようにスケールさせていくべきなのか」といった、その後の運用も見据えた、御社にぴったりの企画提案やシステム・アプリの作り込みができます。

また既に自社サービス(口コミサイト「エキテン」)を運営しているため、システム開発だけを行うだけでなく、「新規のWEBサービスをどのように業務フローとして回すのか」「競合サービスと比べての差別化ポイントをどこに持ってくるのか」といったことも含めて、包括的にサポートすることが可能です。

アパレル企業としてDX推進をしていきたいとご検討中の場合は、ぜひ一度お問い合わせください。


ご相談・お見積りは無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、アパレル業界のDX推進についての基礎知識、成功事例、その必要性や効果、DX推進の課題などを解説しました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。


◆アパレル業界におけるDXとは

ツールやシステムを駆使して「業務を効率化する」「顧客サービスを向上する」のいずれか、もしくは両方を実現すること

◆アパレル業界におけるDX推進の必要性

・アパレル業界では特に人手不足が進み、業務効率化が求められるから

・顧客が高い顧客体験を求めるようになったから

・移り変わりの激しい顧客ニーズの変化に対応するため

・在庫問題を解消するため

◆アパレル業界におけるDXを活用する4つの効果

・業務を効率化できる

・顧客満足度を向上できる

・サステナビリティを考慮した取り組みを実践できる

・集客につながる

◆アパレル業界におけるDX推進の3つの課題

・顧客が「試着できないこと」に対して不安を持っている

・アパレル業界からのトレンド発信が前提となっている

・個人の販売スキルに依存してきた

◆DX推進全体スケジュール

【ステップ①】現状把握を行う

【ステップ②】DX推進の目的を決定する

【ステップ③】DX戦略を立てる

【ステップ④】DX推進の組織体制を作る

【ステップ⑤】DX推進の開始

◆DX推進に必要な期間

DX推進に必要な期間は、「1週間程度〜1年以上」。会社の規模、現状、導入したツール・システムなどによってその期間は大きく変わるため、「このくらいの期間でDX推進できる」と断言するのは難しい。

◆DX推進に必要なコスト

DX推進に必要なコストは必要な期間と同じように、「これくらいの費用が必要」と言い切るのは難しい。

本記事がアパレル企業様のDX推進において参考になれば幸いです。


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