新規事業が思いつかないときの解決策6選 生成AIを使ったアイデアの出し方も紹介
目次
新規事業が思いつかないときに試したい手法6選
新規事業を起こしたいけれど何も思いつかない、新規性のあるビジネス案が思い浮かばないと悩まれている場合は、以下6つの手法を試しましょう。
市場調査
競合分析
ブレインストーミング
顧客ニーズの調査
生成AIを使用
新規事業開発に強い企業にアウトソーシング
まずは思いつくままにアイデアを出すことが大切です。ご自身の頭の中だけで考えるのではなく、市場や他社からヒントを得ることも有効です。
なお、新規事業の具体的な進め方について知りたい方はこちら「新規事業のポイントは3つ!アイデアの考え方、具体的な進め方などを解説」もご覧ください。
市場調査
新しい商品やサービス開発をしたいと考えている場合に有効なのが、マーケティングリサーチの一環として行う市場調査(マーケットリサーチ)です。事前に調査を行っておくと、事業展開後の販売戦略に役立てられ、思うように事業が進まないといった損失を防ぐことにもつながります。
調査手法 | やり方 | メリット | デメリット |
定性調査 | ・年齢・性別・職業など属性に分ける | ・数値には表れない意見や感想を入手できる | ・影響力のある意見に他の意見が引っ張られ、正確なデータを得られない可能性がある |
定量調査 | ・顧客や見込客にアンケートを取る | ・インターネットや郵送など非対面式の方法で実施でき、コストを削減できる | ・対象者の世代に合わせて、アンケート方法を考慮する必要がある |
オープンデータ調査 | ・政府や専門機関から公表されている情報を収集する | ・ビッグデータが入手できる | ・適切にまとめられたデータがない場合がある |
覆面調査 (ミステリーショッパー) | ・第三者が顧客を装い実店舗を訪れる | ・商品やサービスだけでなく、接客の質・店舗の導線なども確認できる | ・従業員からの反発やハラスメントにつながる恐れがある |
市場調査では目的・課題を明確化して的確なターゲット設定を行うことが重要です。目的を明確にしておかなければ、調査対象や内容が曖昧になり調査コストが無駄になってしまうため注意しましょう。
競合分析
市場調査と併せて、競合他社を分析する手法も有効です。自社の製品・サービスと比較しながら他社の優れている点を分析すれば、課題や解決方法とともに新規事業へのアイデアが見つかるでしょう。
<競合分析の手順>
1.調査目的を定める
2.競合企業(ベンチマーク)を設定する
3.仮説を立て、検証のために必要となる調査項目を決定する
4.調査を実施し仮説を検証する
競合分析の最初のステップは調査目的の決定です。新規事業の場合は、アイデア出しが主な目的となるでしょう。続いて市場で競合となる企業を選定し、自社との違いについて仮説立てします。例えば「自社より高いシェアを獲得している要因は製品性能だ」「低価格を実現しているのは生産効率が優れているからだ」と具体的に設定すると、その後の調査もスムーズです。最後に仮説が正しいのかどうかを調査・検証します。もし、仮説と異なる検証結果が出た場合は、新しい仮説を立てて調査を繰り返しましょう。
分析対象は製品・サービスだけでなく、経営戦略や社員の働き方などさまざまです。後者は競合に限らず、他業種・他業界の企業にも目を向けることでヒントが得られる可能性が高まります。
競合分析の結果を、新規事業検討に活かすためには、調査の後「自社の事業にどう応用できるか」を考え抜くことが必要です。そのまま真似るのではなく、自社の強みや方向性に合わせて改良しましょう。
ブレインストーミング
市場調査や競合分析を行っても有用なアイデアが思いつかない場合は、自社内で意見やアイデアを出し合う「ブレインストーミング」を行うのも一案です。ブレインストーミングは、数人で特定のテーマや問題について自由に意見を出し合うことで、新たな視点での発見や解決策を導き出す手法です。日本では「集団的発想法」「ブレスト」などとも呼ばれています。
ブレインストーミングを実施する際に気をつけたいポイントは2点です。
質より量を重視し、自由に意見・アイデアを出し合うこと
他のメンバーから出た意見・アイデアを批判、評価をしないこと
ブレインストーミングでは、思いついた発想を自由に発言できる雰囲気づくりが大切です。「自分の意見が反対されるかもしれない」「つまらない意見だと思われないか」と、周囲の反応が気になる雰囲気では自由なアイデアが出なくなってしまう恐れがあります。参加者全員でアイデアを生み出していく姿勢を大切にしながら、複数のアイデアを組み合わせるなどして発展させましょう。
顧客ニーズの調査
自社の製品やサービスをさらに発展させたいと考えている場合は、実際に利用している顧客の声を直接聞くのも大切です。市場調査とも似ていますが、顧客からの使用した感想や不満を聞き取ることで、潜在的なニーズや課題を把握できます。また、競合他社の製品調査を行えば、競合の良い点や不満点を把握できるため、自社製品の改良や新規事業に役立てることもできるでしょう。
調査方法は「市場調査」でお伝えした定性調査や定量調査でのアンケート手法が有効です。その他、すぐに顧客とつながれる点からSNSや口コミを活用したリサーチもいいでしょう。
生成AIを使用
「なんとなく思い浮かんではいるがうまく言語化できない」「アイデアの種となるヒントが欲しい」という場合は、生成AIを使用するのもおすすめです。
漠然とした考えの状態でも、生成AIにぶつけてみることで客観的な意見やアドバイスを受けながらアイデアの具体化・推敲ができます。そもそもアイデアが思い浮かばない状況であれば、アイデア創出をサポートしてもらうのも可能です。
生成AIに良いアイデアを出してもらうには、関連する情報を詳しくプロンプト(指示)に入れることが重要なコツです。生成AIの活用方法や事例について詳しく知りたい方は、こちらの記事で、アイデア創出のためのプロンプトも紹介しています。
新規事業開発に強い企業にアウトソーシング
これまで紹介してきた手法は試したけれど良いアイデアが出なかった、アイデア出しに時間を割く余裕がないという場合は、新規事業開発に強い企業にアウトソーシングするのも一案です。
新規事業にはビジネスとして成り立つアイデアが必要ですが、事業として取り組むにはいくつもの業務をこなす必要があります。アウトソーシングなら新規事業に関連する業務を任せられるので、社内リソースを確保する手間も省けます。
新規事業の立ち上げノウハウを自社で持っていなかったり、アイデア次第では新たにシステム構築が必要になったりと問題が出てくる場合でもアウトソーシングなら円滑に計画遂行できるでしょう。
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新規事業に取り組もうと思っても、「何から始めればいいかわからない」「必要になるツールやシステムの準備が難しい」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
デザインワン・ジャパンでは、新規事業におけるアイデアの創出からビジネス設計、開発や運用までを一貫して支援しております。
事業開発ディレクター・コンサルタント・デザイナー・開発エンジニアなど各分野のスペシャリストが貴社の新規事業をサポートいたします。
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新規事業を考える際に活用したいフレームワーク
新規事業につながりそうなアイディアが出たら、ビジネスとして展開できそうかどうかブラッシュアップしていく必要があります。ブラッシュアップする作業には、以下のフレームワークを活用するといいでしょう。
SCAMPER法
5W1H
ペルソナ分析
また、具体的な新規事業の立ち上げ方や他のフレームワークについて詳しく知りたい方はこちら「新規事業の立ち上げはどうやる?アイデアの出し方やフレームワークなどを解説」をご参考にしてください。
SCAMPER法
SCAMPER(スキャンパー)法とは、あるテーマにおいて7つの質問をもとにアイデアを整理していく方法です。「オズボーンのチェックリスト」という発想法を体系化して活用できるフレームワークで、一定の網羅性を持ちながら、アイデアの派生・拡張ができます。
Substitute:置き換える
Combline:組み合わせる
Adapt:適応させる
Modify:修正する
Put to other uses:転用する
Eliminate:取り除く
Reverse、Rearrange:逆転・再構成する
SCAMPER法はあらかじめ決められた質問に回答するだけで手軽に活用できます。複数人で取り組めば回答も多く集められ、それをもとに議論することでアイデアの整理やブラッシュアップが容易になるでしょう。
5W1H
思いついたアイデアやぼんやり浮かんでいるイメージは、「5W1H」で明確化できます。
What:何を
Who:誰が
When:いつ
Where:どこで
Why:なぜ
How:どうやって
思いついた内容を5W1Hに落とし込み考えることで、明確なビジョンを描くのに役立ちます。また、ビジネス展開するのであれば「Whom(誰に)」「How much(いくらで)」を追加した6W3Hも有効です。
相手やお金を意識することで、運用までを見据えた計画にブラッシュアップすることができます。
ペルソナ分析
ペルソナ分析はアイデアのブラッシュアップだけでなく、マーケティングや製品開発時にも有効なフレームワークの一つです。アイデアの先にある製品・サービスを使用する顧客像を具体的にイメージしながら分析します。
一般的に、どのような顧客に向けた商品・サービスなのかを、性別や年代などから自社の想定顧客である「ターゲット」として定めますが、商品やサービスを利用する典型的な人物像をペルソナとして立て、そのペルソナが抱えている悩みや問題を深く分析することで、アイデアのブラッシュアップへとつなげられます。顧客の悩みを解決するにはどうすればいいだろう?といった視点を持てば、アイデアの具体化や解決策の発案にも役立つでしょう。
特にペルソナ分析は自分自身の視点や経験に囚われてしまっている場合に有効で、既存の考えをブレイクスルーし、新たなビジネスの鍵となる可能性があります。
もっとフレームワークについて知りたいという方はこちらの記事「【場面別に紹介】新規事業で活用できるフレームワーク9選!」をご覧ください。
新規事業が思いつかない原因
長く同じ事業に携わっていると、新規事業へのアイデアが思い浮かばないこともあります。
以下3つの原因に当てはまる場合には、その原因から見つめ直してみましょう。
アイデアが枯渇している
アイデア出しに慣れていない
従業員との意見交換が足りない
それぞれ詳しく説明します。
アイデアが枯渇している
常に新しいアイデアを出し続けることは難しいものです。特に、自社や業界の常識に囚われている状況では、新たなアイデアを思いついたとしても無理だとすぐに結論付けてしまうことがあります。また、多忙な環境に身を置きインプットが不足しているケースも考えられるでしょう。時間的、精神的な余裕がないために、創造的な思考へ結びついていないのかもしれません。新規事業という点に念頭を起き、新規性や斬新なアイデアだけにこだわっている可能性もあります。
解決策としては、周りに広く興味を持ち、好奇心を持って学ぶ姿勢を身につけることです。ビジネスに関連する情報収集や勉強だけでなく、業界から離れて他の分野の知見を取り入れるのもいいでしょう。斬新なアイデアにこだわりすぎると発想の妨げになる恐れがあるため、既存のアイデアにアレンジを加えるなど柔軟な思考を持つことも大切です。
アイデア出しに慣れていない
事業に関連する情報を収集する習慣や、思いついたイメージを言語化・共有する習慣が身についていないと、アイデアの具体化が困難な場合があります。
なかなか良い案が思いつかない人は、思考を整理する習慣をつけてアイデア出しのトレーニングを行いましょう。日常生活や業務上において、小さなことでも改善や効率化できるポイントはないかといった視点を持つのも一つの方法です。「ここを変えたら良くなりそうだ」「こうしたら効率が良くなるかもしれない」と思いついたことをメモするなど習慣化していくと、アイデアが思いつきやすくなります。
また、ビジネスに関連する勉強会やセミナーを受講して知識を蓄えたり、インターネットやSNSから顧客の声を集めたりしてアイデアの引き出しを増やすのもいいでしょう。アイデアを思いつきやすくなるよう、日頃からアンテナを張って情報収集するのもおすすめです。
従業員との意見交換が足りない
自分自身ではアイデアが思いつかない場合は、従業員の声や意見を参考にするのも大切です。ただ、日頃から声を聞く体制ができていなければ良いアイデアを吸い上げるのは難しいでしょう。
従業員側が、何か思いついても「これは無理だ」「ダメだと評されるかもしれない」と思い込んでいる状態では発案まで至りません。「ブレインストーミング」でも述べたように、意見やアイデアを募る場では、「否定しない」「出来ないと決めつけない」といったルールを設けます。たとえアイデアを募る場ではなくとも、社歴や立場に関係なく意見を出し合えるような環境を日頃から整えておくことも大切です。
新規事業のアイデア事例
実際に企業がどうやって新規事業を展開しているのか、成功事例をピックアップしました。ここでは、ITを掛け合わせた新規事業に着目して3つの事例を紹介します。
ユニ・チャーム
株式会社三豊AI開発
有限会社平田観光農園
それぞれ詳しく説明します。
ユニ・チャーム
ユニ・チャーム株式会社は、大阪府門真市に本社を置く総合衛生用品メーカーです。保育園などの施設とその利用者(保護者)へ向けて、2019年にBABYJOB株式会社と提携した「手ぶら登園」をリリース。同社の主力商品であるオムツ「ムーニー」「マミーポコ」や、おしりふきが使い放題になるサブスクリプションサービスを開始しました。
このサービスのポイントは、オムツを自動発注し園に届けるという点です。保護者は大量のオムツに記名して持参する手間がなくなり、保育士は届いた商品を園児に使用するだけで、人数分の管理を行う負担が減りました。この事業は、2020年に日本サブスクリプションビジネス大賞のグランプリを受賞し、現在は全国4940カ所以上の保育施設に導入されています。
三豊AI開発
香川県の高専発の企業である株式会社三豊AI開発は、送電線の不具合を点検するロボット・システムを開発。県内の人口減少・高齢化に問題意識を持った社長が、高専の研究室メンバーとともにAIを活用して課題解決に取り組んでいます。
県内において送電線の不具合を点検できる職人が高齢化している点や、人口減少により後継者が少ない点に着目。自動点検機能とディープランニングを搭載した点検ロボット・システムの開発で、人材不足の課題を解決しました。
平田観光農園
広島県で観光農園を営む有限会社平田観光農園では、リンゴやいちごをはじめ14種150品種の果物を栽培。1年中くだもの狩りが楽しめる観光農園として人気を集め、レストランや加工工場も併設しています。
新規事業のきっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染症の影響で観光収入が激減したことです。特に、自粛要請の出ていた期間の収入はゼロになるほど。その際、いちごの収穫期であったが自粛期間が長いと果物が腐ってしまうため、いち早くEC販売に切り替えを開始しました。
「コト消費」「動画の時代」を掛け合わせ、自宅でいちご狩りが楽しめる体験キットを開発・リリースし、約1,000件を販売。いちごの在庫がなくなるほど人気に火が付き、続く第2弾・第3弾も好調に推移しています。
その他、新規事業の立ち上げ方について詳しく知りたい方は、こちらの資料「新規事業の立ち上げはここを押さえる!成否を分ける3つのポイント ノウハウ集」もご覧ください。
新規事業で成長につなげよう
新規事業は企業が成長し続けるために重要な要素の一つです。ただ、良いアイデアが思いつかないと悩まれている場合は、市場調査や競合分析、生成AIの活用などの手法を試してみるのがおすすめです。特に、生成AIは壁打ちやアイデア創出にも有効で、近年では導入する企業も増えています。
また新規事業は、アイデア出しに留まらず、ビジネス視点でのブラッシュアップや運用計画も大切です。社内リソースに限界があるなど自社のみで行うのが難しい場合は、アウトソーシングも視野に入れながら企業の成長につなげましょう。