新規事業のフェーズは4つ 立ち上げで失敗しないためのポイントも解説

新規事業のフェーズは4つ 立ち上げで失敗しないためのポイントも解説
現代のビジネス環境はVUCA(不確実性)の時代と呼ばれ、グローバル化やデジタル化の進展、顧客ニーズの多様化などにより、目まぐるしく変化しています。このような状況下で企業が持続的に成長していくためには、既存事業の強化だけでなく、新規事業の創出が欠かせません。特に中小企業にとって、新たな価値を生み出し、新市場を開拓することは、生き残りをかけた重要な戦略といえるでしょう。 本記事では、新規事業の立ち上げを成功に導くための4つのフェーズと、各フェーズにおける成功のポイントを解説します。また、失敗事例から学ぶリスクヘッジの方法や、外部リソースの効果的な活用法についても触れていきます。新規事業の立ち上げを検討中の方や、現在進行中の方は、ぜひ参考にしてください。 この記事は、システム・アプリ開発を行っているデザインワン・ジャパンDX事業本部の事業責任者・泉川学の監修のもと作成しています。

目次

新規事業は必要?中小企業が生き残るための必須戦略

中小企業が変化の激しいビジネス環境の中で生き抜くには、新規事業への挑戦が欠かせません。自社の強みを活かした新商品・新サービスの開発により、差別化を図り、新市場を開拓することが重要です。

新規事業を成功させるには、ターゲットを定める・問題を解決する機能が備わっている・全社ビジョンに沿ったストーリーである、といったポイントを押さえる必要があります。これらを踏まえつつ実行すれば、持続的な成長につながるでしょう。時代の変化に適応し、新たな価値創造に取り組むことは、中小企業が生き残るための必須戦略です。


新規事業の成否を分けるポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

新規事業開発4つのフェーズと成功のポイント

新規事業を開発するには、下記4つのフェーズを経て進めていきます。

新規事業開発 4つのフェーズ アイデアの創出と市場調査 事業計画策定 プロトタイプ開発 本格的な展開

フェーズの概要と成功のポイントを、それぞれ詳しく解説します。

なお、新規事業の計画書について詳しく知りたい場合は、こちらのテンプレートを無料ダウンロードできます。

フェーズ1:アイデア創出と市場調査

新規事業計画の最初のフェーズで重要なのは、「魅力的なアイデアを生み出す」ことです。ただ、アイデアを思いつく限り挙げるのではなく、本当にビジネスとして成り立つのか?顧客のニーズを満たせるのか?といった視点から検証することが大切です。

検証には、以下のようなフレームワークの活用がおすすめです。これらを活用して、より質の高いアイデアを生み出しましょう。

アイデア創出 フレームワーク ブレインストーミング SCAMPER法 KJ法 生成AI

どうしてもアイデアが思い浮かばずに悩んでいる方は、新規事業が思いつかない時の解決策を記したこちらの記事もご覧ください。

新規事業に活かせそうな優れたアイデアが生まれたら、新規事業として実現可能かどうかを見極める必要があります。市場調査では、競合他社の動向把握やターゲット顧客へのヒアリングなどを調査し、市場規模やニーズ、参入障壁などを多角的に分析します。

市場調査に有効なフレームワークは下記の2つです。

市場調査に有効なフレームワーク PEST分析 5フォース分析

これらのフレームワークの分析結果から、自社の強みを活かした差別化戦略や、競合との競争に勝つ施策を立案します。最初のフェーズで綿密な調査・分析を実施しておくことが、新規事業の成功へ大きく影響するでしょう。

フェーズ2:事業計画策定

ここでは、新規事業の具体的な事業計画を策定します。アイデアの実現可能性が確認できたら、具体的な数値目標を設定していきます。特にこのフェーズでは、ビジネスモデルの構築に力を入れるべきです。下記のようなフレームワークを活用して、事業の全体像を明確にします。

事業計画策定 フレームワーク ビジネスモデルキャンバス 9セルフレームワーク

どちらのフレームワークも、価値提案、顧客セグメント、収益の流れなどを整理し、事業の仕組みを可視化することで、課題や改善点が見えてくるでしょう。

ビジネスモデルが固まったら、収益計画を立てます。価格設定や売上目標など、具体的な数値を設定します。また、事業の進捗を測定し、目標達成度合いを把握するためにKPI(重要業績評価指標)の設定も忘れずに行いましょう。

新規事業の立ち上げには資金が必要不可欠です。そのため、収益計画や資金調達計画も併せて立てておく必要があります。

資金調達に悩まれている方は、助成金についてまとめたこちらの記事もご覧ください。


また、設備投資や人材確保、マーケティング費用なども計算に入れておくと、その後の計画がスムーズになるためおすすめです。

計画書のテンプレートが必要な方や、上司へ説得力のあるプレゼンをしたい方は、こちらの記事もご覧ください。

フェーズ3:プロトタイプ開発と検証

策定した事業計画に基づいて、プロトタイプ(試作品)を開発します。既存ユーザーやモニターから、市場の反応をリサーチするのが目的です。プロトタイプは、開発コストを抑えつつ検証をスムーズに進めるため、最小限の機能を早期に作成することが重要です。

プロトタイプができたら、インタビューやアンケート調査、ユーザーテストなどの手法を用いてフィードバックを集めましょう。収集したフィードバックをもとに、プロトタイプの改善を重ね、顧客ニーズや要望を的確に捉えた製品へブラッシュアップしていきます。

新規事業を成功させるには、市場の反応や顧客ニーズを深く理解することが不可欠です。顧客との対話を通じて、事業の方向性を確認し、必要な軌道修正を行っていくことが重要となります。

新規事業の成功事例について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


プロトタイプ開発と検証は、事業の成否を左右する重要なフェーズです。顧客の声に耳を傾け、柔軟に改善を重ねながら、市場のニーズに合った製品・サービスを完成させていきましょう。

フェーズ4:本格的な展開と成長戦略

プロトタイプの開発と検証を行った次は、完成した製品やサービスを本格的に市場に展開します。ここでは事業の成長を加速させていくのが目的です。この段階では、マーケティング戦略や販売チャネル、顧客獲得方法など、さまざまな観点から事業を軌道に乗せることが重要となります。

項目

ポイント

マーケティング戦略

・ターゲット顧客の明確化
・ 製品やサービスの差別化ポイントの訴求
・効果的なプロモーション施策の立案・実行

販売チャネル

・顧客との接点の最大化
・オンラインとオフラインを掛け合わせ
・パートナー企業との協業による販路拡大

顧客獲得

・潜在顧客の獲得
・口コミやSNSを活用した顧客獲得

マーケティング戦略では、ターゲット顧客を明確にし、製品・サービスの差別化ポイントを訴求することが重要です。効果的なプロモーション施策を立案・実行し、ブランド認知度の向上を図りましょう。販売チャネルについては、顧客との接点を最大化するために、オンラインとオフラインを上手に掛け合わせましょう。小売りを例にすると、ECサイトと実店舗で連動企画を催すことなどが挙げられます。また、パートナー企業とのコラボレーションにより、販路拡大を目指すことも有効です。顧客獲得では、潜在顧客の発掘や、口コミやSNSを活用した新規顧客の獲得を目指しましょう。

VUCAの時代では、市場の反応を見極めて柔軟に対応できる戦略が必要です。新規事業を成功に導くヒントが知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

新規事業の立ち上げで失敗しないためのポイント

新規事業はどれも成功するわけではなく、失敗はつきものです。しかし、あらかじめ失敗事例を把握しリスクヘッジすれば、成功への確率を上げられるでしょう。

よくある失敗事例と原因を分析する

新規事業の立ち上げでは、下記のような失敗が起こることがしばしば見られます。

失敗事例

原因

市場ニーズとの不一致

・製品スペック・ブランドがニーズにマッチしていなかった
・ターゲット設定が曖昧だった

ノウハウ不足

・新規事業への知見を持つ人材が社内にいなかった
・必要な人材を集められなかった(外注・採用など)

資金不足

・予算が限られすぎている
・利益が出るまでに時間がかかりすぎた
・想定外の費用が発生した

特に例に挙げたケースでは、市場調査と事業計画策定のフェーズがいかに重要か分かります。新規事業では、アイデアを思いついた段階から、市場ニーズに適しているか・実現可能かなど、ビジネスでの視点を持つことが大切です。

リスクヘッジのポイント

新規事業を成功させるためには、アイデアの段階から綿密に計画を立てるべきです。

例えば、実現可能なアイデアか検討する際は、市場規模や競合の状況を見極め、現実的な販売目標を設定する必要があります。また、複数のシナリオを想定し、事前に対策を立てておくのも有効です。

ノウハウや資金に関しては、助成金や外注を活用し、外部から調達することもできます。どちらも事前にリサーチを行い、手法として知っておくことが大切です。

新規事業を成功させるための外部リソースの活用方法

新規事業を成功に導くためには、社内リソースだけでなく、外部リソースを適切に活用することが重要です。

・外部コンサルタントを導入
・オープンイノベーションの推進
・アウトソーシングの活用


ここでは、上記3つの活用方法について、それぞれの特徴やメリットを説明します。

外部コンサルタントを導入

外部コンサルタントは、さまざまな業界や企業での豊富な経験と専門知識を持っています。そのため、自社の新規事業開発に役立つ知見を活用することができます。自社にはない発想からアイデアを得たり、事業計画策定のフェーズで助言を受けたりするのも効果的でしょう。

特に、社内の人間とは異なる客観的な視点から、事業の方向性や課題を指摘・サポートしてもらえるのはメリットです。新規事業を考慮した組織体制の構築支援などのアドバイスも期待できるでしょう。

オープンイノベーションの推進

オープンイノベーションとは、自社だけでなく他企業や研究機関などの外部組織と協業し、新たな価値を創造することです。自社にない技術やアイデアを取り入れることで、革新的な製品やサービスを生み出せます。また、外部組織との連携により、開発コストやリスクを分散することも可能です。

特に、新たなアイデアや技術を取り込むことは、アイデア創出に直結します。協業相手が研究機関であれば、プロトタイプ開発と検証においてもスピードアップや品質向上を図れるでしょう。

アウトソーシングの活用

新規事業開発においては、開発やマーケティングの一部を外部企業に委託するのも一案です。アウトソーシング(外注)により、社内リソースを効率的に活用できるためです。専門的な分野に特化した企業に業務を任せれば、開発スピードを上げたり、事業推進を加速させたりすることが期待できます。

具体的には、プロトタイプ開発や、本格的な展開のフェーズで活用するのがいいでしょう。どちらの段階も、アウトソーシングにより専門的な業務を任せることで、社内のリソースをコア業務に集中させることができます。新規事業では、人的リソースやノウハウ不足が原因で失敗してしまうケースもある中、アウトソーシングを活用すれば、効率的な事業運営が可能になるでしょう。


デザインワン・ジャパンは、自社サービスの運用・受託開発の経験から、新規事業のアイデア創出から保守運用まで包括的な支援が可能です。ご相談・お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください

フェーズごとのポイントを押さえて新規事業を成功へ導こう

新規事業を成功に導くには、アイデア創出から事業展開まで4つのフェーズを着実に進めることが重要です。市場調査でニーズを把握し、事業計画を綿密に策定。プロトタイプ開発と検証で顧客の声を反映させ、本格展開では効果的なマーケティングと販売戦略を実行しましょう。

新規事業では失敗もつきものです。とはいえ、事例からリスクヘッジできるポイントを学び、事前に対策を講じておけば、成功への確率も高まります。リソースやノウハウ不足を補うにはアウトソーシングを活用するなど、自社に適した手法で新規事業を成功に導いてください。


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