建設DXとは?建設業界が抱える深刻な課題と取り組み事例・進め方
目次
「建設DXに、自社も取り組む必要性を感じている」
という建設業界の方は、多いのではないでしょうか。
先進国を見渡せば、建設DXはもはやトレンドではなく、必須の経営戦略と変わりつつあります。
生き残りをかけた競争から取り残されないためにも、建設DXの重要性が増しているのです。
本記事では、あらためて建設DXの基本から取り上げます。どのような取り組みが存在し、どう進めていけばよいのかを解説します。
お読みいただくと、建設DXの概念をしっかり理解したうえで、成功するDXに向けて具体的なステップを踏み出せるはずです。実践的なノウハウを得て、自社を次の段階へと導いていきましょう。この記事は、デザインワン・ジャパン DX事業本部でDX支援に携わる泉川学が作成しました。
1. 建設DXとは?基本の知識
建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション、通称「建設DX」について、まずは基本事項を押さえておきましょう。
1-1. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)の概念から確認しておくと、簡単にいえば “デジタル技術によってビジネスモデルを変革すること” です。
単に新しいテクノロジーを導入するだけでなく、ビジネスモデルそのものや業務プロセスの根本、業界のあり方も含めて革新するのが、DXの本質的な意義です。
※より詳しくは「【必見】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは。意味・目的をわかりやすく解説」にて、ご確認ください。
1-2. 建設DXとは
建設DXとは、建設業界におけるデジタルトランスフォーメーションのことを指します。
ゼネコン・サブコン・建設会社などが、新しいデジタル技術を取り入れ、建設業界に根本的な変容をもたらすことが、建設DXです。
建設プロジェクトの効率化はもちろん、働き方改革、安全管理の強化、品質の向上、そしてクライアントとのコミュニケーション改善にも寄与します。
経営層から建設現場の作業員まで、全員がデジタル思考を持つ文化へとシフトすることも、重要です。
具体的な技術としては、以下が挙げられます。
【建設DXにおける代表的な新技術】
・BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング):3Dモデルを用いた設計・施工・管理を可能にし、プロジェクトの効率化を実現します。 ・CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング):BIMに加え、施工管理や運用管理の情報も統合し、建設プロジェクト全体を最適化します。 ・CAD(コンピュータ支援設計):設計の精度を高め、変更が容易なデジタル設計図を作成します。 ・ICT建機(情報通信技術を活用した建機):遠隔操作や自動化を可能にし、作業の安全性と効率性を向上させます。 ・次世代足場:安全性を高めるとともに、組立・解体の効率化を図ります。 ・現場管理システム:リアルタイムでの情報共有を実現し、現場の進捗管理を効率化します。 ・工程管理システム:プロジェクトの工程をデジタルで管理し、遅延の予防や効率的な工程計画を支援します。 ・測量機器:高精度な測量データを迅速に取得し、設計と現場のギャップを最小限に抑えます。 ・業務効率化システム:文書管理や業務フローのデジタル化により、事務作業の時間短縮を実現します。 ・建設ロボット:人手不足を補い、危険な作業を代行することで、安全性と生産性を同時に向上させます。 |
自社で建設DXを進めるにあたっては、まずは業界全体が目指している構想を理解することがスタートラインです。
いうまでもなく、建設プロジェクトは、設計者・施工者・サプライヤーなど、多様なステークホルダーの協力が不可欠です。
業界全体の動向を理解することで、これらの異なる専門分野との協業を、スムーズに進められます。
次のセクションでは、政府が推進している建設DXについて、解説します。
2. 国土交通省の建設DXへの取り組みと目指す未来
前述のとおり、自社の建設DX戦略を検討する際には、政府が描いている青写真を把握しておくことが役立ちます。
国土交通省は、建設業界の生産性向上を図るため、建設DXの推進に注力しています。以下で見ていきましょう。
2-1. i-Constructionとインフラ分野のDX
「DX」の言葉が国内へ浸透するよりも前から、国土交通省は「i-Construction」と名付けた取り組みを推進してきました。
i-Constructionは、調査・測量から設計・施工・維持管理までのあらゆるプロセスで、ICTなどを活用して建設現場の生産性向上を図るものです。
さらに、2020年からは「インフラDX」への取り組みが強化されています。
【参考:i-Construction、インフラ分野のDXのこれまでの取り組み】
出典:国土交通省「i-Construction推進コンソーシアム(第8回企画委員会)資料1」
2-2. 建設DXで具体的に行われること
以下は、i-Constructionとインフラ分野のDXの関係性を表した図解です。
出典:国土交通省「i-Construction推進コンソーシアム(第8回企画委員会)資料1」
建設に直接的に関わる取り組みとして、以下が挙げられています。
・ICT施工:3次元測量やICT建機による施工などあらゆる建設生産プロセスでICTを全面的に活用(*1) ・コンクリート工の規格の標準化:定型部材を組み合わせた施工 ・施工時期の平準化:2か年国債・ゼロ国債の設定 ・BIM/CIM:受発注者ともに設計・施工の効率化・生産性向上(*2) ・建機の自動化・自律化:自律施工技術・自律運転を活用した建設生産性の向上 ・地下空間の3D化:所有者と掘削事業者の協議・立会などの効率化 ・バーチャル現場:VRでの現場体験、3Dの設計・施工協議の実現 ・AIを活用した画像判別:AIにより交通異常検知の判断・点検などを効率化 |
*1:ICT(Information and Communication Technology)とは、情報や通信に関するテクノロジーの総称です。
*2:BIM/CIM(Building/ Construction Information Modeling, Management)とは、計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工・維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させ、建設生産・管理システム一連の効率化・高度化を図る取り組みです。
【参考:3次元モデルの連携・ 段階的構築】
※BIM/CIMに関する詳細は、国土交通省の「第3回BIM/CIM推進委員会(令和2年2月5日)」にてご確認ください。
2-3. 建設DXの未来
2020年代の現在、建設DXが目指している未来としては、「現場にいなくても現場管理が可能になる、DXによる自律施工の実現」が挙げられます。
出典:国土交通省「i-Construction推進コンソーシアム(第8回企画委員会)資料1」
以下は上の資料を整理したものです。
(1)1990年代 (2)2000年代 (3)2020年代 (4)2025年以降 |
現在の建設業界は、2025年以降を見据えて、DXによる自律施工を目指しています。
自社が今、どのフェーズまでデジタル化を実現しているのか確認してみましょう。
まったくデジタル化に着手できていない状況であれば、自律施工の前段階であるICT施工や自動化施工から検討していくのが、現実的なアプローチといえます(建設DXの進め方は後述します)。
3. 建設業界が抱える課題とDXへの期待
建設業界は、さまざまな課題に直面しています。建設DXによって解決が期待される課題を、以下で見ていきましょう。
1. 人手不足の解消 2. 働き方改革の推進 3. コスト削減・生産性の向上 4. 安全管理の強化 5. 品質の向上 |
3-1. 人手不足の解消
1つめは「人手不足の解消」です。
建設業界は、極めて深刻な人手不足の状態にあります。
下図は、2022年度の従業員数過不足DIの推移ですが、一番下の青のラインが建設業です。建設業は、最も人手不足感が強い業界であることが示されています。
この課題に対して、建設DXは、有力な解決策となり得ます。
【建設DXによる課題解決の例】
・建設ロボットの導入:単純作業を自動化し、人の手を必要としない作業環境を作り出します。たとえば、コンクリートの打設や溶接作業をロボットが行うことで、作業員の負担が軽減されます。 ・ICT建機の活用:遠隔操作や自動運転技術を駆使した建機が、少ない人員での効率的な作業を可能にします。遠隔地からの操作により、一人のオペレーターが複数の機械を同時にコントロールできるようになります。 ・遠隔監視システムの導入:現場の状況を遠隔地から監視し、必要に応じて指示を出すことで、現場作業員の負担を軽減します。 |
3-2. 働き方改革の推進
2つめは「働き方改革の推進」です。
建設業は、他業種と比較して、実労働時間が長く、出勤日数が多いという課題があります。
少子高齢化の現代では、このような労働環境を是正するためには、根本的な仕組みの変容、つまりDXが不可欠といえます。
【建設DXによる課題解決の例】
・業務の自動化や機械化:ロボットやAIを活用することで省人化し、従業員の負担を軽減します。 ・ウェアラブル技術の利用:従業員の健康状態をリアルタイムでモニタリングし、疲労や危険を未然に防ぎます。長時間労働の削減や労働環境の改善が図られます。 ・AIによる作業配分:AIを用いて、従業員のスキルや経験を考慮した最適な作業配分を行います。人員の有効活用が可能となります。 |
3-3. コスト削減・生産性の向上
3つめは「コスト削減・生産性の向上」です。
建設業は、他業種に比較して労働生産性が低いという課題を抱えています。
出典:国土交通省「建設業全体の生産性の計測手法について(試算)」
この背景として、工事単価の下落のほか、建設業そのものが有する特殊性(屋外生産、単品受注生産など)が挙げられます。
この課題についても、仕組みから変容させる必要性があり、DXによって解消が期待される分野です。
【建設DXによる課題解決の例】
・BIMの活用:設計変更が容易になり、設計段階でのエラーを減少させます。無駄なコストを削減し、プロジェクトの予算内での完成が可能になります。 ・精密測量機器の使用:設計と現場のギャップを最小限に抑え、再作業によるコストの増加を防ぎます。施工の精度が向上し、時間と資源の節約につながります。 ・自動化技術の導入:ルーチンワークを自動化することで、人的資源をより価値の高い作業に振り分けられます。 |
3-4. 安全管理の強化
4つめは「安全管理の強化」です。
建設業は、屋外作業や高所作業などを伴うため、労働災害が他産業に比較して多いことが課題です。
出典:厚生労働省 国土交通省「建設業における安全衛生をめぐる現状について 令和5年2月」
安全管理面でも、建設DXはさまざまな取り組みが可能です。
【建設DXによる課題解決の例】
・ウェアラブルデバイスの活用:従業員の生体情報をリアルタイムで監視し、疲労度やストレスレベルを把握します。健康リスクが高まる前に、適切な休憩を取らせることができます。 ・AIによる危険予知:過去の事故データと現場の状況を分析し、事故の可能性が高いシナリオを予測します。予知情報を基に、事故を未然に防ぐ対策を講じます。 ・ドローンを用いた監視:広範囲を飛行しながら現場の安全状況をチェックし、危険なエリアの早期発見に役立ちます。これにより、人が立ち入るリスクを減らします。 |
3-5. 品質の向上
5つめは「品質の向上」です。
熟練した建設職人の高齢化や引退は、高品質な施工を維持し、標準化するうえでの課題となっています。
技術を承継する若手人材が不足しているなか、DXは品質向上の鍵といえます。
【建設DXによる課題解決の例】
・デジタル技術の統合:CIMなどのシステムを用いて、施工から運用に至るまでの情報を統合し、品質管理を一元化します。 ・AIによる検査:AIを活用した検査システムは、人の目では見落としがちな不具合を検出し、品質の均一性を高めます。 ・リモート監視:ドローンやIoTデバイスを用いたリモート監視により、現場の状況をリアルタイムで把握し、迅速な対応を可能にします。 ・データ分析:収集したデータを分析し、品質に影響を与える要因を特定します。予防的なメンテナンスが実施できます。 ・教育とトレーニング:VRやARを活用したシミュレーションにより、職人の技術を継承し、新たな人材の教育を効果的に行います。 |
4. 建設DXの事例
続いて、建設DXの事例を見ていきましょう。
1. ICT建機(株式会社オカシズ) |
4-1. ICT建機(株式会社オカシズ)
1つめの事例は「ICT建機(株式会社オカシズ)」です。
愛知県名古屋市の株式会社オカシズでは、現場監督の負担軽減を図るために、ICT建機を活用した生産性向上に取り組んでいます。
ICT舗装の路盤工にICT建機を導入しており、またICT施工現場では、施工管理ソフトウェアを活用して、現場測量を行っています。工事写真管理は、現場用スマートフォンアプリを活用しています。
出典:国土交通省「建設業における働き方改革推進のための事例集」
成果としては、マシンコントロール(*3)を使用した工事では、確実に作業量の短縮を図れているといいます。
また、3D設計データを活用した設計では、現場での測量において従来より作業時間を50%縮減できているとのことです。
*3:マシンコントロールとは、位置計測装置を用いて建設機械の位置情報を計測し、施工箇所の設計データと現地盤データとの差分に基づき、操作を半自動動制御するシステムです。詳しくは「マシンコントロール/マシンガイダンス技術(バックホウ編)の手引書【施工者用】」にて解説されています。
4-2. UAV(ドローン)測量(秋田県)
2つめの事例は「UAV(ドローン)測量(秋田県)」です。
秋田県では、建設現場が抱える人手不足や高齢化などの課題を解決するため、建設DXに積極的に取り組んでいます。
たとえば、従来、機器を持って複数人で移動しながら行っていた測量の作業は、UAVにて行っています。UAV(Unmanned Aerial vehicle)とは無人航空機のことで、通称ドローンです。
出典:美の国あきたネット「特集:建設DX 働き方改革、進行中」
UAVなら、短時間で地形データを取得でき、効率性がアップしています。地形の精密な3次元データを容易に作成できるため、設計などに活用されています。
4-3. ICT施工(金杉建設株式会社)
3つめの事例は「ICT施工(金杉建設株式会社)」です。
金杉建設株式会社は、国土交通省が主催するインフラDX大賞を受賞している企業です。
【参考:インフラDX大賞受賞取組】
出典:国土交通省「インフラDX大賞受賞取組概要(工事・業務部門)」
インフラDX大賞で金杉建設が高い評価を受けたのは、埼玉県が発注した橋の架け替えに伴う迂回路の整備工事での取り組みです。
現場は民家や大規模工場に隣接し、交通量も多く、周辺は慢性的な交通渋滞区間となっているところであり、沿道の住民の負荷を最小限に抑えることが求められていました。
金杉建設は、ICTシステムを搭載したバックホーを使用しました。目印を設置する必要がなく、オペレーターの操作だけで作業を進められるシステムで、効率的かつスピーディーな工事を実現したのです。
出典:J-Net21「ICT施工に積極チャレンジ “自前主義”で公共工事の効率化に貢献【金杉建設株式会社(埼玉県春日部市)】」
中小企業庁の運営するサイトJ-Net21に、金杉建設の吉川祐介社長のインタビュー記事が掲載されていますので、一部引用します。
吉川氏が積極的にICT導入を進めるようになったのは、東京中小企業投資育成が2012年に発足させた後継者を集めた経営者交流会に参加したことがきっかけだった。交流会には、さまざまな業種の経営者が参加。その集まりで製造業の経営者が「海外に工場をつくるため、年商の2倍の設備投資した」と平然と話すのを聞き、衝撃を受けたという。 「われわれの業界で投資するといっても1000万~2000万円の建機を買うくらい。1回の受注で2~3億円の仕事をしているのに、この程度の投資にしり込みしていいのか。そう強く感じた」 |
出典:J-Net21「ICT施工に積極チャレンジ “自前主義”で公共工事の効率化に貢献【金杉建設株式会社(埼玉県春日部市)】」
経営者としての決断力が光るエピソードといえるのではないでしょうか。
4-4. 建設DX事例集へのリンク
なお、ほかにも数多くの建設DX事例を確認したいという方向けに、以下にリンク集を作成しました。
具体例からインスピレーションを得たいときに、ご活用ください。
5. 建設DXの進め方
「自社でも、建設DXへの取り組みをスタートしたい」
と感じている方も多いでしょう。
建設DXをどのように進めていけばよいか、見ていきましょう。重要な3つのポイントがあります。
1. 自社に合う変革レベルからスタートする |
5-1. 自社に合う変革レベルからスタートする
まず重要なのが、自社に合う変革レベルからスタートすることです。
建設DXというと「ロボット」「ドローン」「VR」「AI」……という具合に、近未来的なイメージがあります。
先ほど事例をご紹介しましたが、どの成功事例集を見ても、先進的な技術が数多く掲載されています。
しかし、実際に取り組むべき領域やレベルは、企業によってまったく異なることに注意が必要です。
以下は、日本建設業連合会が提唱する「建設現場における建設DXの変革レベル」を図解したものです。
レベル1:可視化・オンライン化・ビックデータ化 レベル2:自動処理アプリによるプロセスの自動化 手動で行っていた処理を自動で行うことにより、出来高確認などのプロセスを自動化 データの一部を他のアプリとAPI連携などによって新たな付加価値を生み出す 建設現場の完全デジタル化による、圧倒的な生産性向上、 効率的かつ安全な職場環境の構築 プロジェクト関係者含め建設生産プロセスや働き方に柔軟性を持たせ、 高度化・効率化を実現 |
DXは「トランスフォーメーション(変容・転換・革新する)」という本質があり、単にレベル1のようにデジタル化するだけでは、完全なDXとはいえません。
しかしながら、そもそもレベル1の「建設現場のデジタル化」を開始しなければ、DXは実現できないのです。
よって、最初の取り組みとしては、今までアナログ(紙・電話・口頭・手動)で行ってきた作業を、デジタルツールを導入してデジタル化していくことが必要となります。
5-2. 自社に合うパートナー企業を探す
次に重要なのが、自社に合うパートナー企業を探すことです。
IT企業や金融業など、もともとデジタル領域が業務内容と関わっている業種と異なり、建設業では、社外の専門企業と協働してDXを推進する必要があります。
具体的には、システム開発会社やアプリ会社の協力を得て、DXを推進していくことになります。
パートナー企業の選び方に失敗すると、DX自体がうまくいかなくなります。
だからこそ、自社に合ったパートナー企業を見極めることが非常に重要である点は、強くお伝えしたいポイントです。
失敗しないために守るべき選定基準を1つ挙げると、「自社で、システムの企画から運用までを実施している企業を選ぶこと」です。
一見、同じようなサービスを提供しているように見える企業でも、自社で企画・開発・運用をしている会社と、それらを下請け企業に外注している会社があります。
システム開発は、リリース後からの運用が本番です。企画から運用まで、責任を持って対応する企業の中から、自社に合う企業を選んでいきましょう。
具体的な選択肢やその他の選定基準については、以下の記事が参考になるかと思います。
・【プロ厳選】本当におすすめできるシステム開発会社5選とその選び方を紹介! |
5-3. DXプランを策定して実行していく
自社に適したパートナー企業を選定した後は、具体的なDXプランを策定し、実行に移していく段階となります。
パートナー企業からの提案やアドバイスを参考にしながら、戦略を練っていきましょう。
【DXプランを策定するプロセス】
・現状分析:自社の業務プロセス、組織構造、技術基盤などを詳細に調査し、現状を把握します。 ・課題の特定:現状分析をもとに、効率化や生産性向上が必要な業務プロセスを特定します。 ・優先順位の設定:すべての課題を同時に解決することはできないので、どの課題を先に解決するか優先順位を設定します。たとえば、安全性に関わる問題や、大幅なコスト削減につながる改善は、優先度が高くなります。 ・目標設定:具体的な目標を設定します。「来年度までに現場作業の報告時間を30%削減する」といった具体的な数値を掲げることで、プロジェクトの進捗を測定しやすくなります。 ・リソースの確認:目標達成に必要な人材・技術・予算を明確にします。たとえば、新しいデータ入力システムを導入する場合、そのための予算はいくら必要か、また、システムを運用するためにはどのようなスキルを持った人材が必要かを洗い出します。 ・スケジュール管理:プロジェクトの進捗を管理し、必要に応じて調整します。たとえば、新システムの導入に遅れが生じた場合、その影響を最小限に抑えるための対策を講じます。 ・リスク管理:予見可能なリスクを洗い出し、それぞれに対する対策を講じます。たとえば、新システム導入に伴う従業員の抵抗感を予測し、事前に説明会を実施します。 ・評価と改善:プロジェクトの成果を定期的に評価し、改善点を修正します。目標達成できなかった場合、その原因を分析し、改善策を講じます。 |
上記は標準的な例であり、実際には各企業の業務や段階に応じて、実践すべき内容は変動します。
選定したパートナー企業と協力しながら、建設DXの歩みを進めていきましょう。
6. まとめ
本記事では「建設DX」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
建設業界が抱える課題とDXへの期待としては、次の5つのポイントが挙げられます。
1. 人手不足の解消 2. 働き方改革の推進 3. コスト削減・生産性の向上 4. 安全管理の強化 5. 品質の向上 |
建設DXの事例として、以下をご紹介しました。
1. ICT建機(株式会社オカシズ) 2. UAV(ドローン)測量(秋田県) 3. ICT施工(金杉建設株式会社) |
建設DXの進め方として重要なのは、次の3点です。
1. 自社に合う変革レベルからスタートする 2. 自社に合うパートナー企業を探す 3. DXプランを策定して実行していく |
建設DXは、生産性を向上させ、安全性や施工の品質、従業員の安全といったさまざまな課題に対して、ポジティブな影響をもたらします。
「どこから手を付けてよいか、わからない……」という場合は、弊社にてお見積りやご相談を無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
現在いるステージから、やるべきことをひとつずつ、実行していきましょう。