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インタビューインタビュー

日本の未来を担うスタートアップ企業を「不動産のバリューアップ」でバックアップ

日本の未来を担うスタートアップ企業を「不動産のバリューアップ」でバックアップ
東京都心部におけるオフィスビルの再生と活⽤を中心に事業を展開するサンフロンティア不動産株式会社。その中で、約20年近くリプランニング®(不動産再生事業)に携わるのが小田修平さんです。「ビルを購入し2〜3億円かけてバリューアップする。物凄い投資に比例するようなビジョンやパワーを持って取り組めることがおもしろい」とのこと。不動産業界が抱える課題や未来に向けてすべきことを冷静かつ的確にお話しいただきました。

目次

サンフロンティア不動産株式会社
執行役員 リプランニング事業部 部長 
小田修平氏

2005年に大学卒業後、新卒で入社。当時からこれまでリプランニング事業部で経験を積む。ビルや土地を購入しリノベーションするほか、新築マンションを構築し売却・保有・ファンドするなど、これまで携わった数は300棟ほど。サンフロンティア不動産のグループ会社として創業した株式会社Navd(ナヴド)の代表取締役社長も務める。座右の銘は「感謝報恩」。


“利己”ではなく“利他”で世の中を幸せにする仕事をする

小田さんが携わるリプランニング®(不動産再生事業)とその強みについて教えてください。

小田 一言でいうと「不動産再生と活用」です。都心の中規模サイズのオフィスビルのリノベーションを手掛け、かつ再生活用する。オフィスバリューを高めていくことで街の価値を上げ、地域経済を活性化させていく。このような取り組みを行っています。

インハウスですべてソリューションを持っている部分は大きな強みです。よく病院に例えるのですが、病院っていろんな専門がありますよね。不動産業も、賃貸・売買・管理・保証・金融・保険などいろいろあって、それらすべてを自社で行っています。

企業のアイデンティティとしては、創業者(現会長)の堀口の思いが生きています。創業時よりフィロソフィ経営を基盤としているのですが、その最上位であるクレドが“利他”なんです。相手に喜んでいただけることを利益ではなく“お役立ち高”と呼んでいます。“お役立ち高”があって初めて、最後に自分たちに利益が残る。誠実に裏表なく、世の中にいいことをしていれば返ってくる。私たちは三方よしの考え方で、豊かな社会・世界・未来をつくっていくことを物凄く重要と捉えています。未来に起こるであろう社会問題をどう解決していくか。SDGsといわれる前から、課題を持って動いていた会社と言えます。


小田さん自身のミッションはいかがでしょうか?

小田 経営理念でもある三方よしのおもしろい事業や新しい事業を創り出し、世の中を幸せにしたいと思っています。軸は日本なので、日本をもっと豊かな国にしていきたい。2050年に人口は8,000万人になり、GDPで20位圏外に落ちてしまう。そんな国には、なってほしくないです。


そこで「ビルを購入しバリューアップして新しい付加価値をつくる」ということですよね。

小田 世界と日本では、慣習法を含めたルールが大きく異なります。日本特有の慣習を変えていかないといけない。100年前の法律と今じゃ、状況は違うじゃないですか。例えば、原状回復。これは日本人全体の教育や産業構造なのかもしれないですが、スクラップ&ビルドですよね。 “もったいない”という素晴らしい精神を持っている国なのに、とにかく壊したがる。こんなにハイスピードで家を壊したり建てたりしている国は、先進国で日本だけ。その感覚を変えていきたい。

契約期間が終わったら原状回復をする、それってもったいなくないですか?と。そこで生まれる廃材やCO2や社会的な損失、つくるのに2カ月掛かりますがその間は誰も使えず家賃が発生。日本中に100万坪のオフィスがあったとして4年に1回テナントが入れ替わっていたら、25万坪が毎年原状回復工事をして、タイルやカーペットなどをゴミとして捨てるわけじゃないですか。それと、壊す前提でつくるとなったら、良いモノもつくらないですからね。良い内装じゃないということは、働く環境としても良い場所ではない。そこで高いクリエイティビティを求められるのは、どうなのか。クリエイティブやイノベーションにおいて意図的なコミュニケーションだけではなく、偶発的でノイジーなコミュニケーションも必要ではないかと考えています。そのためには、良い環境をつくり、人を採用し出社したくなる方向につなげなくてはいけない。ですが、原状回復義務がある以上は、内装にあえて費用をかけようと考える企業が少なくなる。イニシャルコストは抑えたいですよね。そう考えると、すべてランニングコストにしていく形が良いと考えています。


敷金の問題もありそうですね。

小田 原状回復ともつながってきますが、オフィスの敷金は家賃の10カ月分です。そのうち半分は原状回復をせず、企業が倒産したりしたときの保証として預かっています。それのみを事業とする企業があるので、難しい部分ではありますが。


“失敗する人は、挑戦した人”というマインドが経済成長を左右する

「働きやすい環境をつくる」とお話しされていましたが、小田さんの考える「働きやすい」の定義は?

小田 私はサンフロンティアが、“日本一スタートアップフレンドリーなオフィスパートナーになる”ということを目指したい。少し前の話をするならば、Google、Amazon、Facebook、世界で経済をグイグイ引っ張った企業の方たちがどこで生まれているかといったら、シリコンバレー。シリコンバレーでのVCの資金調達の規模は、為替で変動はありますが日本の20〜30倍で約20〜30兆円のお金が動いています。お金があるということは、人も集まる。優秀な人材が集まれば、企業・事業も生まれる。さらにそこに投資する人も生まれて、新しい富裕層・ニューリッチもどんどん誕生していく。そのニューリッチが新しい産業を作っていく。その土台を作るのが、私たちサンフロンティアの使命だと考えています。


スタートアップ企業の成長速度と成功確率を支援する

企業が成長する好循環な環境にするには、何が必要だと考えていますか?

小田 不動産会社はよく街づくりといいますが、街ではなくて環境をつくらないといけないと思っています。成長速度と成功確率を上げるための環境。そこには人材や資金など、いろんなものが足りません。街でいうと、東京は成熟しています。これ以上何が必要なの?というくらい完璧な街です。私は年に1/5はニューヨークで生活をしていますが、やっぱり東京が大好きです。けれども足りないところがあるとしたら、それは環境かなと。スタートアップ企業が起業して、アーリーステージがあって、ずっと赤字だけどパワーポイントの資料を見てみんながお金を投資していくわけです。それでプロダクトサービスができて、黒字になればいい。ただ、その手前でだいたいは折れてしまいます。振り切れなくて、諦めてしまう。そこを素早く乗り越えさせる。成功確率を上げていくために私たちは何ができるだろうかと考えています。

起業するときは自宅やコワーキングスペースやシェアオフィスから始まると思いますが、アーリーステージからミドルステージの間くらいに差し掛かった企業と手を組んでいるのが私たちです。ようやく人や資金がついてきて社員が4〜5人くらいになったとき、自分たちのオフィスが欲しいという段階になる。そこで私たちと出会います。成長力のある働き方の最適化をコンサルテーションしていき、願わくはその最適解になるモノを提供していきたい。現時点では、それがセットアップオフィスであり、原状回復も必要ないオフィス。経営者の方には会社の成長に集中してもらいたい。起業ブランディングに貢献し、良い人材が採用できて、採用した人材がものすごくチームビルディングが素早くできて、心理的安全性が担保される職場を、経営者の方々と一緒につくっていきたいです。

スタートアップの経営者にとっては本業に専念できますね。

小田 VC(ベンチャーキャピタル)業界とスタートアップ業界のネットワーキングを促進するイベント開催なども行っています。とにかく私たちができることって“成長速度と角度を上げることにコミットする最適なオフィスパートナーになっていく”ということなのです。こうした考え方を持って、実際に取り組んでいる不動産会社は、あまりいらっしゃらないと思います。

何のためにオフィス移転するかというと、社員数が増えるとか規模が拡大するなど、成長するためにオフィスを借りるわけです。最近では『StartPass』(スタートパス)という企業と業務提携を結びました。StartPassさんはスタートアップのためのスタートアップ。経営加速クラウドというソリューション、SaaS、のサービスを提供しています。スタートアップは、経営者といっても経営のことをあまり知らないまま始まり、後から経理などを習得していく人が多い。そこで経営者のコンサルができる、相性のいいVCを紹介することができるのが『StartPass』であり、サンフロンティアのセットアップオフィスを借りたら1年間無料でこのサービスを受けられる施策を実施しています。


成長する過程での環境を『StartPass』が支援してくれるんですね。

小田 目的を長期的かつ本質的にぶらしてはいけない。成長するために移転することを本当に大事にしてほしいです。オフィスの場合は、賃料以外にも水道・光熱費・ネット・清掃ゴミ捨て費・内装費・原状回復費…等々、月50万円のオフィスを借りるといっても2年間で支払うトータル金額は2,000万円近くになるわけです。残念ながら不動産会社はそこまで教えてくれない。本来はそれだけ高い買い物するとなれば、誰かに相談した方がいいじゃないですか。先ずそのことに気付いていただきたいですし、その相談相手が私たちであれたら嬉しいです。

オフィスを借りるということは、家賃の30〜40倍くらいの買い物をすると思ってほしい。自分たちが成長するためのパートナーという考え方で私たちのような存在を認識してほしいなと思います。それを求めていけば、業界全体のリテラシーが上がることにもつながるはずです。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

小田 日本の様々な社会課題や未来に起こるであろう問題の糸口は、スタートアップ企業が、どれだけ多く生まれて成長していくかにかかっていると思います。それをサンフロンティアは支えていきたい。スタートアップフレンドリーなオフィスパートナーとして、成長速度と成功確率を上げることにコミットし、寄り添っていきたいと思います。クリエイティブで進化し続ける空間も提供もしていきたいですし、日本の現状に即していないような慣習を少しずつでも変えていきたい。2050年、その先の未来を見据えて、明るい未来を描けるような事業をつくっていきたいです。



 

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