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アナログなポスティングこそデジタルで効果を発揮 学研エデュケーショナルのマーケティング戦略

アナログなポスティングこそデジタルで効果を発揮 学研エデュケーショナルのマーケティング戦略
少子化が叫ばれる中、受講生数などは塾業界全体で伸びてきている状況はありますが、生徒はもちろん、先生や場所の確保と課題は山積みです。学研エデュケーショナルでは、テストマーケティングを経て2023年からエリアマーケティングシステム『DEECH』を導入し、アナログ発注の効率化や全国各地で商圏分析を図っています。教室事業やコンテンツ事業など幅広く展開する学研エデュケーショナルの山口さんと羽田さんに、エリアマーケティングの戦略についておうかがいしました。

目次

学研エデュケーショナル
執行役員
営業本部 本部長代行
山口祐司氏

2008年、中途採用で学研エデュケーショナルに入社。西日本支社(神戸)にて学研教室の支社員として従事。その後、南日本支社(福岡)での支社員、岡山・埼玉・東京で支社長として実績を積む。現在、執行役員営業本部本部長として全国の学研教室の現場責任者に就任。


教育事業本部 兼 学研教室事業部
シニアチーフ
羽田聡美氏

2009年、中途採用で学研エデュケーショナルに入社。新潟の地域限定の事務局スタッフとして勤務。配偶者の転勤に伴い、2017年に北関東支社に配属され支社員に。2018年から埼玉の実務担当兼支社員を経て、2020年から本社事業部にて従事。



“見えない”ポスティングの実態をDXで“見える化”

御社がエリアマーケティングや販促面で抱えていた課題について教えてください。

山口 弊社はフランチャイズ事業なので、基本は各教室のオーナーたちの独自判断でポスティング業者とやりとりされることが多かったんですね。いろんな業者が関わることで、例えば“この業者はいくらでやってくれる”“トータルで何枚入れている”などが、本社や支社では把握できなくなっていました。そこでエリアマーケティングシステム『DEECH』を使用することに。社内でDEECH社と繋がりのあった方からの紹介で、テストマーケティングを含めれば使用歴は1年半くらいになります。『DEECH』ではウェブ上で潜在顧客がいるエリアや、ポスティングの実施後に反響を入力することで反響が“見える化”されるので、課題に思っていたことが解決されそうだと感じました。

羽田 全国での地域販促は、管轄する事務局に頼らざるを得ない状況でした。具体的には、販促するエリアをそれぞれの事務局が独自に商圏分析を行ったり、地元のポスティング業者さんと実際に地図を見ながら進めてきました。どのようなチラシのデザインにするのかも考えて作り発注するとなると、発注に至るまでの工数はかなりの時間になるんですよね。『DEECH』であればGoogleマップを見ながら24時間365日、いつでも商圏の分析が行えますし、販促を行った後に反響分析機能でなぜ集客が出来たのか、なぜ集客ができなかったのかなどの振返りができると思いました。

それと、ポスティングの発注や新聞折込の発注も各現場の裁量に任せている部分が大きかったので、業務フローの改善も含め一元化できるかなと。何より商圏分析を行うことでターゲットがいるエリアが明確になるので、チラシに反映すべきキャッチコピーやデザインなどのビジュアルも見えてきます。さらに本部とも画面を共有できるので、現場任せにせず、戦略的にポスティングや新聞折込を使っていける気がしたんです。

画像キャプション


ポスティングの発注は通常3〜4日かかりますが、『DEECH』であれば時間に縛られず、Googleマップ上から好きな時にポスティングの発注が行えます。

山口 例えば、長野でポスティングをやろうと思ったら、長野のポスティング業者を探さなきゃいけない。次は群馬でやろうと思ったら、また違う業者に頼まなければいけない。且つ信頼できる業者なのか、価格は最適なのか、これらを調べるとなるとすごく煩雑です。それが『DEECH』のシステムであれば、地元の信頼ある業者と既にネットワークが組まれているので品質の担保が出来ている。価格も安かろう悪かろうではなく反響を出すための価格、というのも、すごく納得感がありますよね。


全国の各事務局によってパートナー企業が異なるのは、確かに管理が難しいところです。

山口 すごく極端な話をすると、本社から現場に「ポスティングやりましょう」と伝えても、「業者がないので、できません」と言われたら、こちらもそれ以上何も言えなくなってしまう。もしかしたら探せば方法があるかもしれない。ただ本社が現場の状況を掴み切れていないと、口を出すのも限界がありますよね。地方に行けば行くほどそのような傾向があります。現場は現地の人がいちばんよく知っているのは当たり前で、それが良い側面もあることは理解していますが、DEECHに入っている国勢調査や住民基本台帳の最新データを見ると、経験や勘など昔の感覚で現場を動かしている場合も多いと気づかされました。


現場のマーケティング偏差値が上がれば未来の販促施策に繋がる

実際に『DEECH』を使ってみて、いかがですか?

羽田 こういったシステム導入の際、通常だとパッケージやサイトをぽんっと導入されて、“あとはマニュアル渡すので、自分達でやってください”というケースが多いと思うんですよね。DEECH社の場合は現場担当向けにレクチャー会を実施してくれて、営業担当の方やカスタマーサクセスが実務をする人たちに“どう上手く使えるか”“どう使ってほしいか”をちゃんと伝えてくれる。そういう機会をこまめにいただけるので、本当にありがたい。本来なら私たちが噛み砕いて現場のみんなに伝えなきゃいけないことを、代わりに窓口になってくれる。レクチャー会の内容や課題も報告してくださり、私たちと同じ目線で働きかけていただいています。


“システムを導入するまでが仕事”と割り切っている企業も多いですよね。

羽田 新しいシステムを導入するのは、工程としてはラクになるはず。ですが今までと違ったやり方をするという部分では、人間は今までと同じことをするほうがラクなんですよね。そのハードルをいかに下げて乗り越えるか、というレベルまで一緒になって考えてもらっています。


フランチャイズの教室オーナー募集でも『DEECH』を活用されたとうかがっています。

羽田  “先生になりませんか?”“空きスペースを貸会場にされませんか?”の2種類です。これは紙販促のよさなのですが、表面で先生募集、裏面で会場募集が訴求できるんです。求人媒体の場合だと、どうしても人材募集に特化することになりますからね。「私は『学研のせんせい』にはなれないけど、スペースなら空いているから会場として使ってもらえます」という反響をもらえることがあるんです。フランチャイズで最初から『学研のせんせい』になろうという人は少なくて、ポスティングのチラシを見て“学研ってこういう働き方もあるんだ。『学研のせんせい』で検索してみよう”という流れでヒットされることが多いと感じますね。募集まで行き着くための1つの手段として、ウェブと紙を使い分けています。

「勉強の会場を貸します」というのは、非常に反響がある部分。これまで地元の業者に発注して反響があっても、事務局の中だけでの共有でした。それが『DEECH』を使って結果が出ると、なぜ成功したのか、という報告も積極的に本部に共有してもらえるようになりました。良い反応も悪い反応も本部で蓄積できるようになってきたので、今後のマーケティングにも生かしていけそうです。

山口 弊社の仕組み上、“どうしてもここに教室が欲しい”という場合があるんです。例えば、“教室の先生が辞めてしまって、そのエリアの教室自体がなくなってしまう。だけど生徒はいる”とか。そんなときにそのエリアを狙ってポスティングできる、すぐ手が打てるというのは助かりますね。


ターゲットを狙ってポスティングすることで成果が比例している。

羽田 例えば弊社だと「女性の先生がほしい」という声も多いんですね。今は男性講師も増えてきていますが、7割が女性の講師なんです。なので“女性人口が多い・小学校の近く・競合塾がない”というのが『DEECH』なら一発で可視化できる。これが実にありがたい。


教室を開校するには、会場という場所と、そこで教える講師がいて初めて成り立つ。もっと『DEECH』を活用して戦略的なことができると期待しています。

山口 これまでは現場の人間の土地勘に頼っているところがありました。だけど国勢調査や住民基本台帳のデータを、我々と現場が一緒に見れば話ができますよね。


Google マップと地理的なデータが連携していることで、年収や年齢、住宅種別が可視化できる。そこで販促の優先順位をつけられますよね。

山口 本社が現場を管理できるようになったということではなく、“共通言語ができた”という感覚。私自身も地方の支社長をしていた際に“本社はわかってないな”という思いを抱いたこともあります。営業本部に移動してからは、現場のことを知りたいけどわからないという部分も確かに感じました。本社と現場が、『DEECH』という同じ言語で話ができるようになったことは大きな前進だと感じています。



“誰でも使えるシステム”だからこそ現場のマーケティングスキルが向上する

これから『DEECH』活用してどのような展開を望まれますか?

山口 一人ひとりがDEECHを使いこなすことで、分析や発注に関わる工数改善のメリットが出てきてほしいと願っています。本来であれば発注や分析をすることは効果を上げるための作業にすぎません。ここをシステムで改善できると浮いた時間を生産性の高い業務に振り向けられると思っています。また当初DEECH社と一緒に掲げた目標は、“弊社のフランチャイズオーナーに使ってもらおう”ということ。教室の歴史とともに先生の平均年齢も高くなってきていますのでDX化するのはなかなか難しい部分もあるんですが、ぜひそこまではやりたいと思います。

羽田 まずは指導者募集で事務局の担当者に使い倒してもらいたいです。そこから生徒募集にまで広げて、教室オーナーの集客の悩みに事務局が打ち手を提案できるようになるのが理想です。『DEECH』という共通言語で、弊社の社員だけではなく現場の教室オーナーたちのマーケティングスキルも上げていきたいですね。

山口 弊社は全国に70拠点の事務局があるのですが、正直、まだすべての全員DEECHを使いこなせてはいない。ここから、半年以内でしっかりと使いこなせればと思います。その後、教室オーナーにまで浸透させるイメージですね。

羽田 アナログ発注や分析のエリアマーケティングDXをしっかりと行いながら、教室オーナー集客もDEECHさんと一緒に取り組んでいきたいです。

 

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