【事例あり】不動産DXできること|導入システム、効果を詳しく解説
目次
「不動産業でDXをするとはどんなこと? 具体的には何をすればいい?」
「不動産業界のDXは遅れているって本当?」
そんな疑問を持っている方は多いでしょう。
不動産業におけるDXとは、「不動産に関わる業務をデジタル技術によって自動化、効率化し、ビジネスの形態を大きく変えたり、新たなサービスを生み出したりすること」です。
たとえば、
・WEB接客ツール:離れた場所にいる顧客にオンラインで対応できる
・VR内見システム:あらかじめ撮影した物件の様子を、バーチャルで内見できる
・電子契約システム:法的に有効な契約書を電子ファイルで作成、締結する
などの導入がDXだと言えます。
不動産業でDXを行うと、以下のようなメリットが得られます。
【不動産業でDX推進するメリット】
・業務が効率化され生産性が向上する
・人手不足の解消が期待できる
・労働環境が改善される
・コストを削減することができる
・多様化する顧客ニーズに応え、顧客満足度が向上する
・新たなサービスやビジネスを生み出すことができる
一方、課題や注意点もあるので慎重に進めてください。
【不動産業におけるDX化の課題・注意点】
・システム導入にコストと手間がかかる
・システム・ツール選びが難しい
・既存の商習慣に慣れた人は、DXを受け入れ難い恐れがある
この記事では、不動産業のDXについて知っておきたいことをまとめました。
◎不動産業における「DX」とは
◎不動産業でDXできること
◎不動産業におけるDXの成功事例
◎不動産業でDX推進するメリット
◎不動産業におけるDX化の課題・注意点
◎不動産業でDXに向いている企業とは
最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。この記事で、あなたの会社もDXに成功できるよう願っています。
この記事は、デザインワン・ジャパン DX事業本部でDX支援に携わる泉川学が作成しました。
1.不動産業のDXとは
「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略語です。
その意味は、「デジタル技術によって、商品やビジネスのあり方自体を変えること」ですが、では不動産業においてはどんな取り組みを指すのでしょうか?
1-1.不動産業における「DX」とは?
不動産業における「DX」とは、不動産に関わる業務をデジタル技術によって自動化、効率化し、ビジネスの形態を大きく変えたり、新たなサービスを生み出したりすることと言えるでしょう。
具体的に説明します。
1-1-1.ただデジタル技術を導入するだけでなく、「ビジネスのあり方を変えて成果を上げる」のがDX
注意したいのは、ただITツールを導入しただけでは「DX」とは言えない点です。
「DX」においてデジタル技術は単なる手段、道具にすぎません。
それを使って業務のプロセスを改善したり、新たなサービスを開発したりといった根本的な改革が求められます。
さらに、その結果として売上を拡大する、顧客満足度を向上させる、新たな市場を開拓するといった大きな目的を達成するところまで含めて「DX」なのです。
1-1-2.【具体例】「VR内見」、「WEB接客」、「電子契約」など
たとえば、「VR内見」は不動産DXのいい例です。
従来の不動産の内見は、担当者と顧客が一緒に物件に出向くというアナログな方法でした。
それが、コロナ禍で外出や対面接客ができなかったこともあって、「VR内見」という新たなサービスが誕生しました。
これは、「VR=仮想現実」の技術を利用して、物件から離れた場所でもモニターやVRゴーグルによってあたかも室内に入ったように物件を内見できるというものです。
VRというデジタル技術を導入することによって、それまでの内見のあり方を改革しました。
その結果、不動産会社のスタッフも現地に赴く必要がなくなり、業務を効率化することができます。
また、顧客満足度もアップし、空室率を大幅に減らした不動産会社も出ているそうです。
また、離れた場所で接客できる「WEB接客」もあります。
多忙などの理由で不動産店になかなか来られない顧客にもリモートで接客できるため、より多くの顧客対応が可能になります。
不動産契約をペーパーレス化する「電子契約システム」を導入すれば、契約手続きがいつでも手軽にできて顧客の利便性も向上します。
くわしくは、「2.不動産業でDXできること」でも説明しますので、そちらもぜひ読んでください。
1-2.不動産業でDXに取り組んでいる企業はまだ2割強しかない
ただ、残念なことに不動産業界ではまだDXに取り組む企業は少ないのが現状です。
総務省「令和3年 情報通信白書」によると、日本での業種別の「デジタル・トランスフォーメーションの取組状況」は、以下のグラフのようになっていました。
不動産業を見てみると、物品賃貸業(レンタル・リース業など)と合算して、「実施している」企業は23.3%、わずか2割強です。
出典:総務省『令和3年 情報通信白書』
/第2節 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題」を一部編集
※赤枠は編集部によるもの
これは、不動産業界がこれまでアナログな商習慣の上に成り立ってきたことが理由と思われます。
接客は来店による対面ですし、物件情報や間取り図も店頭に紙で掲示したり、顧客にはプリントアウトしたものを手渡したりするでしょう。
そもそも契約に関する書類も、申込書、契約書、重要事項説明書など多くは紙で取り交わしますし、手書きが必要なものもあります。
これらをデジタルに移行するには、大幅な業務改善、システム導入が予想されるため、中小の不動産会社などは特になかなか踏み出せないかもしれません。
ただ、そのようなアナログな作業が不動産業務の効率を悪くしているのは事実でしょうから、DXの必要性を感じている企業も増えているようです。
前出のグラフでも、「今後実施を検討」という前向きな回答が2割を超えています。
2.不動産業でDXできること
では、実際に不動産会社がDXに取り組むとなると、具体的にはどんなことができるでしょうか?
それは主に以下のようなことです。
・不動産管理の効率化
・顧客対応のオンライン化
・契約の電子化
2-1.不動産管理の効率化
まず、取り扱う不動産の管理業務をデジタル技術で効率化することが可能です。
不動産業では、賃貸物件の管理、売買物件の情報管理、顧客情報や取引履歴の管理などさまざまな管理業務が発生します。
それらを紙の書類と人力で行うのは、大変な手間を時間がかかるでしょう。
その点、「不動産管理システム」を導入すれば、さまざまな情報を一元管理することが可能です。
主な機能には以下のようなものがあります。
・物件情報管理:物件情報や入居者情報などを管理する
・賃貸物件管理:賃貸に関わる情報を管理する
・不動産売買管理:売買に関わる情報を管理する
・売上管理
・修繕・メンテナンス管理:修繕履歴やメンテナンス計画の管理をする
・問い合わせ・クレーム管理
・広告出稿:不動産ポータルサイトと連携、空室情報などを掲載する
・間取り図・チラシ作成
・会計システム連携:既存の会計システムと連携する など
これらの機能を活用することで、煩雑な管理業務を効率化し、人的ミスを減らすこともできるでしょう。
【システム・サービス例】
・「いえらぶCLOUD」
・「みらいえ」 など
導入効果が期待できる店舗は… |
・人手が足りない会社、店舗 ・管理する物件数が多い会社、店舗 など |
2-2.顧客対応のオンライン化
不動産業務の中で大きな比重を占める接客も、デジタルツールでオンライン化することができます。
これまでは、店舗での接客、実際に物件を訪問する内見など、対面での顧客対応が必須のシーンが多くありました。
しかしその方法だと、「遠方から引っ越し先での物件を探している」「忙しくて営業時間中に店舗に出向けない」といった事情のある顧客にとっては不便です。
また、コロナ禍を経て「対面ではなくオンラインでのリモート対応」を希望する人も増えています。
そこで、
・WEB接客ツール:離れた場所にいる顧客にオンラインで対応できる
・VR内見システム:あらかじめ撮影した物件の様子を、バーチャルで内見できる
などが役立つでしょう。
WEB接客なら、遠方の顧客ともリモートで対応できます。
VR内見は、24時間いつでも顧客の都合がいい時間に内見してもらえますし、離れた場所にある複数の物件を、移動時間なく続けて内見することも可能です。
VR内見のイメージ
【システム・サービス例】
<WEB接客ツール>
・「ライブコール」
・「ビデオトーク」 など
<VR内見システム>
・「RICOH360 Tours」 など
導入効果が期待できる店舗は… |
・(WEB接客)スタッフの接客スキルが高く、リモートでも対面と同様の接客ができる店舗、会社 ・(VR内見)遠方の顧客や忙しい顧客などにも対応して機会損失を減らしたい店舗、会社 など |
2-3.契約の電子化
これまで、不動産取引に関する書類の中には紙で取り交わさなければいけないものがあり、契約の際にはどうしてもアナログな書類作成が必要でした。
それが、2022年5月からすべて電子化することが認められました。
それを受けて、契約に関する書類も電子化する流れが出てきています。
たとえば、
・電子契約システム:法的に有効な契約書を電子ファイルで作成、締結する
といったものも、不動産業に特化したシステム、サービスがありますので、利用するといいでしょう。
わざわざ顧客に足を運んでもらうことなく、どこでもオンラインで契約を結べますし、契約書の一元管理もできるので、業務の大幅な効率化がはかれるはずです。
【システム・サービス例】
・「クラウドサイン」
・「いえらぶサイン」 など
導入効果が期待できる店舗は… |
・店舗スペースが小さく、書類保管に限界を感じている店舗、会社 ・テレワークやWEB接客など、オンライン業務を推進している店舗、会社 など |
3.不動産業におけるDXの成功事例
このように、不動産DXを行うことで、さまざまな業務を効率化できることができます。
それをもっと具体的に理解できるよう、いくつか実際のDX成功例を挙げておきましょう。
3-1.株式会社アスク:マンション居住者向けのお知らせアプリ導入で利便性が向上
マンションのコンシェルジュなどフロントサービス受託事業を展開する株式会社アスクでは、2007年からタワーマンションなどの居住者の生活や、管理会社の業務を支援するマンションポータルサイト「OICOS(オイコス)」を運営しています。
このOICOSでは、居住者向けに管理組合や管理会社が伝えたいクローズドな情報などを掲載できるようになっていましたが、基本的にはユーザーが自分でログインして閲覧しに行かなければなりませんでした。
そのため、掲示内容を確実に周知するのが難しいという課題を抱えていました。
そこで、プッシュ通知機能を導入するため、OICOSと連動したWebViewアプリ「OICOS App」の開発を株式会社デザインワン・ジャパンに依頼しました。
その結果、プッシュ通知はもちろん、フローリングの傷など専有部の小修繕について、居住者が写真で履歴を残せるような修繕記録機能なども追加され、居住者、管理組合、管理会社のいずれも利便性が上がったそうです。
\不動産業のDXは『デザインワン・ジャパン』にご相談ください/
DXを推進しようと思っても、「何から始めればいいかわからない」「どんなシステムやツールが適しているか選べない」などと悩んでいる不動産会社は多いのではないでしょうか。
デザインワン・ジャパンでは、アイディアの創出やビジネス設計から、開発・保守運用までDX推進に必要な全工程を一貫して支援する「DXソリューション」を提供しています。
事業開発ディレクター・コンサルタント・デザイナー・開発エンジニアなど各分野のスペシャリストがビジネスパートナーとしてDXを支援します。
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3-2.三井不動産株式会社:全事業でDXを推進、働き方改革にも成功
三井不動産株式会社では2017年を「DX元年」と定め、DX担当部署を中心に全事業でDXを推進しています。
その目的は大きく2つあり、
・お客様への価値提供のためのDX( 「働きやすい」「暮らしやすい」「楽しい」など)
・ビジネスプロセスの効率化のためのDX(お客様の満足度向上と生産性向上の両立)
というものです。
具体的な取り組みは数多くありますが、たとえば、
・不動産を「モノ」ではなく「サービス」と捉え、「東京ミッドタウン八重洲」での完全タッチレスオフィス化、ロボット導入や全フロアで5G導入など、多くの施設をDX化
・働き方改革に取り組み、決裁・会計システムではERPをフルクラウド化、RPAやローコードツールの活用などで生産性が向上
などを行なっています。
その結果、施設の利用者には利便性向上などの新たな価値を提供することに成功ました。
また、働き方改革では、
・システム刷新による業務効率化時間:年間 約27万時間 約138人分
・受発注会計業務:約35%削減
・新型コロナ緊急事態宣言下でのリモートワーク率:90%以上を実現
といった成果を上げています。
3-3.株式会社GA technologies:不動産業界全体のDXにも貢献
ネット不動産投資サービスブランド「RENOSY(リノシー)」などを運営する株式会社GA technologiesは、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「デジタルトランスフォーメーション調査2020」において、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(=DX銘柄)」に認定されました。
評価された取り組みは、以下のようなものです。
・「RENOSY」では、不動産業務の煩雑なプロセスはAIやRPAなどを活用し、相談や契約などの場⾯では⼈がサポートするという「リアルとテックを融合したサービス」を提供
・不動産投資⽤ローンの申し込み・審査をオンライン化する業務⽀援システムを自社で開発・活用すると同時に、SaaSとして他の企業にも提供、不動産業界全体のDX推進に貢献 など
特に2番目に挙げたSaaSは、⾦融機関での作業時間を最⼤75%削減する効果をあげているそうです。
4.不動産業でDX推進するメリット
このほかにもさまざまな成功事例がある不動産業のDXですが、そもそもDXを推進することでどのようなメリットが得られるのでしょうか?
それは主に以下の6点です。
・業務が効率化され生産性が向上する
・人手不足の解消が期待できる
・労働環境が改善される
・コストを削減することができる
・多様化する顧客ニーズに応え、顧客満足度が向上する
・新たなサービスやビジネスを生み出すことができる
4-1.業務が効率化され生産性が向上する
第一のメリットは、業務の効率化とそれによる生産性の向上です。
以下を見てください。
総務省の「令和4年度 ICTの経済分析に関する調査 報告書」から、「情報通信産業と一般産業 労働生産性指数の推移」をグラフ化したものです。
不動産業の労働生産性指数はブルーグレーのグラフ線であらわされていますが、近年は下から2、3番目にとどまっていて、他業種に比べて生産性が低いことがわかります。
【情報通信産業と一般産業 労働生産性指数の推移】
出典:総務省「令和4年度 ICTの経済分析に関する調査 報告書」
この状態を改善するためには、DXが必要です。
それまで人力で行っていた煩雑な作業を自動化し、アナログだった書類がデジタルで管理しやすくなることで、生産性を向上させることができるでしょう。
4-2.人手不足の解消が期待できる
業務が効率化されることで、人手不足の解消も期待できます。
不動産の管理や査定といった知識や経験値が必要な業務も、専用のシステムがありますので自動化することができます。
人が1件ずつ管理したり査定したりする必要がなくなるため、少ない人数でも業務を回せるようになるでしょう。
また、これまではベテランが担当していた業務でも、自動化されれば新人が担当することも可能です。
従業員教育にかかる時間も短縮でき、短期間で戦力になるのも利点といえます。
4-3.労働環境が改善される
不動産業は、土日など世間が休みの日に出勤が必要だったり、閉店後に事務処理で残業したり、あちこちの物件を回ったりと、労働時間が長くなりがちですが、それもDXによって改善することが可能です。
前述したように、管理業務のうちかなりの作業を不動産管理システムに任せることができますし、契約に関する業務もオンラインで行えます。
内見もVR化すれば、顧客が自分でいつでも好きなときに行えますので、立ち会う必要もありません。
結果として残業時間も減らすことができ、労働環境が改善されるのです。
4-4.コストを削減することができる
さらに、さまざまな面でコスト削減も実現できます。
まず物件情報や顧客情報、契約書などの書類をデジタル化してペーパーレスにすることで、紙やプリンタのインク、ファイルなどが不要になるでしょう。
WEB接客やVR内見を導入すれば、移動にかかる交通費なども節約できます。
残業が減れば残業代も減りますし、業務効率化で人件費も削減することができるでしょう。
4-5.多様化する顧客ニーズに応え、顧客満足度が向上する
DX化によって、企業側だけでなく顧客の利便性も向上します。
これまでの不動産探しは、顧客にとって時間や労力がかかるものでした。
不動産屋さんを何軒もまわって話を聞き、気に入った物件があれば少なくとも数カ所は内見に行きます。
遠方に引っ越す場合などは、引っ越し先に出向いて慣れない場所で物件を探さなければなりません。
それが、DXによってすべてオンラインで手軽にできるようになるのです。
休日をまるまる使って不動産屋めぐり、物件めぐりをしなくても、あいた時間にスマホやPCで物件を検索したり、気になる物件の室内をすみずみまで見ることができたりします。
「夜遅くにしか時間が取れない」「北海道から東京の物件を探したい」「コロナ禍以降、対面接客はあまりされたくない」といった多様な事情にも柔軟に対応できるようになるので、顧客満足度も向上するはずです。
4-6.新たなサービスやビジネスを生み出すことができる
6つめのメリットは、新たなサービスやビジネスを生み出すことができることです。
最初に説明した通り、DXとは単なるデジタル技術の導入にとどまらず、「ビジネスのあり方事態を変革して成果を上げる」ことです。
たとえば、VR内見などはそのいい例でしょう。
VRというデジタル技術を使って、これまでの内見のあり方をまったく新しいものに変えました。
物件情報と顧客情報をシステム上で一元管理することで、不動産会社側から顧客のニーズに合った物件を定期的にメールなどでレコメンドするサービスも考えられるかもしれません。
顧客とのやり取りをすべてWEB上で行う「店舗を持たない不動産会社」という新しいビジネスモデルも誕生しています。
このように、DXによってこれまでできなかったことが可能になるというわけです。
また、企業のWebサイト以外の情報発信サイト「Webメディア(オウンドメディア)」を制作し、想定顧客を集客する試みなどもDXの施策のうちの一つです。
資産運用の相談窓口は、恵比寿不動産が運営する株式・債権・
自社のメイン事業に直接関係する顧客だけではなく、様々な可能性を考えてターゲティング・メディア運用を行うことによって、自社の想定顧客の集客・リードの獲得を有利に進めることができるでしょう。
5.不動産業におけるDX化の課題・注意点
一方で、不動産会社がDXを進めるには、課題や注意点もあります。
たとえば以下のような点です。
・システム導入にコストと手間がかかる
・システム・ツール選びが難しい
・既存の商習慣に慣れた人は、DXを受け入れ難い恐れがある
5-1.システム導入にコストと手間がかかる
そもそもDX化には、システムやツールを導入する費用がかかります。
そのため、小規模な不動産会社ではDXに踏み切れない例もあるでしょう。
また、システム導入にともなって、業務フローを見直したり、従業員に使い方をレクチャーしたりといった手間もありますし、運用が軌道に乗るまでにある程度の時間もかかります。
この問題については、あらかじめ綿密にDX化計画を立てた上で、それに沿って進めていく必要があるでしょう。
業務のどの部分をDX化するか、どんなシステムを導入すればいいかをよく見極めて、段階的に導入してください。
コスト面に関しては、補助金を利用するという手もあります。
中小企業庁の「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」や、自治体の補助金などもありますので、自社で申請できるものがないか確認してみてください。
5-2.システム・ツール選びが難しい
次に、導入するシステムやツールの選定が難しいという問題もあります。
というのも、不動産管理システムや電子契約システムなどは数が多く、機能や費用もまちまちだからです。
選定に迷ったら、以下のポイントをチェックしましょう。
・費用:初期費用、ランニングコストが予算内に納まるか
・機能:自社で自動化したい業務にすべて対応しているか
・サポート:導入後にも手厚いサポートを受けられるか など
中には、一定期間は無料で利用できるトライアルのサービスを行っているものもありますので、それを利用して使いやすさを確かめてから導入するのもいいでしょう。
5-3.既存の商習慣に慣れた人は、DXを受け入れ難い恐れがある
もうひとつの大きな問題は、従業員の中にはDXになかなか馴染めない人もいることです。
というのも、前述したように不動産業はこれまでアナログな商習慣の上に成り立っていました。
そのため、社歴の長い従業員などは、ITツールに慣れていないかもしれません。
また、「今までこれでやってこられたのだから、このままでいい」と変化を嫌う人や、「お客さまと直接会って、一緒に物件を探すのが誠実なやり方だ」と現場主義にこだわる人もいるでしょう。
これに対しては、DXの必要性と目的を従業員全体に周知徹底することで、受け入れる素地を作っていく必要があります。
事前に研修を設ける、わかりやすいマニュアルを作成する、デジタルに強い担当者を決めて、わからないことは質問しやすい状況を作るなど、ていねいに下準備を進めてください。
6.不動産業でDXに向いている企業とは
不動産業のDXにはメリットもあれば課題もあることがわかりました。
となると、「結局、自分の会社もDXすべきなのか? しなくてもいいのか?」と迷う人もいるはずです。
結論から言えば、もちろんDXできるならしたほうがいいでしょう。
が、中には「予算が取れない」「デジタルにくわしい人材がいない」などで、現実的にはなかなか取り組めない企業もあると思います。
そこで、「特にDXが必要な企業」の特徴を以下に挙げておきましょう。
・人手が不足している企業
・業務を効率化して生産性を高めたい企業
・新たなサービスや事業を生み出したい企業
これに該当する不動産事業者は、ぜひDXを進めてください。
実際に、私ども「デザインワン・ジャパン」にもこのような企業からの問い合わせが多くあります。
予算や人材の問題があれば、前述したように補助金を利用したり、デジタル人材を採用したりすればいいでしょう。
ほかにもハードルになることはあるでしょうが、それを解決してでもDX化を進める価値はあるはずです。
\不動産業のDXは『デザインワン・ジャパン』にご相談ください/
DXを推進しようと思っても、「何から始めればいいかわからない」「どんなシステムやツールが適しているか選べない」などと悩んでいる不動産会社は多いのではないでしょうか。
デザインワン・ジャパンでは、アイディアの創出やビジネス設計から、開発・保守運用までDX推進に必要な全工程を一貫して支援する「DXソリューション」を提供しています。
事業開発ディレクター・コンサルタント・デザイナー・開発エンジニアなど各分野のスペシャリストがビジネスパートナーとしてDXを支援します。
ご相談・お見積りは無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
7.まとめ
いかがでしたか?
不動産DXについて、よく理解できたことでしょう。
最後にもう一度、ポイントをおさえておきましょう。
◎不動産業における「DX」とは、「不動産に関わる業務をデジタル技術によって自動化、効率化し、ビジネスの形態を大きく変えたり、新たなサービスを生み出したりすること」
◎不動産業でDXできることは、
・不動産管理の効率化
・顧客対応のオンライン化
・契約の電子化 など
◎不動産業でDX推進するメリットは、
・業務が効率化され生産性が向上する
・人手不足の解消が期待できる
・労働環境が改善される
・コストを削減することができる
・多様化する顧客ニーズに応え、顧客満足度が向上する
・新たなサービスやビジネスを生み出すことができる
◎不動産業におけるDX化の課題・注意点は、
・システム導入にコストと手間がかかる
・システム・ツール選びが難しい
・既存の商習慣に慣れた人は、DXを受け入れ難い恐れがある
以上を踏まえて、あなたの会社もぜひDXに取り組んでください。