アジャイル開発の失敗は、なぜ起こる?原因と対策をケース別に解説
目次
なぜアジャイル開発を取り入れるのか?従来型と比較して解説
アジャイル開発は、ひとつのシステム開発を機能ごとに分割し、機能単位で要件定義などの上流設計から開発、テストまでのサイクルを完了させる手法です。
対して従来のウォーターフォール型開発ではシステム全体で要件定義からリリースまでを一貫して行い、上流から下流へ水が流れるように、順番に開発が進みます。そのため、途中でバグなどの問題が発生した際にはプロジェクト自体がストップしてしまう可能性が高く、原則として仕様の変更もできません。
機能単位に開発を進めるアジャイル開発は、要件定義の変更にも随時対応できます。問題が発生しても機能単位で解決できるため大規模な手戻りが生じず、スピーディーな開発が可能です。ユーザーのフィードバックにも柔軟に対応できるので、よりニーズにマッチした機能へブラッシュアップができます。
アジャイル開発の特徴やメリット・デメリットの詳細は、以下の記事で解説しています。アジャイル開発をもっと理解したいと考えている担当者の方は、ぜひご覧ください。
アジャイル開発とは 特徴とメリット・デメリットを解説(DX王)
アジャイル開発が失敗する原因を事例別に解説
アジャイル開発はメリットが多い反面、失敗するケースも多い手法です。成功させるために、失敗が起こりやすい4つの事例を解説します。
事例1:発注側がアジャイル開発について理解していない
ウォーターフォール型開発の場合、要件定義の完了後は開発者が中心となって進めるため、発注者の手を一度離れます。
しかし、アジャイル開発では発注者も積極的に開発工程に関わらなくてはなりません。各機能のサイクルごとにフィードバックをおこなったり、要件定義を再構築したりする時間を確保できず、ウォーターフォール型開発のように開発者任せで進めると失敗する可能性が高いです。
柔軟でスピーディーな開発ができるアジャイル開発ですが、スケジュールや予算などの変更にも柔軟に対応する必要があります。その際、現場を担当する発注者だけでなく、経営陣などの上層部がアジャイル開発を理解できていないとスムーズな決定ができず、失敗に繋がるケースが考えられます。
事例2:プロダクト責任者の権限が不明確
アジャイル開発の強みである柔軟性とスピード感を最大限に活かし、プロジェクトをスピーディーに推進するために、プロダクト責任者の参画は不可欠です。
しかし、プロダクト責任者の権限が不明確で指示系統が機能していない場合、現場主導で不要な追加開発をしたり、開発要件を決めきれなかったりと、プロジェクトの進行に影響を及ぼすおそれがあります。
プロダクト責任者が明確かつ十分な決定権を持つことで、要件整理から決定までをスムーズに行えます。
事例3:チーム内のコミュニケーション不足
アジャイルソフトウェア開発宣言に「プロセスやツールよりも個人と対話を」とあるように、アジャイル開発ではプロジェクトチーム全体での「対話」が重要です。
必要に応じて都度修正しながら開発を進めるため、チーム内のコミュニケーションが不足していると認識の齟齬が生じやすく、一方の論理のみでプロジェクトが進んでしまうケースも考えられます。
結果的に手戻りが発生するなど、アジャイル開発の強みであるスピーディーな開発が難しくなり、プロジェクトの進行に遅れが出たり、プロダクトの質が低下するリスクが高まります。
事例4:プロダクトがアジャイル開発向きではない
アジャイル開発は柔軟かつスピーディーな開発を実現する優れた開発手法ですが、すべてのプロダクトに適応する手法ではありません。
既に運用しているシステムのリプレースや、規模が大きくステークホルダーが多いプロジェクトなどの場合は、ウォーターフォール型が適しています。
アジャイル開発ありきではなく、プロダクトやプロジェクトの適性を見極めて開発手法を選びましょう。
アジャイル開発の失敗を防ぐために押さえるポイント
アジャイル開発が失敗する原因を踏まえて、アジャイル開発での失敗を防ぐために必要な4つの方法を紹介します。
①アジャイルソフトウェア開発宣言をもとに、認識をそろえる
先ほど紹介した失敗の原因に共通するのがアジャイル開発の理解が乏しいことです。 ますは、はアジャイルソフトウェア開発宣言を参考にプロジェクト参加者の認識をそろえましょう。
- プロセスやツールよりも個人と対話を
- 契約交渉よりも顧客との協調を
- 計画に従うことよりも変化への対応を
※アジャイルソフトウェア開発宣言より一部抜粋
特に、「個人との対話」や「動くソフトウェア」、そして「顧客との協調」「変化への対応」は、開発において重要です。進捗状況が悪いと感じたタイミングなど、必要に応じて振り返りを行い、チーム内の足並みが揃っているかを確認しながらプロジェクトを推進しましょう。
②スプリントごとに関係者一同で振り返りを行う
アジャイル開発では、発注側も積極的に開発に関わり、要求や課題を主張することが大切です。具体的には、スプリント(開発期間を1~2週間ごとに区切り、その中で仕様の設計、開発、リリースを行うこと)ごとに進捗を振り返るミーティングを実施し、「YWT」や「KPT」などのフレームワークを活用しながら振り返りを行います。
「YWT」では「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」を、「KPT」では「続けること(Keep:K)」「問題(Problem:P)」「次に挑戦すること(Try:T)」を振り返ります。定期的な振り返りを行うことで開発の抜け漏れの防止や仕様変更の判断ができるため、開発効率の向上にもつながります。
③スクラムマスターなど知見のあるメンバーをPMに起用
チームメンバーがアジャイル開発を理解し、実践できるように、スクラムマスターなど知見が深いメンバーをPMに起用しましょう。
アジャイル開発は機能追加や修正が細かく入るという特性上、想定通りに進まないケースも多いです。その際、対処方法やフレームワークの活用などの知見を持ち、チームの士気を高めてくれる経験者がいると、プロジェクト成功の可能性が高まります。
しかし、開発には期限があり、ピンポイントでメンバーを採用することも現実的ではありません。
デザインワン・ジャパンのオフショア開発では、これまでに500以上の開発に関わってきたプロフェッショナル人材を有しています。開発コストを抑えたいけれど、品質にも妥協したくない。IT人材の確保でお悩みの担当者の方は、実績が豊富な当社にぜひ一度、ご相談ください。
④アジャイル開発に過度な期待を持たない
柔軟に機能の変更ができる点はアジャイル開発の大きなメリットですが、最終的なビジョンを共通認識として持たないまま変更を繰り返すと、作業範囲が拡大して負担が増えたり、不必要な手戻りが生じたりします。
また、経験の浅いメンバーが多いチームの場合、自由度の高いアジャイル開発では目的や進行方向を見失いやすいので、チーム内でのフォローも重要です。開発にかかる時間や資金、人材などのリソースの予測も難しいため、プロジェクトがスタートする時点で会社の理解を得られない可能性もあります。
さらに、アジャイル開発が失敗する原因のケース4で解説したように、プロダクトがアジャイル開発向きではない場合もあります。
経験が豊富なエンジニアや知見の深いスクラムマスターをプロジェクトのリーダーに起用した上で、チーム内の連携を強化し、アジャイル開発に過度な期待を持たず、プロジェクトの性質に合わせて柔軟に開発方法を変えましょう。
デザインワン・ジャパンのDX推進支援×オフショア開発
デザインワン・ジャパンは、自社Webサービスの運用や受託開発の豊富な経験を生かし、新規事業のアイデア創出・ビジネス企画・プロトタイプ開発・本開発・保守運用まで包括的な支援が可能です。
オフショアのコストメリットを生かしたアジャイル型の開発を提供
デザインワン・ジャパンのグループ会社は、ベトナムに本社を構えています。また、過去には最大60%のコスト削減を実現した実績もあります。中長期に及ぶような開発や自社プロダクトの開発などには、デザインワン・ジャパンが提供するアジャイル型の開発スタイル「ラボ契約」が特に高いコストパフォーマンスを発揮します。
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デザインワン・ジャパンには、BtoBサービスやWebアプリ、スマートフォンアプリなど合計で500以上のサービス・新規事業開発の経験があります。サービス開発を依頼された際には、豊富な経験を生かして御社の新規事業開発やグロースをサポートします。
まとめ
アジャイル開発は従来のウォーターフォール開発に比べ柔軟性が高く、コストパフォーマンスの改善につながる可能性のある開発手法です。しかし、アジャイルの本質に対する理解不足がある場合、「細切れに開発しているだけのウォーターフォール開発」になってしまうことも。
アジャイル開発の失敗を防ぐには事前に失敗事例やその原因を理解し、過度な期待を持たないことが重要です。
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