ChatGPTのAPI費用はいくらかかる?料金体系とコストダウンの工夫

ChatGPTのAPI費用はいくらかかる?料金体系とコストダウンの工夫
「ChatGPTのAPI費用、どのくらいかかるんだろう?」 このような疑問を抱える開発者や企業は少なくありません。 ChatGPTの開発元であるOpenAIは、相次いで新しいモデルを発表し、料金設定についても改訂が行われています。 本記事では、2023年11月時点での最新情報をもとに、ChatGPTのAPI費用について解説します。 どのような仕組みになっていて、いくらかかるのか、コストダウンするにはどうすればよいのかを取り上げますので、費用対効果を最大化するためにお役立てください。 賢いAPIの利用で、ビジネスを加速させていきましょう。この記事は、デザインワン・ジャパン DX事業本部でシステム・アプリ開発に携わる泉川学が作成しました。

目次

1. ChatGPT APIの費用(2023年11月6日時点)

最初に、本記事執筆時点でのChatGPTのAPI費用から、お伝えします。こちらはすでに課金の仕組みや料金体系についての知識があり、金額を調べている方向けの情報となります。

まだ知識がなく、初歩的な情報から確認したい方向けの解説は、次のセクションをご覧ください。


1-1. ChatGPT モデル別の費用の一覧表

まず、1,000トークン(1kトークン)あたりのコストをまとめた表が、以下のとおりです。


【ChatGPT API 1kトークンあたりのコスト】

モデル

入力トークン

出力トークン

GPT-4 Turbo
(gpt-4-1106-preview)

$0.01

$0.03

GPT-4 Turbo
(gpt-4-1106-vision-preview)

$0.01

$0.03

GPT-4
(gpt-4)

$0.03

$0.06

GPT-4
(gpt-4-32k)

$0.06

$0.12

GPT-3.5 Turbo
(gpt-3.5-turbo-1106)

$0.0010

$0.0020

GPT-3.5 Turbo
(gpt-3.5-turbo-instruct)

$0.0015

$0.0020

出典:OpenAI「Pricing」


1-2. 2023年11月6日にGPT-4 Turboの発表と値下げ

注目したいのは、OpenAIが2023年11月6日に開催されたOpen AI DevDayカンファレンスで、「GPT-4 Turbo」を発表し、さらに費用を値下げしたことです。

「GPT-4 Turbo」は、これまでで最もパワフルなモデルであり、以下の特徴があります。


・以前のバージョンは2022年1月までの情報で終わっていたが、GPT-4 Turboは2023年4月までの情報を提供できる。
・以前のバージョンは入力できる文字数が約3,000字に制限されていたが、GPT-4 Turboは300ページまでの入力ができる(本1冊を要約することも可能)


従来よりもパワーアップしているにもかかわらず、トークンの費用は値下げされました。同イベントにて、

「GPT-4 Turboの入力トークンは、GPT-4より3分の1である0.01ドルで、出力トークンは2分の1の0.03ドルです」

とアナウンスされています。


参考:CNBC「OpenAI announces more powerful GPT-4 Turbo and cuts prices」


2. ChatGPT APIの費用に関する基礎知識

さて、ここからは、ChatGPTのAPI費用について、基本から確認していきましょう。以下について、解説します。


1. ChatGPT APIの概要
2. ChatGPT APIを使うとできること
3. トークンベースの料金体系
4. トークンと文字数の換算
5. ChatGPT API費用のシミュレーション
6. ChatGPT API費用の支払方法


2-1. ChatGPT APIの概要

そもそも「ChatGPT」とは何か?「API」とは何か?──という点から、押さえておきましょう。


2-1-1. ChatGPTとは

ChatGPTは、OpenAIによって開発された、高度な会話能力を持つ人工知能ベースのチャットボットです。

このAIは、あたかも人間のようにテキストベースでの会話を行うことができ、ユーザーの質問に対して適切な回答を生成したり、特定のテーマに沿った内容を話したりすることが可能です。

さらに、テキストだけでなく、画像生成や音声への変換など、さまざまな機能が追加され続けています。


【参考:ChatGPTに画像生成させた様子】


2-1-2. APIとは

一方、APIとは「Application Programming Interface」の略称で、異なるソフトウェア間で情報を交換するための仕組みを指します。

APIを利用すると、あるプログラムが、別のプログラムの機能を利用できるようになります。

たとえば、「エクセル」と「天気予報サイトのAPI」を接続すると、エクセルに自動的に天気予報を表示させられる、といった具合です。

ChatGPTのAPIを使うと、任意のプログラム(例:自社アプリ、Webサイト)で、ChatGPTの機能を利用できるようになる、ということです。

2-2. ChatGPT APIを使うとできること

2023年11月現在では、OpenAIドキュメンテーションには、以下の機能が掲載されています。

・Text generation
・Function calling
・Embeddings
・Fine-tuning
・Image generation
・Vision
・Text-to-speech
・Speech-to-text
・Moderation

出典:OpenAI「OpenAI API」


簡単に日本語訳すると、以下のとおりです。

・テキスト生成(Text generation):ChatGPTは、与えられたプロンプトに基づいて、テキストを生成します。
・関数呼び出し(Function calling):特定のタスクを実行するために、内部または外部の関数を呼び出します。
・埋め込み(Embeddings):テキストを数値のベクトルに変換し、これを使用してテキストの意味を理解したり、機械学習モデルでの使用に適した形式にします。
・調整(Fine-tuning):特定のデータセットやタスクに合わせて、モデルの出力を最適化します。
・画像生成(Image generation):テキストのプロンプトから画像を生成します。
・ビジョン(Vision):画像認識や画像内のオブジェクトを識別する能力があります。
・テキストから音声へ(Text-to-speech):テキストデータを音声に変換します。
・音声からテキストへ(Speech-to-text):音声データをテキストに変換します。
・モデレーション(Moderation):不適切なコンテンツや有害なテキストを検出し、フィルタリングします。

このようなChatGPTの機能の活用例としては、以下が挙げられます。


【ChatGPT APIの活用例(一例)】

・カスタマーサポート:リアルタイムでユーザーの問い合わせに反応し、必要な情報を提供する。

・コンテンツ生成:メディア記事やレポートを効率良く作成する。

・教育アプリ:学習を支援し、インタラクティブな教材を提供する。

・ゲーム開発:プレイヤーとキャラクター間の自然な会話を実現する。

・データ分析:マーケティングデータから顧客インサイトを抽出する。


最新事例は、「ChatGPT API最新事例11選 チャットボットからコンテンツ生成まで」にまとめていますので、あわせてご覧ください。


2-3. トークンベースの料金体系

ChatGPT APIでは、処理するテキストの量によって、費用が決まります。このテキストの量を計測する単位が「トークン(tokens)」です。

ChatGPT APIの費用は、「1,000トークン(1kトークン)あたり、いくら」という設定がされています。

いくらになるかは、利用するChatGPTのモデルによって異なります。また、テキストの量は、Input(入力)とOutput(出力)の両方に対して、課金されます。


・入力トークン:APIに送るテキストの量

・出力トークン:APIが返すテキストの量


【ChatGPT API 1kトークンあたりのコスト】

モデル

入力トークン

出力トークン

GPT-4 Turbo
(gpt-4-1106-preview)

$0.01

$0.03

GPT-4 Turbo
(gpt-4-1106-vision-preview)

$0.01

$0.03

GPT-4
(gpt-4)

$0.03

$0.06

GPT-4
(gpt-4-32k)

$0.06

$0.12

GPT-3.5 Turbo
(gpt-3.5-turbo-1106)

$0.0010

$0.0020

GPT-3.5 Turbo
(gpt-3.5-turbo-instruct)

$0.0015

$0.0020

出典:OpenAI「Pricing」


2-4. トークンと文字数の換算

トークンを文字数に換算すると、どれくらいのボリュームなのか、見ていきましょう。


2-4-1. 日本語の場合

日本語でChatGPT APIとやり取りする場合、日本語では1トークンが約1文字に相当します(ひらがな・カタカナの場合)。つまり、1,000トークンは日本語で約1,000文字、ということです。

GPT-4-Turboのモデルで約1,000文字(1kトークン)の入力をすると、$0.01(1ドル140円の場合、1.4円)が課金されることになります。

ただし、テキストの内容や形式によりトークン数は変動するため、上記はおよその目安となります。とくに漢字の場合は2〜3字で1トークンを消費するケースもあります。

OpenAIの「Tokenizer」のページより、トークンを計測できますので試してみましょう。たとえば、この文の文字数は38文字ですが、トークンは27と表示されました。



出典:OpenAI「Tokenizer」


2-4-2. 英語の場合

英語の場合、1トークンは、約4文字の英語の単語、または空白も含む単語の区切りに相当するとされています。これは、英語が空白で単語を区切る言語であるためです。OpenAIのWebサイトには、以下のとおり記載されています。

Multiple models, each with different capabilities and price points. Prices are per 1,000 tokens. You can think of tokens as pieces of words, where 1,000 tokens is about 750 words. This paragraph is 35 tokens.

〔訳〕複数のモデルがあり、それぞれ機能と価格帯が異なります。価格は1,000トークンあたりです。トークンは単語のピースと考えることができ、1,000トークンは約750単語です。この段落は35トークンです。

出典:OpenAI「Pricing」


2-5. ChatGPT API費用のシミュレーション

オンラインストアがカスタマーサービスで「AIチャットボット」として、ChatGPT APIを使用するケースで、費用をシミュレーションしてみましょう。

毎日50件の顧客問い合わせがあり、それぞれの問い合わせは日本語で400字の入力があるとします。APIの返信も400字とします。

1トークンが日本語で1文字と仮定すると、1件の問い合わせで入力は400トークン、出力は400トークン消費します。1ヶ月30日として、以下の計算になります。


・毎日の入力トークン使用量:50件 × 400トークン = 20,000トークン

・毎日の出力トークン使用量:50件 × 400トークン = 20,000トークン

・月間入力トークン使用量:2,000トークン × 30日 = 600,000トークン

・月間出力トークン使用量:2,000トークン × 30日 = 600,000トークン


GPT-4-Turboの費用で計算すると、以下のような費用が発生します(入力トークン$0.01/1kトークン、出力トークン$0.03/1kトークン)。


・入力トークン費用:600,000 / 1,000 × $0.01 = $6

・出力トークン費用:600,000 / 1,000 × $0.03 = $18

・合計月額費用:$6 + $18 = $24(1ドル140円の場合、3,360円)


上記のとおり、月間費用が約33万円と算出されました。


なお、上記はGPT-4-Turboの費用で計算しましたが、GPT-3.5 Turbo(入力トークン$0.0015/1kトークン、出力トークン$0.002/1kトークン)を利用すると、以下のとおり変わります。


・入力トークン費用:600,000 / 1,000 × $0.0015 = $0.9

・出力トークン費用:600,000 / 1,000 × $0.002 = $1.2

・合計月額費用:$0.9 + $1.2 = $2.1(1ドル140円の場合、294円)


2-6. ChatGPT API費用の支払方法

ChatGPT API費用の支払い方法は「クレジットカード」となります。支払方法の登録手順は、以下のとおりです。


【支払方法の登録手順】

(1)OpenAIのアカウントにログインします。

(2)「Billing overview」 にアクセスします。

(3)[Payment methods]を選択します。


(4)提示されるフォームに、クレジットカード情報を入力します。

(5)入力した情報を確認し、[Add payment method]をクリックして情報を保存します。


3. ChatGPT APIの費用を抑える5つのポイント

最後に、ChatGPT APIの費用を抑えるために知っておきたいポイントを5つ、ご紹介します。

1. 適切なモデルを選定する
2. max_tokensのパラメータ上限を設定する
3. ユーザーの入力フィールドに文字数制限をする
4. レスポンスのキャッシュ活用をする
5. ベンダー提供のChatGPTサービスを活用する


3-1. 適切なモデルを選定する

1つめのポイントは「適切なモデルを選定する」です。


先ほどご紹介した「ChatGPT API費用のシミュレーション」で、[GPT-4-Turbo]と[GPT-3.5 Turbo]では、費用に10倍以上の差が出ていました。ChatGPTはどのモデルを使うかによって、費用が大きく異なります。ChatGPT APIを利用する際には、コスト効率と性能のバランスを考慮して最適なモデルを選ぶことが大切です。

期待するパフォーマンスを実現するうえで、トゥーマッチにならないよう、必要十分なモデルを見極めることで、コストを削減できます。


3-2. max_tokensのパラメータ上限を設定する

2つめのポイントは「max_tokensのパラメータ上限を設定する」です。ChatGPT APIを使用する際、[max_tokens]の設定に注意を払うことで、コストを効果的に抑えることが可能です。

max_tokensは、APIが生成するトークンの最大数を指定するパラメータです。この値を適切に設定することで、必要以上に長いテキストを生成し、無駄なコストがかかるのを防ぎます。

出力トークン量が予算内に収まるように、max_tokensを設定しておきましょう。


3-3. ユーザーの入力フィールドに文字数制限をする

3つめのポイントは「ユーザーの入力フィールドに文字数制限をする」です。出力トークンを制限するのと同様に、入力トークンにも制限をしましょう。具体的には、ユーザーが使用するアプリケーション側で、ユーザーの入力フィールドに最大文字数を設定しておきます。


たとえば、“カスタマーサービスのAIチャットボット” なら、顧客が入力できるお問い合わせ内容のテキストに「400字まで」といった制限をかけておきます。


3-4. レスポンスのキャッシュ活用をする

4つめのポイントは「レスポンスのキャッシュ活用をする」です。

ChatGPT APIのレスポンスをキャッシュして再利用すると、トークン数の消費を抑制できます。たとえば、同じ内容の問い合わせがあった際に、再度のAPI呼び出しによる出力トークンの消費を避け、事前にキャッシュした回答を用います。

実装する際には、一般的な応答を識別して、これらを効率的にキャッシュ管理することが鍵となります。


3-5. ベンダー提供のChatGPTサービスを活用する

5つめのポイントは「ベンダー提供のChatGPTサービスを活用する」です。

サードパーティのベンダーが提供するChatGPTサービスの利用は、直接OpenAIからサービスを利用する場合と比較して、コスト削減につながるケースがあります。

自社でイチから開発をスタートする前に、よりよい選択肢がないか、外部企業との協業を視野に入れて見当してみる価値があるでしょう。

弊社でも、多くの開発を手がけています。ChatGPTのAPI活用をご検討中であれば、こちらのお問い合わせページより、お気軽にご相談ください。


4. まとめ

本記事では「ChatGPT APIの費用」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。


【ChatGPT API 1kトークンあたりのコスト】

モデル

入力トークン

出力トークン

GPT-4 Turbo
(gpt-4-1106-preview)

$0.01

$0.03

GPT-4 Turbo
(gpt-4-1106-vision-preview)

$0.01

$0.03

GPT-4
(gpt-4)

$0.03

$0.06

GPT-4
(gpt-4-32k)

$0.06

$0.12

GPT-3.5 Turbo
(gpt-3.5-turbo-1106)

$0.0010

$0.0020

GPT-3.5 Turbo
(gpt-3.5-turbo-instruct)

$0.0015

$0.0020

出典:OpenAI「Pricing」


・ChatGPT APIの費用はトークンベースで課金される

・日本語では1トークンが約1文字に相当し、GPT-4-Turboでは約1,000文字(1kトークン)の入力で1.4円の費用がかかる(1ドル140円換算)

・支払方法はクレジットカード


ChatGPT APIの費用を抑えるポイントとして、以下をご紹介しました。

1. 適切なモデルを選定する

2. max_tokensのパラメータ上限を設定する

3. ユーザーの入力フィールドに文字数制限をする

4. レスポンスのキャッシュ活用をする

5. ベンダー提供のChatGPTサービスを活用する


ChatGPT APIの活用には、さまざまなビジネスチャンスや生産性向上の可能性があります。費用対効果にも意識を向けながら、果実を最大化していきましょう。


弊社では、ChatGPTの活用に関して、随時、無料セミナーを開催しています。最新情報はこちらのセミナーのページより、ご確認ください。


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