【事例付き】飲食店にDXは本当に必要?成果が出た店舗の共通点を徹底解説
目次
「飲食店でもDXって必要?」
「飲食業ができるDXにはどんなものがある?」
飲食業に携わっていて、そのような疑問を持っている方も多いでしょう。
「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略語で、その意味は「デジタル技術によって、商品やビジネスのあり方自体を変えること」です。
これを飲食業で考えると、以下のように言えるでしょう。
| 【飲食業のDXとは】 現在は人が行っている 予約や注文、接客、会計などの業務をデジタル技術で自動化し、 ・業務を効率化すること ・顧客満足度を向上させること ・従業員満足度も向上させること |
具体的には、飲食業における以下のような業務を、ITシステムやITツールを活用して自動化、効率化することが可能です。
【飲食店でDXできる業務・シーンと活用できるシステム・ツール】
DXできる業務 | 活用できるシステム・ツール | システム・ツール例 |
注文・会計 | キャッシュレス決済 | ・「スマレジ・PAYGATE」 ・「Airペイ」 ・「STORES 決済」 など |
オーダーエントリーシステム | ・「スマレジ・ウェイター」 ・「Airレジ オーダー」 など | |
セルフオーダーシステム | ・「USEN Order」 ・「メニウくん」 ・「FoodFrontia St」 など | |
売上管理 | POSレジ | ・「ユビレジ」 ・「ワンレジ」 ・「Square レストランPOSレジ」 など |
販売管理システム | ・「フーディングジャーナル」 ・「MAIDO SYSTEM」 ・「MARUYU SOFTWARE」 など | |
予約対応 | 予約管理システム | ・「UMaT」 ・「ebica」 ・「テーブルチェック」 など |
顧客の見える化 ・顧客管理 | POSレジ | 前出 |
映像解析 | ・「OPTiM AI Camera」 など | |
顧客管理システム | ・「トレタ」 ・「リザーブキーパー」 など | |
来客予測・ 仕入れ管理・ 人員配置の最適化 | 来客予測システム | ・「EBILAB」 ・「AI-Hawk-」 など |
集客 | グルメ系検索サイト ・ポータルサイト | 食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメなど |
SNS | Instagram、X(旧Twitter)、facebookなど | |
デリバリーサービス | Uber Eats、出前館など | |
勤怠管理 | 勤怠管理システム | ・「ジョブカン勤怠管理」 ・「AKASHI」 ・「かえる勤怠管理 飲食」 など |
これらのDXを行うのは、以下のようなメリットがあるためです。
【飲食店でDXを推進するメリット】
・人手不足を補える
・非接触で顧客対応ができる
・中食需要に対応できる
・集客力を強化できる
ただ、注意しなければならない点もありますので覚えておいてください。
【飲食店でDXを推進する際の注意点】
・具体的な目的を設定する
・費用対効果を考える
・従業員全体に周知徹底させる
この記事では、飲食店がDXについて考える際に知っておきたいことをまとめました。
◎飲食店におけるDXとは
◎飲食店のDX成功事例
◎DXが向いている飲食店とは?
◎飲食店でDXできる業務・シーンの具体例
◎飲食店のDXに活用できるシステム・ツール
◎飲食店でDXを推進するメリット
◎飲食店でDXを推進する際の注意点
◎飲食店がDXする際に利用できる助成金・補助金など
最後まで読めば、疑問の答えが得られるでしょう。この記事で、あなたのお店がDXに成功するよう願っています。
この記事は、GMOデザインワン株式会社 DX事業本部でDX支援に携わる泉川学が作成しました。
飲食店DXとは何か
飲食店DXとは、デジタル技術を活用して店舗運営のあり方そのものを変革し、顧客体験の向上や業務効率化を実現することです。単なるツールの導入ではなく、ビジネスモデルや業務プロセス全体を見直す取り組みとして注目されています。
飲食店におけるDXの定義
飲食店DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して飲食店の経営や業務を根本から変革することを指します。予約管理システムやモバイルオーダー、配膳ロボットなど、様々なデジタルツールを組み合わせることで、従来の店舗運営では実現できなかった価値を生み出すことが目的です。
重要なのは、DXが単なるシステム導入ではなく、顧客体験の向上と業務効率化を同時に実現する経営戦略であるという点です。例えば、モバイルオーダーを導入して注文業務を効率化するだけでなく、それと同時に顧客の待ち時間も短縮し、満足度向上にもつなげることができます。
デジタル化とDXの違い
「デジタル化」と「DX」は混同されがちですが、その本質は大きく異なります。デジタル化は既存の業務をデジタルツールに置き換えることであり、例えば紙の予約台帳をエクセルに移行するような取り組みを指します。一方でDXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルそのものを変革することです。
飲食店においては、手書きの伝票をタブレット入力に変えることはデジタル化です。しかし、そのタブレットから得られる注文データを分析し、需要予測に活用してフードロスを削減したり、顧客の好みに合わせたメニュー提案を行ったりすることがDXにあたります。DXはデジタル技術を「手段」として、新たな価値創造を目指す点が決定的に異なります。
飲食店がDXに取り組むべき理由
飲食店がDXに取り組むべき理由は、業界が直面する構造的な課題にあります。第一に、慢性的な人手不足の問題があります。少子高齢化により労働力人口が減少する中、飲食業界は特に人材確保が困難な状況にあります。デジタル技術による業務効率化によって、限られた人員で店舗を運営することができます。
第二に、顧客ニーズの変化があります。コロナ禍を経て、非接触決済や非接触オーダーへの需要が急速に高まりました。デリバリーサービスも浸透し、顧客は利便性の高いサービスを求めるようになっています。
第三に、競合との差別化の必要性があります。DXに積極的に取り組む店舗は売上アップを実感している割合が48.0%に達しており、取り組まない店舗との差は今後さらに広がることが予想されます。
飲食店DXが解決できる経営課題
飲食店DXは、人手不足や売上低迷といった経営課題に対する有効な解決策となります。ここでは、DXによって具体的にどのような課題を解決できるのかを解説します。
人手不足の解消につながる業務効率化
飲食店DXの最も直接的なメリットは、配膳ロボットやモバイルオーダー、セルフレジなど の導入による業務の自動化です。これにより、オーダー伺いや配膳・下膳、会計といった作業負担を削減し、慢性的な人手不足の中でも少人数で店舗運営を維持することが可能になります。
これらのツールによって、単に人を減らすだけでなく、オペレーションの質を向上できます。例えば、ハンディ端末への入力ミスやオーダーの聞き漏らしを防ぐほか、ピークタイムにおけるスタッフの歩行距離を大幅に短縮することで、疲労によるサービス低下を未然に防ぐ効果もあります。
さらに重要なのは、自動化によって生まれた「人の余力」を、接客に充てることができる点です。機械的な作業はデジタルに任せ、スタッフは顧客への挨拶や細やかな気配り、メニュー提案といった「人にしかできない高付加価値業務」に専念することで、顧客満足度を向上させることができます。
顧客データ活用による売上向上
DXの導入によって、これまで取得できなかった顧客データを蓄積し、マーケティングに活用することが可能になります。予約台帳やPOSシステムから得られる喫食データ、来店頻度、客単価などを分析することで、長年の勘と経験に頼った集客から脱却できます。
蓄積されたデータを活用すれば、画一的なクーポンではなく、顧客一人ひとりの嗜好や来店サイクルに合わせた「One to Oneマーケティング」が可能になります。「誕生日月の人」や「最終来店から○ヶ月経過した人」など、最適なタイミングでアプローチすることで、リピート率を効率的に高められます。
また、チラシやポスターといったアナログ販促とは異なり、デジタルマーケティングは効果測定が容易です。「どの施策がいくらの売上につながったか」を可視化することで、無駄な販促費を削減し、投資対効果(ROI)を最大化することが可能になります。
コスト削減と利益率の改善
DXの導入によって、人件費だけでなく様々なコストを削減することができます。例えば、需要予測AIを活用して発注精度を高めることで、過剰在庫やフードロスを削減し、食材費・人件費を適正化できます。
管理部門の効率化も見逃せません。シフト管理、勤怠集計、給与計算、契約更新手続きなどをデジタル化・クラウド化することで、店長や本部スタッフが事務作業にかける時間を劇的に短縮できます。これにより、本来注力すべき店舗マネジメントや教育に時間を割けるようになります。
さらに、自社予約システムを強化することで、自社予約の増加と送客手数料の削減し、利益率を改善することもできます。顧客と直接つながるチャネルを持つことは、手数料削減だけでなく、ブランディングの観点からも重要視されています。
飲食店DXで成果を出した店舗の成功事例
ここでは、実際にDXを導入して成果を上げた飲食店の事例を紹介します。大手チェーンから中小規模の店舗まで、様々な取り組みから学べるポイントを解説します。
予約管理システムによる回転率の向上
株式会社サッポロライオンでは、予約管理システムとAIレセプション(電話自動応答AI)を組み合わせることで、予約業務の完全自動化を実現しました。ピークタイムや営業時間外でもAIが24時間体制で電話を取りこぼさないため、スタッフは目の前の接客に集中できる環境が整いました。
この取り組みの最大の成果は、「自社予約比率の向上」と「送客手数料の削減」を同時に達成した点です。グルメサイト経由の予約を自社チャネルへ誘導することで、高額な手数料コストを削減し、同時に詳細な顧客データを自社資産として蓄積することに成功しています。
単に電話番をAIに代わらせるだけでなく、ダイレクトマーケティングを強化するための戦略的な投資といえます。
モバイルオーダーによる人件費の削減
「スターバックス」が導入した「店外型モバイルオーダー(Mobile Order & Pay)」は、顧客が来店前にアプリで注文・決済を完了できるシステムです。アプリで事前注文・決済を済ませれば、店に着いてすぐに商品を受け取れる仕組みは、忙しい現代人のニーズに合致し、顧客満足度を大きく向上させています。
一方、「すき家」などが導入する「店内型モバイルオーダー」は、着席後にQRコードから注文するスタイルです。セルフレジと組み合わせることで「注文から会計まで」を顧客自身のスマホで完結させ、ホールスタッフの業務負担を劇的に削減しました。
両者に共通するのは、「待たせない」「接触しない」という利便性を提供しつつ、店舗側の人件費やオペレーションコストを最適化している点です。
顧客データ分析によるリピート率の向上
「日本ピザハット」では、Salesforceを導入して顧客データの一元管理を行い、精度の高いロイヤルティプログラムを構築しました。レポーティング業務を7割削減しつつ、顧客一人ひとりの嗜好に合わせたアプローチを行うことで、リピート率の向上を実現しています。
また、「株式会社物語コーポレーション」では、販促チラシのデジタル化を推進しました。従来の紙媒体では測定できなかった効果を可視化し、「どの施策が来店に繋がったか」を分析することで、販促費の投資対効果(ROI)を最大化しています。
これらは、「勘と経験」に頼っていたマーケティングを、「データと事実」に基づくアプローチへと変革した好例です。
成功店舗に共通する取り組みのポイント
成功事例を分析すると、成果を出している店舗にはいくつかの共通点があることがわかります。これらのポイントを押さえることで、自社のDX推進をより効果的に進めることができます。
- 顧客体験(CX)ファースト:業務効率化だけでなく、顧客の「不便」を解消しているか。
- リソースの再配置:自動化で浮いた時間を「接客」などの付加価値業務に充てているか。
- データドリブン:収集したデータを分析し、次の意思決定に活かしているか。
- スモールスタート:段階的に導入・検証し、リスクを抑えながら拡大しているか。
- 複合的なシナジー:注文、決済、販促など複数のDX施策を連携させているか。
成功している店舗ほど、これらをバランスよく組み合わせ、店舗運営全体を最適化する視点を持っています。
飲食店DXで失敗するパターン
DXに取り組んでも期待した成果が得られないケースも少なくありません。ここでは、よくある失敗パターンとその回避策を解説します。
目的が不明確なことによる失敗
最も多い失敗パターンは、「DXをすること」自体が目的化してしまうケースです。「競合がやっているから」「流行っているから」という理由でシステムを導入しても、自社の課題に合っていなければ効果は限定的です。
例えば、人手不足が深刻ではない店舗が配膳ロボットを導入しても、投資に見合った効果は得られません。予約の取りこぼしが課題の店舗であれば、配膳ロボットよりも予約管理システムの導入を優先すべきです。
DXを成功させるためには、まず自社の経営課題を明確にし、その課題を解決するためにどのようなデジタル技術が有効かを検討する順序が重要です。ツールありきではなく、課題ありきでDXを進めることが成功の第一歩となります。
現場スタッフの技術不足
優れたシステムを導入しても、現場スタッフが使いこなせなければ効果は発揮されません。特に、デジタル機器に不慣れなスタッフが多い店舗では、導入後の教育・研修が不十分だと、システムが使われなくなってしまうケースがあります。
この問題を回避するためには、導入前の段階からスタッフを巻き込むことが重要です。どのような課題を解決したいのか、新しいシステムによってどのようなメリットがあるのかを共有し、理解と協力を得ることが必要です。
また、できるだけ操作がシンプルで直感的に使えるシステムを選ぶことも大切です。高機能なシステムでも、操作が複雑で使いにくければ現場に定着しません。導入時のサポート体制や、マニュアルの充実度もシステム選定の重要な基準となります。
初期費用と費用対効果の不一致
DXには一定の初期投資が必要です。しかし、投資に見合った効果が得られず、結果的に費用対効果が合わないケースも少なくありません。特に、中小規模の飲食店では、大手チェーンと同じシステムを導入しても、スケールメリットを活かせず割高になってしまうことがあります。
この問題を回避するためには、導入前に具体的な効果を試算することが重要です。人件費の削減効果、売上向上の見込み、業務時間の短縮効果などを数値化し、投資回収期間を算出してから導入を決定すべきです。
また、いきなり大規模な投資をするのではなく、まずは小さく始めて効果を検証し、成果が確認できてから段階的に拡大するアプローチが有効です。クラウド型のサービスを活用すれば、初期投資を抑えながらDXを始めることも可能です。
失敗を避けるための具体的な進め方
DXで失敗しないためには、自社の経営課題を明確化し正しい順序で取り組むことが重要です。売上が伸び悩んでいるのか、人手不足が深刻なのか、コストが高止まりしているのかによって、取り組むべきDXの内容は異なります。
課題が明確になったら、次に優先順位をつけて取り組む施策を決定します。すべてを一度に変えようとするのではなく、最も効果が期待できる領域から着手することが成功のコツです。
また、信頼できるパートナーを選ぶことも重要です。単にシステムを納品するだけでなく、自社のビジネスを理解し、課題解決に向けて一緒に考えてくれるパートナーを見つけることで、DXの成功確率は大きく高まります。特に重要なのは、導入後の運用・改善サポートまで含めた支援を受けられるかどうかです。DXは導入して終わりではなく、運用しながら継続的に改善していくことで真の効果が発揮されます。
まとめ
本記事では、飲食店DXの基礎知識から成功事例、失敗を避けるためのポイントまで解説してきました。飲食店DXは、人手不足の解消、売上向上、コスト削減といった経営課題を解決するための有効な手段です。
成果を出している店舗の共通点は、顧客体験の向上を最優先に考え、データを活用した意思決定を行い、段階的に施策を展開していることです。一方で、目的が不明確なまま導入したり、現場スタッフへの教育が不十分だったりすると、期待した効果は得られません。DXを成功させるためには、自社の課題を明確にした上で、それを解決するための適切なツールを選定し、現場に定着させるまでの一貫した取り組みが必要です。
飲食店DXに取り組む際は、単にツールを導入するだけでなく、ビジネス全体を見据えた戦略的なアプローチが求められます。自社だけでDXを進めることに不安を感じている方は、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。自社の課題を深く理解し、最適な解決策を一緒に考えてくれるパートナーと組むことで、DXの成功確率を高めることができます。
小売業界でブランド品のバイヤーなどを経験したのちIT業界に転身。 株式会社ライブドアのインフラ事業の営業責任者を担当。 ベンチャー企業の運営に関わった後、2016年にデザインワン・ジャパン(現GMOデザインワン株式会社)へ入社。 「エキテン」事業の営業・サポート部門責任者を務めたのち受託開発事業の立ち上げを担当し、 現在は執行役員兼エキテン事業、受託開発事業とその所管グループ会社を統括。
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