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【2024年最新】日本と海外のDX動向|今後の予測・業界別の傾向

【2024年最新】日本と海外のDX動向|今後の予測・業界別の傾向

目次

「DX市場の動向が知りたい!DXは一時的なトレンドなの?それとも今後も必要なの?」

「DX市場の今後の動向は?今後はDX推進が必要になるの?」


企業がDXに取り組むときにDXは一時的な取り組みなのか、それとも今後はスタンダードな取り組みなのかDX市場の動向が気になりますよね。


国内のDX市場は年々拡大しており、今後も拡大が継続する見込みです。2030年には6兆5,195億円のDX市場に到達する予測です。

日本のDX市場の推移

業界別に見ても、どの業界でもDX市場は拡大していく見込みです。そのため、業界のDXの動向や国内外のDXの動向を理解したうえで、自社に合う手法でDXを推進することが大切です。

 

業界

2030年の市場規模予測

製造業

拡大見込み
8,130億円

小売業


拡大見込み
669億円(流通・小売として算出)

金融

拡大見込み
3,020億円

物流

拡大見込み
3,842億円(交通・運輸・物流として算出)

不動産

拡大見込み
502億円(不動産・建設として算出)

バックオフィス業務

拡大見込み
2,789億円

そこでこの記事では、国内外のDX市場の動向や日本のDXの課題、今後の予測をまとめて解説していきます。とくに業界別のDXの動向では現状と今後の動向をまとめているので必見です。


【この記事を読むと分かること】

・日本のDXの動向

・日本の業界別のDXの動向

・【日本のDXは遅れている】海外のDXの動向

・【DXの動向から分かる】日本のDXの課題

・DX市場拡大に備えてDXに取り組むべき

・DXを始めるにはまず何をするべき?DXを始めるときの3つのヒント


この記事を最後まで読めばDXの動向が理解でき、自社ではどのようにDXを推進するべきか検討できるようになります。DXを推進する重要性を理解するためにも、ぜひ参考にしてみてください。この記事は、デザインワン・ジャパン  DX事業本部でDX支援に携わる泉川学が作成しました。




1.日本のDXの動向

日本のDX市場は年々拡大傾向にあります。まずは、日本のDXの動向を理解するために、DX市場の推移や今後の予測をご紹介します。


1-1.日本のDX市場の推移

日本のDX市場は、年々拡大傾向にあります。富士キメラ総研が実施した「DX関連の国内市場」によると、2022年度(見込み値)の国内DX市場は2兆7,277億円です。2020年度から2022年度(見込み値)の2年間で1兆3,456億円も市場が拡大しています。

 

日本のDX市場の推移

2020年度

1兆3,821億円

2022年度見込み

2兆7,277億円

2030年度予測

6兆5,195億円


参考:富士キメラ総研「DX関連の国内市場」


2022年度の企業ごとのDXの取り組み状況を見るとDXの取り組みを始めている企業が36.8%、検討・実証段階が31%と何らかのDXへの取り組みを行っている企業は67.8%にのぼります。3年以内に取り組みを開始する予定がある企業を含めると80%を超え、DXに対して前向きな企業が多いことが分かります。

日本企業のDXへの取り組み状況

すでに取り組みを開始し具体的な施策を実行している

36.8%

取り組みを開始しているが検討・実証段階である

31%

今後3年以内に取り組みを開始する計画がある

13.4%

期は未定であるが取り組む計画がある

9.8%

今後取り組む予定であるが、具体的な計画はない

9%


参考:富士キメラ総研「DX関連の国内市場」


・新型コロナウイルスの流行によりデジタルシフトの必要性を実感した

・デジタル技術やデジタルツールの選択肢が増えてきた

・消費者もデジタルツール活用に抵抗が少なくなってきた


などの背景があり、日本企業のDX市場は拡大を続けています。

1-2.日本のDX市場は2030年には6兆円超えの見込み

日本のDX市場は、2030年には6兆5,195億円に達する見込みです。2022年度(見込み値)の国内DX市場は2兆7,277億円なので、約2.3倍に拡大すると考えられています。


業界ごとのDX市場を見ても、全業種共通して2030年までにさらに市場が拡大する予測が出ています。


業界

2022年度見込み

2030年度予測

DX市場全体

2兆7,277億円

6兆5,195億円

製造

2,990億円

8,130億円

流通・小売

669億円

1,852億円

金融

3,020億円

8,880億円

交通・運輸・物流

3,842億円

1兆1,795億円

不動産・建設

502億円

1,514億円

バックオフィス業務(業種共通)

2,789億円

6,515億円


参考:富士キメラ総研「DX関連の国内市場」


今後はDXを推進する企業がより多くなり、DX市場が拡大していくと考えられます。また、ドローンやAI、ロボットなどの最新技術の発達も見込まれるため、DXが推進しやすい環境となっていくでしょう。

次の章からは、業界ごとのDXの現状や今後の予測を詳しく解説していきます。




2.日本の業界別のDXの動向

ここからは、業界ごとのDXの動向をご紹介します。日本のDX市場は業界問わず拡大傾向ですが、業界によって特徴が異なります。どのようにDXを推進しているのか、業界ごとの動向を参考にしてみてください。

業界

2030年度の市場規模予測

DXの動向

製造業


拡大見込み

8,130億円

・2021年時点でデジタル技術を活用している企業は60%を超えている

・設計や製造、生産管理の工程でデジタル技術を活用

小売業


拡大見込み

669億円(流通・小売として算出)

・新型コロナウイルスの流行を機にDX化が促進

・リアル店舗とオンライン店舗の双方でDX化を推進

金融


拡大見込み

3,020億円

・DX推進が実行フェーズへと移行し、デジタルツールやマルチチャネルの活用が進んでいる

・顧客接点のデジタル化が進んでいる

物流


拡大見込み

3,842億円(交通・運輸・物流として算出)

・日本の物流政策の1つとして総合物流施策大綱に取り組んでいる

・今後はドローンやロボット、AIの活用が期待されている

不動産

拡大見込み

502億円(不動産・建設として算出)


・不動産DXに取り組んでいる企業と取り組む予定の企業を合わせると70%超えでDXに積極的

・顧客管理やWeb接客などの導入が進んでいる

バックオフィス業務


拡大見込み

2,789億円

・DXの成果を感じている企業が多い

・今後はDX推進による業務効率化や生産性向上が進み余力が生まれると予測される


2-1.【製造業】デジタル技術活用企業が60%を超える

「2023年版ものづくり白書」によると、ものづくりの工程や活動においてデジタル技術を活用している企業は年々増加しており、2021年には60%を上回っています。


ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況

2019年

49.3%

2020年

54.0%

2021年

67.2%


参考:経済産業省「2023年版ものづくり白書ものづくり企業におけるデジタル化に対応した人材の確保・育成」


製造業では設計や製造、生産管理の工程に下記のようなデジタル技術を活用して、業務効率化や生産精度の向上につなげています。とくにCADやCAMは72%以上の企業が活用しており、属人化していた作業からの脱却を遂げています。


参考:経済産業省「2023年版ものづくり白書ものづくり企業におけるデジタル化に対応した人材の確保・育成」


【用語解説】

・CAD(Computer Aided Design):コンピュータを使い製図・設計を行うツール

・CAM(Computer Aided Manufacturing):CADで作成した製図を基に製造に必要なプログラムなどを作成するツール

・ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術という意味で、通信技術を活用したコミュニケーションを指す。ITに代わる言葉として注目されている

・IoT(Internet of Things):ネットワークと製品(住宅設備や電化製品など)を接続し情報の共有、遠隔操作などを行う仕組み

・RPA(Robotic Process Automation):パソコンを使うルーチンワーク(繰り返し同じ作業を行う事務処理など)を自動実行するツール

・AI(Artificial Intelligence):機械学習を行い精度を高めながら分析や解析、予測などを行う



また、経済産業省が公表している製造業のDX事例を見ると、デジタル技術を活用して業務効率化や工程削減、コスト削減を実現していることが分かります。


【製造業のDXの具体的な事例】

・図面や設計データを全拠点で共有できるようにして拠点の差を減らし、どこでも同じ品質の製品を製造できるようにした

・バーチャル空間上で設計部門や製造部門、品質保証部門がデータ共有・デザインレビューができるシステムを導入し試作にかかるコストと時間を削減した

・AI, CADの一部などをオープンソース化して、製品開発プロセスの工程削減を行った

・工程ごとに必要な作業を標準化・可視化できるデジタルツールを導入し、必要な作業の明確化、品質向上を行った

参考:経済産業省「製造業DX取組事例集」


例えば、複数拠点を持つ工場では全工場で共通利用できる図面や設計データを活用し、工場間の品質、工程の差を減らせるようにDXを推進しています。

また、今までブラックボックス化していた製造工程や設計ルールなどをデジタルツールを活用しながら標準化することで、作業の明確化や品質の均一化を図る事例も見受けられます。

ものづくり大国と言われた日本の製造業技術は、職人の高度な技術や知識により成り立っていた部分がありました。人材不足が深刻化する中でDXを推進し、限られた人材で一定のクオリティを担保できる環境づくりが進められています。

2-1-1.今後の動向

製造業のDX化は今後ますます促進すると考えられています。2030年には2022年度予測の約2.7倍となる8,130億円の市場規模に到達する見込みです。


・デジタル技術を活用した情報の可視化・共有

・ロボットやデジタル技術を活用した工程の削減・簡略化

・AIやIoTを活用した品質の向上

・デジタル技術を活用した安全性の担保

・デジタル技術を活用した顧客分析


など、様々な製造工程でDX化が進んでいくでしょう。


製造業ではDX化が進んでいる企業がある一方で、知識不足やコストの面からハードルが高くDX化が進まないケースも見受けられます。経済産業省が公表している「2023年版ものづくり白書」を見るとデジタル技術を活用できない理由として、知識不足やDX人材不足が挙がっています。


参考:経済産業省「2023年版ものづくり白書ものづくり企業におけるデジタル化に対応した人材の確保・育成」


今まで手作業で行っていた工程をデジタル化すると、習得しなければならないスキルが大きく変わります。例えば、CADやCAMを導入する場合、携わる社員全員が基本的な使い方やルールなどを理解しなければなりません。


・属人化していた作業をどのようにデジタル化していくのか

・DXを促進するための知識やノウハウをどのように蓄積していくのか

・DXを推進する人材をどのように獲得、育成していくのか


という部分が、製造業がDXを推進するための課題となっています。

2-2.【小売業】リアル店舗とオンライン店舗でのDX化が進む

スーパーや専門店などの小売業では新型コロナウイルスの流行を機に、DX化が促進する動きがありました。東京商工会議所が2021年に実施した調査によると、48.7%の小売業がコロナ禍を機にデジタル化・IT活用が増加したと回答しています。


小売業のDXは顧客管理や在庫管理などのバックオフィス業務(バックオフィス業務については2-6.【バックオフィス】DXが業務効率化に結びついていると実感で解説しています)だけでなく、店舗でも加速しています。スマートフォンの普及を機にリアル店舗に加え、オンライン店舗(ECサイトやアプリ)というカテゴリーが登場しました。一例としてそれぞれの店舗業態で、下記のようなDX化が進んでいます。

店舗の種類

DX推進の具体的な例

リアル店舗

・データを利活用した顧客分析やマーケティング

・需要予測を活用した商品管理

・店舗オペレーションやマネジメントのデジタル化

・セルフレジや無人店舗の導入

オンライン店舗

・リアル店舗とオンライン店舗のデータ・在庫共有

・新しい顧客体験の提供(ライブコマースなど)

・商品購入から配送までの業務効率化

例えば、リアル店舗で有効活用できていない店舗データや顧客データが蓄積しているケースがあります。DXを促進して店舗運営に関するデータを集約できれば、精度の高い顧客分析が可能です。その結果、データに基づく在庫管理やマーケティングができるようになるでしょう。


また、オンライン店舗では物流倉庫や店舗とデータを共有し、商品購入から配送までを効率化するケースが出てきています。DXを推進することで人材不足をカバーしながら、複雑化しやすい物流工程を簡略化する動きも見受けられます。

2-2-1.今後の動向

小売業ではDXが加速し、2030年に2022年予測の約2.7倍となる1,852億円のDX市場になると予測されています。とくに小売業では今後デジタルツインがトレンドとなり、DXが加速すると考えられています。


デジタルツインとは現実社会で収集したデータを使いバーチャル空間でシミュレーションや分析を行い、現実社会にフィードバックすることです。様々な業種で活用が期待されていますが、小売業では下記のような活用が期待されています。


・バーチャル空間のシミュレーションを通して適切な従業員数を把握する

・バーチャル空間の顧客導線を分析し商品の配置や在庫管理を検討する

・バーチャル空間での顧客滞在時間や客層を分析し必要なマーケティングを検討する


総務省が公表しているデータでは、世界のデジタルツインの市場規模は2025年には3兆9,142億円に成長すると述べられています。デジタルツインの活用で適切な人材配置やリスク管理ができるようになり、DXの核となる新たな価値の創出へとつながるでしょう。


一方で、小売業では、下記のような点でまだまだ課題が残っています。


・セルフレジや無人店舗の運用

・リアル店舗とオンライン店舗間でのデータ共有

・AIの有効活用


現在はまだAIによる需要予測や来店予測などを有効活用しきれていない傾向があります。また、セルフレジや無人店舗の有効な運用方法にも課題が残っています。DXの促進とともに、これらの課題を解消していくことも必要でしょう。


参考:東京商工会議所「中堅・中小流通・サービス業の経営課題に関するアンケート調査結果概要」

参考:総務省「ICT市場の動向」

2-3.【金融】金融向けIT市場規模は拡大傾向にある

銀行や証券会社などの金融業界は、金融向けIT市場規模が拡大し続けています。この背景には金融業界のDX推進が実行フェーズへと移行し、デジタルツールやマルチチャネルの活用が進んでいることが挙げられます。新型コロナウイルスの流通を機に顧客接点のデジタル化が進み、下記のようなDX促進の取り組みが見受けられるようになりました。


【金融業界のDXの取り組み一例】

・オンラインバンクや自社アプリでサービス提供して差別化を図る

・AIの分析、予測機能を活用した商品提案をして利益拡大を目指す

・デジタル通帳やWeb上での契約を活用して業務効率化・ペーパーレス化を進める

・全社共通システム基盤をクラウド上に構築してマーケティングに活用する


従来は顧客がATMや銀行窓口に足を運ばないと金融商品の提案を受ける、口座操作をするなど利益拡大につながる行動ができませんでした。DXを推進することで金融企業側から積極的に接点を構築し、利益創出や顧客満足度の向上につなげることができるようになりました。


例えば、自社アプリやWebサイトに搭載したAIチャットボットを通じて、顧客に合う商品を提案している事例があります。人件費をかけることなく顧客の状況に応じた提案を行うことで、利益拡大を目指します。また、金融業界は扱う資料や情報の量が多く、手続きに時間と手間がかかる側面がありました。


DXを推進し必要なデータを基盤に集約する、一部の確認や判断をAIが行うなどできれば、処理業務を効率化することも可能です。

2-3-1.今後の動向

金融業界は今後DXが加速し、2030年には8,880億円のDX市場になると予測されています。多くの金融機関が店舗・チャネルの最適化やデジタル化の推進に積極的なので、業界全体のDX化が進むと考えられるでしょう。SXを推進するうえで課題となるのが、金融業界のDXを支える人材の確保です。


・DX化に対応できるノウハウがある人材

・現状のシステムの課題を見つけて改善できる人材

・新しいツールやシステムの運用、管理ができる人材


など、金融業界のDXを推進できる人材がいないとスムーズに進めることができません。とくに金融業界はセキュリティを担保しながら進める必要があるので、金融業界に精通したDX人材の確保や育成が課題となっています。

2-4.【物流】総合物流施策大綱に取り組みDX化を推進

倉庫管理や運送業務などを行う物流業界は、日本の物流政策の1つとして総合物流施策大綱に取り組んでいます。


総合物流施策大綱の柱の1つには「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」が掲げられており、主に下記のような取り組みをしています。

総合物流施策大綱に記載されている物流DXの取り組み内容

物流デジタル化の強力な推進

伝票や書面の電子化・データ基盤の整備など

自動化・機械化の取り組みの推進

倉庫内作業のロボット活用・自動運転の実現に向けた取り組みなど

物流標準化の取り組みの加速

業種ごとに物流の標準基準を作るなど

物流・商流データ基盤

データ基盤の構築と運営体制を整える

高度物流人材の確保・育成

DXを推進できる人材の確保・育成をする

参考:国土交通省「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度) の取組状況」


物流DXでは取り扱う情報のデジタル化やロボット活用、人材の確保などを推進しています。実際に物流DXを推進した事例には、下記のようなものがあります。


【物流DXの事例】

・物流倉庫管理システムを構築し複数の倉庫在庫を一元管理して業務効率化する

・デパレタイザー(荷下ろしロボット)を導入し不規則に積まれたケースの荷下ろしを自動化する

・自動配車クラウドを導入し配車に関する業務負担を軽減する


※検証段階の事例も含みます

参考:国土交通省「物流・配送会社のための 物流DX導入事例集」


管理負担の大きい物流倉庫管理や配車管理のシステム化や倉庫内作業の自動化など、属人化していた作業を軽減し業務効率化・人材不足の解消を目指す事例が目立ちます。

2-4-1.今後の動向

交通・運輸・物流業界では今後ますますDXが加速し、2030年には1兆1,795億円のDX市場になると予測されています。とくに物流業界は2024年問題(働き方改革によりドライバーの労働時間に制約が生まれると言われている)が迫っており業務効率化や業務量の削減を急いでいるので、短期間でDX化進むと考えられています。


また、物流業界はロボットだけでなくドローンの活用も注目されています。ドローンにより過疎地域や危険地域への配送ができるようになれば、限られた人員で効率よく配送できるようになるでしょう。


一方で、物流DXは規模が大きくなる傾向があり、物流DXを進めるためにコストと労力がかかるところが大きな課題です。例えば、複数の物流倉庫がある、倉庫の規模が大きいなどの場合は、設備投資に費用がかかります。


また、複数の企業が連携して業務を行っている場合や多くのドライバーと契約をしている場合は、1企業の思いだけでDXを進めることが難しいです。関連企業やドライバーの理解を得ながら進めなければならないところも、物流DXのハードルになっています。

2-5.【不動産】DXの推進に前向きで成果を実感している

不動産の売買や賃貸などを行う不動産業界は、DXに前向きな姿勢です。「不動産業界のDX推進状況調査」によると、不動産DXに取り組んでいる企業と取り組む予定の企業を合わせると約70%にのぼります。


不動産業界は契約書の作成や顧客フォロー、営業活動など意外にも属人化している作業が多く、DXを推進することで事務処理や顧客管理などにかかる時間を削減し、コア業務への集中を期待できます。


参考:全国賃貸住宅新聞社、不動産テック事業者4社、業界専門メディア1社合同企画「不動産業界のDX推進状況調査」


導入しているDXサービスは業務効率化につながるWeb会議システムや賃貸管理システムなどが上位となっています。


参考:全国賃貸住宅新聞社、不動産テック事業者4社、業界専門メディア1社合同企画「不動産業界のDX推進状況調査」


不動産業界のDX推進の事例を見てみると、業務効率化や営業の負担軽減につながるものが多いです。例えば、オンラインでの商談や内覧は、営業が移動する負担や内覧準備などの手間を省き生産性向上につながります。


【不動産業界のDXの事例】

・オンライン商談やオンライン内覧を実施して生産性向上につなげる

・オーナー向けの不動産管理アプリの導入し問い合わせを減らしコア業務に集中する

・契約書面や重説の電子化をして書類作成の負担軽減・ペーパーレス化を推進する


実際にDXに取り組んでいる不動産業界の企業の70%以上が「業務効率化」「成約率アップ」などの効果を実感しており、DX化を推進するメリットを感じています。

2-4-1.今後の動向

不動産・建設業界では今後ますますDXが加速し、2030年には1,514億円のDX市場になると予測されています。不動産業界ではDXがもたらす成果を実感している企業の多いため、DXを推進しやすいでしょう。今後導入したいDXサービスには入居者やオーナー管理アプリ、RPAなどが挙がっており、今後はより幅広い視点でDXを推進するようになるでしょう。


一方で、DXを推進するうえで、DX人材の確保が課題となっています。デジタルツールやアプリ導入などに携わった経験のない社員が多いため、導入方法やスケジュール、メンテナンスなどもネックになる声もあります。今度はDXを定着させていくためにも、DXを推進できる環境づくりが必要となるでしょう。

2-6.【バックオフィス】DXが業務効率化に結びついていると実感

総務や経理などのバックオフィス業務では、DX化が進んでいます。株式会社セイルズが実施した「DXに対するバックオフィスの本音に関する調査」によると、下記のような業務でDXが進んでいるようです。


最もDX化が進んでいるのは勤怠管理業務で、紙面で行っていた勤怠管理がデジタル化したことで給与計算や福利厚生管理の負担が軽減したとの声があります。


参考:株式会社セイルズ「DXに対するバックオフィスの本音に関する調査」


また、下記のようにバックオフィスのDXを進めている事例があり、業務効率化や人的ミスの削減につながっています。例えば、事務処理に必要なデータをクラウドサービス経由で利用できる環境を構築できれば、多様な働き方に対応できます。在宅ワークなども検討でき、人材の確保がしやすくなるでしょう。


【バックオフィスのDX事例】

・社内・社外の問い合わせ窓口としてチャットボットを設置し問い合わせにかかる負担を軽減した

・数値の入力やデータ転記をRPAに任せることで人的ミス、負担の軽減につながった

・複数のクラウドサービスを活用して多様な働き方に対応できる環境を構築した



「DXに対するバックオフィスの本音に関する調査」によると、DXにより70%以上の回答者が業務効率化につながっていると実感しています。

2-6-1.今後の動向

バックオフィス業務のDX市場は拡大を続け、2030年には6,515億円に到達する予測です。デジタルツールやAIなどの導入が進み業務効率化ができると、余力が生まれます。DX化が実現した先では営業やマーケティングサポート、経営支援など、バックオフィスを担っていた人材が携わる業務が変わっていくという考え方もあります。


一方で、バックオフィスDXを一時的なものではなく継続していく取り組みも課題となっています。例えば、システムを導入したものの扱える人材がいない、管理ができていないとなると、DXを推進することができません。DXを推進するために導入したシステムやツール、設備をどのように維持管理していくのか検討するフェーズにきています。




3.【日本のDXは遅れている】海外のDXの動向

国内のDX市場が理解できたところで、海外のDX市場に目を向けていましょう。「デジタルトランスフォーメーションの世界市場レポート2023年」を見ると、世界のDX市場は2023年に1兆4,348億4,000万米ドルに到達しています。2027年には3兆1,528億5,000万米ドルに成長すると予測されています。


現在最も成長しているのは北米地域ですが、今後はアジア太平洋地域の成長が期待されています。


世界のDX市場規模の推移

2022年

1兆1,690億2,000万米ドル

2023年

1兆4,348億4,000万米ドル

2027年

3兆1,528億5,000万米ドル


参考:「デジタルトランスフォーメーションの世界市場レポート2023年」


日本と同じように世界のDX市場も拡大中ですが、実は日本はDXに出遅れています。この章では、日本が世界の中でDXに遅れている2つの理由を詳しく解説していきます。


日本DXが遅れている理由

・日本のデジタル競争力は27位で低い

・アメリカと比較するとDXの成果を実感している企業が少ない


3-1.日本のデジタル競争力は27位で低い

デジタル競争力を示す国際的な指標「デジタル競争力ランキング(IMD)」を見ると、日本は27位です。上位10位の国には先進国が含まれており、日本は遅れを取っていることが分かります。


2020年デジタル競争力ランキング(IMD)

1位

アメリカ

2位

シンガポール

3位

デンマーク

4位

スウェーデン

5位

香港

6位

スイス

7位

オランダ

8位

韓国

9位

ノルウェー

10位

フィンランド


参考:総務省「国際指標でみる我が国のデジタル化」


デジタル競争力ランキングは知識や人材育成、DXを活用できる準備レベル(将来への備え)など複数の指標を基に算出されますが、日本は「デジタル・技術スキル」と「DXを活用できる準備レベル」が低下傾向にあります。


とくに「デジタル・技術スキル」は全63か国のうち最下位レベルとなっており、デジタル技術を活用できる人材の確保、育成が課題となっています。また、「DXを活用できる準備レベル」ではビッグデータの活用や企業の俊敏性など、DXを推進する環境整備の指標が低くなっています。


このように、世界のデジタル競争力をベースに他の国と比較すると


・DXに必要なデジタル・技術スキルが低い

・DXに対する企業の俊敏性が不足している

・DXを進めるうえでのルール整備やデータ活用基盤が整っていない


という弱点があり、日本のDXは遅れていると考えられています。

3-2.アメリカと比較するとDXの成果を実感している企業が少ない

ここからは独立行政法人情報処理推進機構が発行している「DX白書2023」のデータを基に、日本とアメリカのDXへの取り組み方の違いを見てみましょう。


日本はアメリカと比較すると、DXに取り組んでいる企業数が少ない状態です。日本の従業員数が1,000人を超える企業では「戦略に基づき全社でDXに取組んでいる」企業が50%でアメリカを上回っているものの、従業員数が1,000人以下の企業ではアメリカよりもDXに取り組んでいる企業が少ない状態です。

日本とアメリカでのDXに取り組んでいる企業の割合の違い

項目

日本

アメリカ

戦略に基づいて全社でDXに取り組んでいる

26.9%

35.5%

戦略に基づいて一部の部門でDXに取り組んでいる

27.3%

32.6%

部署ごとに個別にDXに取り組んでいる

15.1%

9.8%

DXに取り組んでいない

29.1%

10.6%


※2022年度データ

参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2023」


DXに取り組んでいる企業の姿勢をアメリカと日本で比較してみると、日本は全項目でアメリカよりも低い水準です。日本企業の中でも従業員数が多い場合は比較的DXに積極的な姿勢が見られますが、平均してみると企業内でDXを推進できる環境が整っていないことが分かります。

項目

アメリカ

日本

DX枠として継続的に予算確保ができている企業の割合

40.4%

23.8%

ITに知見のある管理職の割合

(5割合以上知見がある)

38.9%

17.2%

 CDO(最高デジタル責任者)がいる企業割合

62.4%

16.2%

DXを推進する専門部署がある割合

56.1%

43.4%

経営者・IT部門・業務部門の協力体制

(十分に協力できている企業の割合)

31.9%

5.9%


参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2023」


日本では予算確保や知見のある人材不足など様々な課題を抱えている状態でDXを推進している傾向があるので、DXの成果の実感度もアメリカより低いです。



※2022年度データ

参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2023」


このように、アメリカと日本のDXに取り組む環境を比較すると日本はまだまだ成熟しておらず、遅れを取っていることが顕著に分かります。まずは、スピード感を持ちDXを推進できる環境を整えることが大切だと言えるでしょう。




4.【DXの動向から分かる】日本のDXの課題

日本ではDXが推進してきているものの、まだまだ課題が残っています。ここでは、DXの動向から見えてくる日本のDXの課題をご紹介します。日本のDXにはどのような課題があるのか知っておくことで、DXを推進するときに留意しながら取り組めます。どのような課題があるのか、ぜひ参考にしてみてください。

日本のDXの課題

・DX人材が不足している

・新しい価値の創出や優位性確保まで結びついていない傾向がある

・レガシーシステムから脱却する必要がある


4-1.DX人材が不足している

日本はDX人材の不足が大きな課題となっています。DX人材とはDXを進めるために必要なスキル、技術を持った人材のことで主に下記のような人材が該当します。


【主なDX人材】

・ビジネスアーキテクト:DXの目的を設定し実現に向けて責任を持つ

・デザイナー:DXを推進するうえで必要なデザインを行う

・データサイエンティスト:DXを推進するためのデータ収集や解析、分析の仕組みを設計・実装する

・ソフトウェアエンジニア:DXを推進するために必要なソフトウェアの設計や設定、運用を行う

・サイバーセキュリティ:DXを推進するうえでリスクとなるセキュリティの対策を担う

参考:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル人材の育成」


例えば、ビジネスアーキテクトはDXの課題や目的を設定し、DXを推進する計画に責任を持つ人材のことです。リーダーとして周囲を巻き込むスキルだけでなく、DXの基礎知識や使用ツールなどの知識が必要です。


また、データサイエンティストは、データ活用をしてDXを推進したいときに、データ周囲の仕組みを設計、実装できる人材です。専門的な知識と実績が必要なので、社内人材では不足していることが多いです。


自社が推進するDXの方向性や内容に応じたDX人材が不足していると、知識不足やノウハウ不足のままDXを進めることになり思ったような結果が得られません。が実施した調査では、DX人材を確保するための育成計画や研修精度が整備されている企業のほうが、十分な成果を出すことができています。

目指すべきDX人材像に向けた育成計画・研修制度は整備されていますか?

項目

DXで十分な成果を出している企業

DXへの取り組みが道半ばの企業

非常にそう思う

60%

16%

まあそう思う

31%

51%

あまり思わない

6%

27%

まったく思わない

2%

6%

参考:PWC「日本企業のDX推進実態調査2023」


DXを推進するときに成果を出すには、DXに特化した人材が必要不可欠です。深刻なDX人材不足を解消するための施策や取り組みが必要となるでしょう。DX人材については下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。


【2023年最新】DX人材5つの役割と必要なスキル・獲得する方法


【DX人材不足を解消するにはパートナー企業の協力を得ることも大切】

DXを推進するときに自社の人材だけでは、難しいケースは多いかと思います。DX人材は専門的な知識や技術を求められるため、社内での育成には時間を要します。新たに雇うとしても、自社に合う人材を見つけることが難しいケースもあるでしょう。

そのような場合は、DXを推進するためのパートナー企業と協力して進めましょう。パートナー企業は専門的な知識や技術があるので、自社の課題や目的に応じて効率よくDXを進められます。

4-2.新しい価値の創出や優位性確保まで結びついていない傾向がある

DXはデジタル技術を活用してビジネスの変革を行い新しい価値創出や優位性を確保することを指しますが、日本企業のDXはツールやシステムのみを導入し、新しい価値創出や優位性の確保まで至っていないケースがあります。


IT投資における日米比較を見てみると、アメリカでは新しい価値の創出や競争力の強化につながる部分に投資をしている傾向があります。一方で、日本は働き方改革やセキュリティ対策を目的としており、自社の新たな価値創出にはつながらない守りのIT投資に留まっている傾向があります。

日本とアメリカのIT投資項目の違い
(IT予算が増える理由として回答の多い項目を記載)

日本
守りのIT投資

アメリカ
攻めのIT投資

働き方改革の対策のため

ITによる顧客行動・市場分析の強化をするため

セキュリティ対策のため

市場や顧客に柔軟な対応をするため

ITによる業務効率化・コスト削減のため

ITによる製品・サービスの開発強化を行うため

参考:経済産業省「卸売・小売業界において活用可能な DX推進・デジタル人材育成 に関する施策について」


つまり、日本ではIT化から脱却しDX化に移行できていない企業が多いのです。IT化では確かにデジタル技術の導入、活用はできますが、一歩進んだ価値創出や競争力強化までを見越した対策ができません。

IT化

デジタルツールを導入する

DX化

デジタルツールを導入しビジネスモデルの見直しを行い顧客満足度の向上につなげる


再度自社のDXの目的やゴールをしっかりと設定し、新しい価値創出や優位性を確保につながる計画を立てる必要があるでしょう。

4-3.レガシーシステムから脱却する必要がある

3.【日本のDXは遅れている】海外のDXの動向」でも触れたように、アメリカと比較すると日本企業はまだまだDX化を推進できていない状態です。「2025年の崖」が迫っており、このままDXを推進できない状況が続くと2025年以降最大年間12兆円の経済損失が出ると言われています。


【2025年の崖とは】

2025年までにDXを促進できなかった場合に、2025年以降起こり得るリスクのこと

①DXを推進している企業としていない企業にデジタル格差が生まれ、DXを推進していない場合は市場の変化に対応しきれなくなる

②ブラックボックス化したシステムや老朽化した既存システムの維持管理費が高騰する

③システムのサポート終了や保守点検できる技術者が減りセキュリティリスクが高まる

参考:経済産業省「DXレポート」


中でも、過去の古い仕組みで構築された基幹システムを「レガシーシステム」と呼んでおり、日本企業内にはまだまだ多く残っています。レガシーシステムには下記のような課題があり、DXを推進するときの壁となっています。


・過剰なカスタマイズにより構造が複雑化しておりデータ移行などの方法が分からない

・新しいシステムとの連携ができない

・社内に既存システムについて熟知している人材がおらず現状を把握できない


社内で長く使用している基盤システムはあるものの開発者や責任者が既に退職しており詳しいことが分からないケースや、カスタマイズを繰り返しブラックボックス化しているケースなどレガシーシステムは多くの課題を抱えています。


ただし、このまま放置してもDXの推進ができず、市場の変化にも対応できない負の連鎖が起こります。企業全体でレガシーシステムからの脱却を決めて、本格的に取り組む姿勢が必要でしょう。




5.DX市場拡大に備えてDXに取り組むべき

ここまでDXの日本市場の動向や今後の予測、海外市場との違いなどDXの動向について詳しく解説してきました。


国内外のDX市場は今後拡大傾向にあり、業種によってはDXへの取り組みがより活発化する見込みです。今後の動向を踏まえると、いち早くDXを推進し新しい価値創出や市場での競争力の強化を行うべきでしょう。競合他社がDXを推進している中でDXに取り組まないままいると、下記のようなリスクがあると考えられます。


・便利なサービス・快適なサービスを求めて顧客が他社に流れてしまう

・精度の高いマーケティングができず競合他社の戦略に負けてしまう

・業務効率化や生産性向上ができず離職につながる

・業種によっては市場のニーズや動きに対応した商品・サービス提供ができない


例えば、DX化を推進し顧客とのコミュニケーションがアプリ経由で行う企業が増えたとします。自社だけ従来通り対面や電話でのコミュニケーションに留まっていたら、顧客は利便性の高いサービスに流れてしまうでしょう。また、競合他社はデジタルツールを活用し新しい価値を提供しているため、顧客に興味や関心を持ってもらいやすくなります。このように、DXが日本企業に浸透すればするほど、DXを推進している企業としていない企業の差は開いていきます。


「DXを推進したいけれど何をすればいいのか分からない」「DXはハードルが高く感じてしまう」という場合は、次の章で解説していくDXを始めるときのヒントを参考にしてみてください。




6.DXを始めるにはまず何をするべき?DXを始めるときの3つのヒント

最後に、DXを始めるときに知っておきたい3つのヒントをご紹介します。「これからDXに取り組みたい8けれど何をしたらいいの?」「DXの始め方が分からない」という場合に、まず何に取り組むべきか分かるので、ぜひチェックしてみてください。

DXを始めるときの3つのヒント

・DXに取り組む目的を明確にする

・DXに投資できるコストを確保する

・DXを推進する体制を整える


6-1.DXに取り組む目的を明確にする

DXを始めるときには、DXに取り組む目的を明確にしましょう。「顧客管理システムを導入する」「コミュニケーションツールを導入する」など、デジタルツールを導入することがDXではありません。DXはデジタル技術を使ってビジネスの変革を行い、新しい価値創出や優位性を確保することです。デジタル技術を導入して終わりではなく、どのような目的を達成したいのか決めておくことが非常に大切です。


PWCが実施した「日本企業のDX推進実態調査2023」によると、顧客接点の改革や働き方改革の促進など自社の変革につながる目的を決めて取り組んでいることが分かります。

参考:PWC「日本企業のDX推進実態調査2023」


【DXの目的の一例】

・顧客接点を構築するアプリやコミュニケーションツールを導入して新しい価値を提供する

・勤怠管理システムや顧客管理システムなどバックオフィス業務を効率化するシステムを複数導入してコア業務に集中できる環境を作る

・データを集中、分析できる基盤を構築して顧客や市場のニーズに合わせた商品開発をする


社内に新しいデジタルツールやシステムを導入するだけでは、DXの成果を感じられません。自社の新しい価値創出や競争力強化につながるように、まずは明確な目的を設定してみましょう。

6-2.DXに投資できるコストを確保する

DXを推進するためには、どうしても一定のコストがかかります。様々な調査結果を見ても、DXで一定の成果を出している企業はDXに投資できるコストを用意しています。


PWCが実施した「日本企業のDX推進実態調査2023」では、DXで十分な成果を出している企業の69%がIT予算やコーポレート予算とは別にDX予算を確保していると回答しています。


・DXを推進するために導入したい設備やツールの費用

・導入や管理にかかる人件費や研修費


などを事前に確認して、どれくらいのコストを確保しておく必要があるのか認識しておきましょう。コストが高額となりハードルが高いと感じる場合は、スモールスタートをして中長期な計画を立てて取り組むこともつの方法です。


参考までにサクサホールディングスが実施した調査によると、中小企業が年間にDXに投資しているコストは100万円未満が半数を超えています。DXの施策内容や企業規模により投資するべきコストは変わりますが、一例として参考にしてみてください。

DX施策に年間どれくらいの費用をかけている?(中小企業の経営層調査)

100万円未満

50.8%

100万~300万円未満

27.1%

300万~500万円未満

6.8%

500万~1,000万円未満

6.8%

1,000万円以上

8.5%

参考:Yahoo!ニュース「中小企業のDXへの投資額「年100万円未満」が半数、費用対効果は9割が「適正以上」。今後予定するDX施策は?【経営者アンケート】」


また、DXは官公庁も推進している取り組みの一つなので、複数の助成金・補助金が用意されています。条件に合う助成金・補助金があれば、コスト負担を軽減しながらDXを推進することができるでしょう。DXに活用できる助成金・補助金は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

【2023年最新】DXに使える国と都道府県の補助金・助成金まとめ


6-3.DXを推進する体制を整える

DXは通常業務の合間に何となく取り組み、成果を出すことが難しいです。DXはビジネスの変革を行うものなので、短期間で簡単に実践できるものではありません。専門的な知識や技術、知見も必要になるので、現在の社員だけでは取り組むことが難しいケースもあります。


日本よりもDXが進んでいるアメリカでは、DXに取り組んでいる半数以上の企業でCDO(最高デジタル責任者)やDXを推進する専門部署を設置しています。つまり、DXを推進する体制を整え、計画的に進められる基盤を作ることが大切なのです。


・社内にDXを推進するグループや部署を設置する

・DXに関する知見、技術がある人材を確保する


など、DXを推進する目的に応じてDXを推進できる体制を整えてから本格的に稼働するといいでしょう。


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DXを推進しようと思っても「どんな体制が組織に必要なのかわからない」 「今のサービスのどこについてデジタル化を進めるべきかわからない」など課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。


デザインワン・ジャパンでは、アイディアの創出やビジネス設計から、開発・保守運用までDX推進に必要な全工程を一貫して支援する「DXソリューション」を提供しています。


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7.まとめ

いかがでしたか?国内外のDXの現状や動向が理解でき、DXを推進する取り組みを始めてみようと思えたでしょう。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。


〇日本のDX市場は拡大を続けており2030年には6兆5,195億円に達する見込み

〇業界ごとのDXの動向は下記のとおり 

業界

DXの動向

製造業

・2021年時点でデジタル技術を活用している企業は60%を超えている

・設計や製造、生産管理の工程でデジタル技術を活用

小売業

・新型コロナウイルスの流行を機にDX化が促進

・リアル店舗とオンライン店舗の双方でDX化を推進

金融

・DX推進が実行フェーズへと移行し、デジタルツールやマルチチャネルの活用が進んでいる

・顧客接点のデジタル化が進んでいる

物流

・日本の物流政策の1つとして総合物流施策大綱に取り組んでいる

・今後はドローンやロボット、AIの活用が期待されている

不動産

・不動産DXに取り組んでいる企業と取り組む予定の企業を合わせると70%超えでDXに積極的

・顧客管理やWeb接客などの導入が進んでいる

バックオフィス業務

・DXの成果を感じている企業が多い

・DX推進による業務効率化や生産性向上が進み余力が生まれると予測されている


〇世界のDX市場は2023年に1兆4,348億4,000万米ドルに到達しており2027年には3兆1,528億5,000万米ドルに成長すると予測されている


〇日本のDXが海外より遅れている理由は次の2つ

・日本のデジタル競争力は27位と低くDXを推進する基盤が整っていない

・アメリカと比較するとDXの成果を実感している企業が少ない


〇DXの動向から分かる日本のDXの課題は次の3つ

・DX人材が不足している

・新しい価値の創出や優位性確保まで結びついていない傾向がある

・レガシーシステムから脱却する必要がある


〇日本のDX市場は今後も拡大傾向にあり競争力強化や新しい価値創出のためにもDXに取り組むべき

〇DXを始めるときにまず取り掛かりたいことは次の3つ

・DXに取り組む目的を明確にする

・DXに投資できるコストを確保する

・Dを推進する体制を整える


国内外問わずDX市場は拡大しており、企業が成長し続けるためにもDXの推進は必要不可欠です。この記事を参考に、DXへの取り組みを始められることを願っています。

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