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インタビューインタビュー

クリエイターの情熱を価値へ変換 DXでクリエイターのビジネスインフラを目指す

クリエイターの情熱を価値へ変換 DXでクリエイターのビジネスインフラを目指す
「情熱がめぐる経済をつくる」をミッションに掲げるMosh株式会社。クリエイターが個人の技術、知識、経験をサービスとして提供するCtoC(Consumer to Consumer/個人間取引)における事業をサポートするオンラインプラットフォームMOSH(モッシュ)を運営しています。共同創業者で代表取締役社長を務める籔和弥さんに、CtoCサービスにおいてDXを推進する意義や、今後の展望についてお話をうかがいました。

目次

Mosh株式会社 
共同創業者 代表取締役社長
籔 和弥氏

福井県出身。同志社大学卒業後、Retty株式会社の立ち上げ期に新卒第一期生として入社。アプリのプロダクトマネージャー、新卒・中途採用を担当し、事業成長に貢献。2017年に退社後、アジア・インド・アフリカなどをめぐる世界一周の旅を通じて日本におけるCtoCサービス事業に可能性を感じ、同年にMosh株式会社を共同創業。「情熱がめぐる経済をつくる」をミッションに、サービスECプラットフォーム「MOSH」を運営し、クリエイターの情熱を価値に変えるべく、多角的にサービスを提供している。

オールインかつワンストップで、クリエイターを支援する

貴社のサービス「MOSH」について教えてください。

MOSHは、個人で活動するクリエイターがCtoCサービスを販売する、オンラインプラットフォームです。2017年にサービス提供を開始し、現在は約6万5000名にご利用いただいています。予約システム、決済システム、動画の閲覧機能など、サービス販売に必要なシステムをワンストップで提供しています。

予約だけ、決済だけなど、機能ごとに特化したサービスは多いですが、MOSHでは必要な機能をオールインワンで提供し、個人で活動するクリエイターが手軽かつ安全にサービス販売できる環境を整えています。










どのように誕生したサービスなのでしょうか。

創業する前の2017年初頭、アジア・インド・アフリカなどをめぐって世界一周をした際に、個人同士が技術やサービス、物を売る商取引、いわゆるCtoCサービスを目にする機会が多くありました。

今でこそ日本でも知られるようになったAirbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)、東南アジアでは配車アプリGrab(グラブ)などが誕生し、広がり始めていたころです。

日本にも物を売るためのECプラットフォームはありましたが、技術や知識をサービスとして販売する場は少なかったため、世界のCtoCサービスから着想を得て「MOSH」を立ち上げました。

2017年7月の立ち上げから1〜2年は、InstagramのDMを使って私から数百名のクリエイターに直接アプローチして、フィードバックをいただきながら「MOSH」の導入を進めていきました。


今でこそCtoCサービスをサポートする企業は増えていますが、他社にはない「MOSH」ならではの強みはどこにあるのでしょうか?

機能面で言うと、先ほどお話ししたオールインかつワンストップで必要な機能を提供できる点は「MOSH」ならではの強みです。国内で近い内容のサービスを提供するプラットフォームは、今のところありません。

会社全体では「情熱がめぐる経済をつくる」という弊社のミッションそのものが、独自の強みだと考えています。

いわゆるSaaS企業やソフトウェアを提供する企業の多くが、業務効率化やワークフローの充実にフォーカスしたサービスを開発しています。その点、弊社ではクリエイターが持ってる情熱を価値に変え、事業を大きくしていくための支援という観点でサービス開発・提供をおこなっています。

情熱を注げるものを持つクリエイターが、「MOSH」を使ってやりたいことを実現し、「MOSH」を使うことで売上げが伸び、経済圏が拡大していく。会社として、その提供価値を磨いていきたいと考えています。


スキルとニーズの好循環が経済をつくる

「MOSH」のサービスについて教えてください。

クリエイターが提供するサービスを、弊社では3つのカテゴリーに分類しています。

まずは英語などの語学、コーチングであったり、ヨガなどのフィットネス関連など、オンラインでサービスやレッスンを提供するのがスキルシェア市場。鍼灸師、美容師、ネイリストなどのネット予約や決済システムを提供するオフライン企業向けのサービスEC市場。タレントなど芸能活動をおこなっているクリエイターがライブの動画を販売したり、オンラインサロンを展開したりする、エンタメの民主化市場です。

現在はスキルシェア市場の展開にフォーカスして機能を磨いています。その理由としては、自分の知識や技術を人に教えて報酬を得ること、情熱を価値に変えていくことは、実は多くの方が持つ能力だと考えているためです。

クリエイターが情熱を持ってスキルをシェアし、シェアされた人が情熱を受け継ぎ、インスピレーションを受けてクリエイターになったり生活に良い影響がでたり。個人間の取引における経済を好循環させていきたいと考えています。










クリエイターの情熱を価値に変えるサポートをすることで、クリエイターという職業自体の価値も上げていく狙いがあるのでしょうか?

そうですね。YouTuberが自己実現とお金を稼ぐ手段として認知された職業になったように、さまざまな業種のクリエイターを、きちんと稼げる立派な職業として確立していくことが大切だと考えています。

「MOSH」に登録しているクリエイターの中には、オンラインだけで月2,000万を稼ぎ出す方もいます。さまざまな業種のクリエイターが柔軟性の高い働き方を実現しながら、しっかり収入を得るために、価値あるサービスを適正価格で販売できる場を提供し、クリエイターの新たな生き方をつくっていきたいです。


当初想定していたクリエイター層と、実際に登録しているクリエイターに違いはありますか?

想定との違いがあるというよりは、もっと幅広い業種のクリエイターに使っていただきたいと思っていたので、その点でギャップは感じています。

現在は約200職種のクリエイターが登録していますが、まだまだ限定的な印象です。しかし、ひとつの業種から、想像もしていなかったジャンルが生まれるケースもあります。

例えばコーチングの場合、一般的にはビジネスパーソン向けのイメージがあると思いますが、不登校のお子さま向けや、発達障害のお子さまの保護者に向けたものなど、多岐にわたるジャンルのサービスが提供されています。他にも特定の大学のAO入試専門の家庭教師といった、ニッチながら需要の高いスキルを持つクリエイターが多く登録しています。


企業に属していると、大きな規模では経済性が成り立たないニーズもあると思うので、これは個人で活動するからこそ提供可能なサービスだと考えています。

今後は登録している業種の数を10倍、20倍と増やして、スキルとニーズがマッチングする機会を増やす努力をしていきたいです。


専門性と信頼度を可視化して「マッチングの土台」を創造

今後のサービス展開において、感じている課題についてお聞かせください。

個人だからこそ提供できるサービスの需要はありながら、CtoCサービスにおける信用が足りていない未成熟な市場である点は課題だと感じています。

専門性が高く、自分のニーズにフィットするクリエイターがいたとしても、名の知れた企業や、店舗を構える企業からサービスを購入したい方のほうが多いのが現状です。クリエイターの専門性と信頼度を可視化して、サービスを安心して購入していただくことは急務だと考えています。

ただし、評価制度によって各専門性を平準化したいわけではなく、購入したユーザーの期待に対して、価値のあるサービスを提供できているかを重要視して信用創造に挑戦していく方針です。

現在は、クリエイターの個人ページに購入したユーザーの口コミや評価を数値化して表示する機能を設けています。










クリエイターが活躍するために、ユーザーとのマッチングの土台づくりである信用創造は重要ですね。

そうですね。また、クリエイターがさらに活躍するためには、言語の壁も解決すべき課題です。海外でもニーズが高いサービスを提供できるスキルがあるにも関わらず、英語が話せないだけでチャンスを逃しているクリエイターも多くいます。

クリエイターの情熱をより大きな価値にしていくために、言語の壁を取り除くことは非常に重要なステップだと考えています。

現在はアーカイブ動画に字幕をつけて対応していますが、今後はライブ動画もリアルタイムで字幕をつけられるようになっていく予定です。

“クリエイターのビジネスインフラ”を目指して

2022年4月にシリーズBで8億円の資金調達を実施されていますが、資金の使い道としてはどのようなものになるのでしょうか。

開発体制の強化、新機能開発を中心に投資しています。

クリエイターの業種の増加に伴う、ジャンルに合わせた販売形態の追加などのワークフローの拡充。クリエイターが信用を獲得しやすい土台をつくる信頼創造の仕組みづくり。主に、この2軸に注力しています。

今後の事業成長に向けて、ベンチマークにしている企業がありましたら教えてください。

CtoCサービスを提供している企業は、全般的に参考にしています。

具体例を挙げると、グローバル企業ではECサイトプラットフォームの「Shopify(ショッピファイ)」さんやオンラインスクールや動画販売サイトのプラットフォーム「KAJABI(カジャビ)」さん、国内では「BASE(ベイス)」さんは、プロダクトづくりの参考にさせていただいています。

「MOSH」は今後、どのように発展していくのでしょうか?展望をお聞かせください。

単にサービスを販売する場ではなく、業務効率化するためだけのツールでもなく、“クリエイターのビジネスインフラ”という位置づけを目指して、今後もサービスの開発・提供をおこなっていきます。

また、事業規模を拡大していくために、受講生側の育成やコミュニティの運営など、クリエイターアセットを中心とした事業機会は日々生まれているので、他の事業会社との連携も含めて、事業支援やコンサルティングに中長期的に取り組んでいきたいと考えています。

クリエイターの情熱を価値に変え、その価値を最大化してめぐらせ、経済をつくるために、「MOSH」は今後もクリエイターを技術でサポートしていきます。



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