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新規事業のポイントは3つ!アイデアの考え方、具体的な進め方などを解説

新規事業のポイントは3つ!アイデアの考え方、具体的な進め方などを解説
近年の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークやオンライン会議に代表される働き方改革など、各社とも様々な取り組みを進めています。特に、DXを中心とした「新規事業」は、企業成長のための重要な施策として取り組む企業が増えています。 しかし、実際の新規事業を進めてみると「リソース確保や事業環境の変化への対応が難しく、思うように進まない」ということも少なくありません。この記事では、これから新規事業を計画する方向けに、立案のポイントを3つ紹介します。新規事業計画に行き詰まっている、何か新しい手立てを講じたいと考えているご担当の方はぜひ、参考にしてみてください。この記事は、デザインワン・ジャパン DX事業本部でシステム・アプリ開発に携わる泉川学が作成しました。

目次

新規事業とは 定義・役割・形態

新規事業とは、新しい商品・サービス・市場・ビジネスモデルのいずれかを採用し、新たにビジネスを始めることを指します。

新規事業の役割は、市場の変化や消費者ニーズの多様化・変化に対応することにより、企業の価値を高めつつ新たなビジネスチャンスを創出することです。

新規事業の形態には、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 企業内に新規事業を生み出す組織(部署)を新設する

  • 企業の既存事業部内で新規事業を生み出す

  • 企業の外に別会社を設立して新規事業を生み出す

企業内に新たな組織を新設する例としては、社内ベンチャーなどがあります。また、別会社を設立するケースとしては、スタートアップ企業やベンチャー企業などがあります。

新規事業はなぜ、必要か?

企業成長のために重要な「新規事業」ですが、そもそもなぜ各社は新規事業に取り組むのでしょうか。2つの観点から説明します。

企業の持続的な成長のため

現代は「VUCAの時代(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)」と呼ばれ、今の主力事業が数年後も同じように収益源として機能するかは未知数です。

特にこの数年は、AIの普及や新型コロナウイルスの感染拡大など、市場環境が大きく変化し、製品・サービスのライフサイクルが短くなっています。変化の激しい環境でも企業を持続的に成長させるためには、新たな事業を開発し、次の主力事業をつくることが求められているのです。

社内人材の育成のため

VUCAの時代では、予測不能な変化に対応できる人材の育成が重要です。

しかし、2020年1月に一般社団法人 日本経済団体連合会が発表した『人材育成に関するアンケート調査結果』によると、全体の約9割の企業が人材育成施策の環境変化について「対応できていない部分がある」と回答しています。

新規事業では、時代のニーズを「考え」、社内のリソース状況や具体的な手続きを「検討し」、責任をもって「実行する」ことが求められます。研修やインプットで得た知識・ノウハウだけでなく、実際に新規事業を立案することで得られる学びは、企業を成長させる力へと変わっていくでしょう。


新規事業の成功・失敗を分けるポイント

新規事業は検討することが多く、つい、全てに同じくらいの労力で取り組みがち。検討すべきポイントをあらかじめ押さえることで、新規事業の成功につなげやすくなります。

ポイント1:「誰の課題」を解決するかが明確か?

新規事業を検討する際にまず、取り組むべきは「誰の課題」を解決するのかということです。事業の新規性は人々を惹きつける魅力的な要素ですが、「誰の課題」を解決するのかが不明確な場合、収益構造を確立できずビジネスとして成立しない場合があります。また、誰を選ぶかによって価格設定やプロモーション等、とるべきアプローチも変化します。

そのため、プロジェクトの早い段階で新規事業のターゲット、ターゲットが持っている潜在的な課題について検討することが重要です。

<ターゲット設定の要素例>

  • 年齢
  • 性別
  • 年収
  • 世帯状況
  • 職業
  • 趣味
  • よく利用するメディア
  • 最近の悩み
  • 休日の過ごし方
  • 将来の目標(成し遂げたい願望)

ポイント2:課題を解決する「機能」があるか?

ターゲット設定の次は、課題を解決できる「機能」の検討を行います。このとき、「その機能はターゲットの課題を解決できるか」「安定的に機能を提供するために必要なことは何か」「その機能はどの程度の収益が見込めるのか」なども合わせて検討することで、より具体的な機能の検討につながります。

課題例解決策例
一眼カメラで撮影した写真をPCに保存したいが、デバイス容量が足りないクラウド上に画像ファイルを保存できるアプリの提供
実際の購入者の感想を見て、ネットショッピングしたいショッピングサイト内にレビュー機能を追加
両親不在時に子どもが家から離れていないか心配カメラとデバイスをつなぎ、自宅の状況をスマートフォンから確認できるシステムの開発

ポイント3:新規事業は「全社ビジョン」に沿っているか?

3つ目のポイントは、新規事業が「全社ビジョン」に沿っているかという点です。新規事業を行う目的が曖昧だと経営陣のコミットメントも従業員の支持も得にくくなります。

そのため「全社ビジョンを実現するために、今〜〜の事業をやるべきだ」といったストーリーを設計し、経営陣や従業員の当事者意識を促すことが求められます。

実際にストーリーを設計する際は、ビジョン達成までの期間をいくつかのフェーズに分けて目標設定することが大切です。時間軸を分けることで目的達成のイメージが明確化され、新規事業に対する理解促進につながります。


新規事業を成功に導く8つのステップ

ここまで新規事業の目的や成功・失敗を分けるポイントを紹介しました。続いては、より具体的な内容として「新規事業を成功に導く8つのステップ」を紹介します。具体的には、以下のステップとなります。

  • 自社の軸となるべき項目(理念・ビジョン・社会的価値)の確認

  • 自社の強みの確認

  • 顧客の悩み・課題の調査・整理

  • 事業ビジョンを検討する

  • ビジネスモデルを作成し検証を繰り返す

  • 製品の本開発で事業化準備を進める

  • 事業計画書の作成

  • 事業を開始し改善を繰り返す

ステップ1:自社の軸となるべき項目(理念・ビジョン・社会的価値)の確認

まずは、自社の掲げている経営理念や中長期的なビジョン、社会的価値について、改めて確認をしましょう。新規事業を創出するためには、本当に自社でその事業を行うべきであるかについて検討する必要があります。

自社の経営理念に合わない事業は、そもそもその企業として取り組むべきではありません。そのため、自社の軸の確認から着手する必要があります。

ステップ2:自社の強みの確認

新規事業の立ち上げを成功させるためには、自社の強みを生かすことができ、かつ競合他社のウィークポイントおよび参入していない分野で勝負することが、成功に向けてのカギとなります。

そのため、自社の強みは何であるかについて、今一度確認が必要となります。

ステップ3:顧客の悩み・課題の調査、整理

自社に強みがあるジャンル・市場であっても、顧客側に新しい商品やサービスのニーズがないと、新規事業は成功しません。そのため、新規事業として成功するか否かの判断のために、顧客の悩み・課題について調査を行い、調査結果を整理しておくことが大切です。

特に、単に「あったら便利」という程度ではなく、お金を出してでも買いたいと思ってくれる人が一人でもいるか、が重要になってきます。

ステップ4:事業ビジョンを検討する

ステップ4では事業ビジョンの検討として社会課題や市場の調査、事業戦略の策定等を行います。市場調査の際はフレームワークを活用することで自社を取り巻く環境を客観的に理解できます。例えば、「SWOT分析」のフレームワークでは、内部・外部環境から見た自社の状況の可視化が可能です。

<SWOT分析例:旅行アプリ>


プラス要素マイナス要素
内部環境

強み(Strength)

例)掲載する旅行プランの数

弱み(Weakness)

例)アプリの機能性

外部環境

機会(Opportunity)

例)全国旅行支援キャンペーンの実施

脅威(Threat)

例)新型コロナウイルス感染拡大に伴う海外渡航制限の実施

事業ビジョンと事業戦略の策定では、全社ビジョンと事業を照らし合わせながら、新規事業を行う意義や目標と行ったストーリーを設計します。

「全社ビジョンでは、企業がどこへ向かおうとしているのか」「ビジョンの実現に向けて、今、新規事業に取り組む理由は何か」「新規事業によって、何を達成したいのか」など、事業の目的と戦略との間にズレが生じることを防ぐために、土台となるビジョンの検討を行います。

なお、新規事業のアイデアの出し方や、アイデア出しに利用できるフレームワークの詳細は、「新規事業の立ち上げはどうやる?アイデアの出し方やフレームワークなどを解説」または「【場面別に紹介】新規事業で活用できるフレームワーク9選!」を参照ください。

ステップ5:ビジネスモデルを作成し、検証を繰り返す

ステップ4で決めたビジョンや戦略をもとに、ステップ5ではビジネスモデルキャンバス等のフレームワークを活用して実際のビジネスモデルを検討します。

<ビジネスモデルキャンバス>

KP(パートナー)KA(主要な活動)VP(提供価値)CR(顧客との関係)CS(顧客セグメント)
KR(リソース)CH(チャネル)
CS(コスト構造)RS(収益の流れ)

例にあげた「ビジネスモデルキャンバス(BMC:Business Model Canvas)」は、中心に「提供価値(Value Propositions)」があるように、顧客に対しどのような価値を届けるかを可視化するためのフレームワークです。フレームの右側は「企業外部の内容」、左側は「企業内部の内容」になっており、事業を運営させるための要素の検討が可能です。

新規事業のアイデアが固まったら、BMCに記載のある9つの欄を埋めていきます。書き込みの際は他の要素を複数の要素を見ながら記載をすると、新しいビジネスアイデアが生まれる可能性が高まります。記載が終わったら自社の状況を踏まえてBMCを見てみましょう。新規事業の実施という観点で自社に不足している要素が明らかになり、今後行うべき活動が明確になります。

ただ、あくまでビジネスモデルキャンバスは「フレームワーク」であり、検討のための材料でしかありません。まずは全体の要素を埋め、その後で他の社員とディスカッションしながら内容を詰めましょう。また、このフレームワークはプロジェクトの進捗に合わせて変更できるため、事業を軌道修正する際など、定期的にビジネスモデルキャンバスを見返し、必要に応じて修正することも重要です。

ステップ6:製品の本開発で事業化準備を進める

事業ビジョンも検討しビジネスモデルも固まってきたら製品の本開発を進め、事業を運営する組織の整備やマーケティング施策の立案等を行います。

ステップ3では主に「製品」「組織」の両軸からそれぞれ「価値拡大・市場浸透」のための施策、「体制構築・リソース確保」のための施策を行い、事業化のために必要な施策を進めます。具体的には、市場浸透に向けたマーケティング施策の立案や、体制構築のための採用・育成活動などを行います。

ステップ7:事業計画書の作成

ステップ1~6までを行うことにより、新規事業の計画内容が固まります。次に、今まで検討してきた内容を踏まえて、今回の新規事業を具体的に運営していくために必要となる、事業計画書を作成します。

事業計画書には、新規事業コンセプトシート・行動計画・収支計画などがあります。新規事業コンセプトシートは、今回の新規事業の方針やコンセプトなどを記載します。コンセプトシートの内容を踏まえて、具体的な行動計画および収支計画を作成していきます。

ステップ8:事業を開始し、改善を繰り返す

製品開発にめどが立ち、組織体制も整ってきたら、いよいよ事業開始です。

実際に事業を始めると計画段階では考えられなかったトラブルやバグも発生します。定期的に事業進捗の振り返りを行い、顧客にとって最適な製品・サービスの提供を目指して改善を行い続けます。

また、新規事業の立ち上げのときに注意すべき点は、「新規事業の立ち上げはここを押さえる!成否を分ける3つのポイント ノウハウ集」も参照ください。


新規事業の戦略タイプ

新規事業の戦略タイプは、大きく分けて下記の4種類があります。

  • 新規市場開拓戦略

  • 新製品・サービス開発戦略

  • 多角化戦略

  • 事業転換戦略

新規市場開拓戦略とは、今までに参入したことがなかった市場で、既存の製品・サービスを売り込む戦略です。

新製品・サービス開発戦略とは、既に参入している市場において、新たな商品やサービスを売り込んでいく戦略です。

多角化経営とは、既存事業を維持しつつ、新たな市場で新製品や新サービスを展開する戦略です。つまりその企業にとっては、さらに多彩な市場へ商品・サービスを売り込み、経営事業の柱を複数持つ戦略といえます。

事業転換戦略とは、既存事業の廃止・縮小を行いつつ、新たな市場で新製品・新サービスを展開していくことにより、事業転換を図る戦略です。

これらの戦略タイプの中からどのタイプを選ぶかによって、事業計画が大きく変わってしまうため、事業ビジョンの検討までの間に、戦略タイプを決めておく必要があります。

新規事業に適したタイミング

新規事業に参入するにあたっては、参入するタイミングも成功のための重要なポイントです。参入タイミングは、明確な根拠を基に検討された需要予測に基づいて、決定することが重要です。

需要予測を見誤って新規事業に参入してしまうと、失敗に終わることも少なくありません。そのため、顧客ニーズや競合他社の動き、市場の状況などを総合的に判断し、需要予測を決定することが大切です。

新規事業開発事例3選

「課題解決」のためとはいえ、ある程度の知識・ノウハウが不足している場合「解決のための機能」の検討ができないことも。ここからは新規事業の例として3つのサービスを紹介します。

マッチングサービス

ビジネスマッチングサービスは、「他社に製品・サービスを提供したい」と考えている企業と、それを求めている企業をマッチングさせるサービスです。日本に何百万とある企業と連携しながらサービス展開できるため比較的事業化がしやすく、顧客にとっても価値が伝わりやすい点が魅力的です。

例えば、仕事の受発注企業をマッチングする「比較ビズ」はサイト内にレビュー機能を搭載し、発注側が実際に依頼した企業からの評判を参考に依頼する企業を選択できるという価値を提供しています。一方、「発注ナビ」はIT企業の紹介に特化しており、無料登録後にITに詳しい専門スタッフが要望・条件を必ずヒアリングするため、企業を探す手間を省けます。

基幹システム

基幹システムとは、「販売管理」「労務管理」など、企業経営の主要な活動を管理するシステムのこと。販売管理や決算書作成等の業務を一括で行います。

例えば、「freee」は会計ソフトや販売管理ソフトを提供しています。それぞれを連携させ販売管理と同時に会計作業も進めるられながら、データをクラウド上で管理しているため、リモートワーク環境の構築にも役立ちます。

また近年は、業界や業務に特化した「Veritical SaaS」として保育業界に特化した「コドモン」や製造現場に特化したペーパーレスを実現する「KAMINASHI(カミナシ)」も。業界業種に特化し一定程度の収益、認知を確保することで、他社の後追いを防げるといった効果も期待できます。

その他サービス

マッチングサービスや基幹システム以外にも、ネットショップの開設やオンラインアシスタントなど、様々な新規事業が生まれています。とはいえ、新規事業は想定外のトラブルやバグが発生したり、計画どおりに進まなかったりといったことも多くあります。そのため、定期的に事業方針を見直したり、自社に適したアイデアは無いかと探したりと、検討を継続することも大切です。

まとめ

新規事業は思うように進まないこともありますが、常に基本に立ち返り「誰の課題を解決するのか」を検討することが重要です。そのためにはフレームワークを用い、計画・検証・改善のサイクルを何度も繰り返し、常に改善するという姿勢が大切です。

また、新規事業創出にあたっては、助成金・補助金が支給される場合があります。詳しくは、「【担当者必見】新規事業に活用できる助成金は?種類や支給要件を解説」を参照ください。

デザインワン・ジャパンのDXソリューションは、14年を超える自社サービスの運用、受託開発の経験を生かし、新規事業のアイデア創出からビジネスモデル構築、保守運用まで包括的な支援が可能です。弊社のDXソリューションにご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。



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