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インタビューインタビュー

コロナ禍で急成長の電話自動応答サービス スモールビジネスの業務改善を最先端のテクノロジーで支える

コロナ禍で急成長の電話自動応答サービス スモールビジネスの業務改善を最先端のテクノロジーで支える
1日100円から利用できる電話自動応答サービス(IVRシステム)『IVRy』(アイブリー)。誰しもが抱いたことのある電話への課題に向き合ったことで、このサービスは生まれました。2019年のリリース以来、約5,000アカウントを発行し、日本にあるといわれる99業種のうち約50業種の方々が愛用しています。プロダクトマネージャーの高柳龍太郎氏に、IVRyの活用方法や存在意義などをお聞きしました。

目次

株式会社IVRy
プロダクトマネージャー
高柳 龍太郎氏


株式会社リクルートコミュニケーションズに入社し、人材・日常消費領域の複数プロダクトで会員向けマーケティング施策を推進。2020年からはリクルート内の新規事業においてプロダクト戦略設計、機能開発を推進。2022年7月に株式会社IVRyへフルジョインし、新規プロダクト開発のかたわら、CRMマーケティング施策設計〜推進に従事。


低予算で使える電話の自動応答サービスを提案

まずは貴社の事業について教えてください。

高柳 私たちが展開するサービスは社名と同じ『IVRy』で、電話の自動応対サービスです。例えば、サポートセンターに電話をしたときに流れてくる音声の自動ガイダンスがありますよね。「〇〇の場合は1を…」というように目的別に誘導するものです。このようなサービスを、スモールビジネスや中小企業のみなさんにもご自身で設定してすぐに使い始めていただけるようにしています。月額サービス利用料が3,000円からなので、1日当たり100円でお手軽に始められます。従来は専用の販売業者さんが介入しなければならず、開発費で数百万の初期投資が掛かるようなこともあります。SaaSとして展開できるようになったことで、導入費用を大幅に圧縮できるようになりました。ご自身でウェブサイトからアカウントを発行してもらうだけで始められます。

自動応答サービス自体はかなり昔からあるシステムだと思いますが、それをSaaSで提供できるようになったことで、より利用のハードルが下がったんですね。

高柳 中小企業にとっては、電話の自動応答の導入はなかなか選択肢に上がってこないサービスだったと思います。大企業の方なら大きな予算を持って良いサービスが出た瞬間に使えるかもしれません。ただスモールビジネスや中小企業のみなさんがそのサービスを使うのは、5年後、10年後になってしまっていたのが実情だったと思います。 

電話対応をラクにしたい”というすべての人のニーズに応える

以前からあったサービスの市場に参入するにあたり、どのような市場調査や顧客調査を行いましたか?

高柳 様々なサービスを出していき、試していく中で見つけたという側面が大きいですね。例えば、“天気と気温で最適な服装を提案する”ウェブサイトなど、月1くらいで新しいものをどんどんつくっていたんです。その中で、出来上がったのが『IVRy』でした。

最初は、他のサービスと同じように、かなり簡易的なLPをつくって発信していました。広告出稿をしてみたときに、非常に多くのお客様から問い合わせをいただいたんですよね。「今すぐつくってほしい!」「これはどうやったら使えるんですか?」と。正直、我々も想定していなかったくらいの反響がありました。そのとき“電話の自動応答は人々が潜在的に課題に感じている、必要とされているサービスなんだ”と気付きました。我々は小さくいろんな形でサービスをつくり、実際にお客様に提供して、リアクションをいただくことの繰り返しで、ブラッシュアップしてきました。


貴社がそもそも自動応答サービスに着目するに当たっては、何か実体験があったのでしょうか。

高柳 代表の奥西の体験に基づいています。奥西が起業した直後は、いろんなところから営業電話や取引先の方とのやり取りなど、毎日のように大量の電話が掛かってきていました。当然、重要な電話もあるのですが、全部の電話を受けていると業務がその都度中断されてしまう。あまりにも電話が鳴りやまないので、途中から電話に出るのを諦めてしまったらしいんです。そんな中融資をしてくれるはずだった銀行からの電話を取り逃してしまい、電話による本人確認が取れなかったという理由で、事業融資の話が白紙になってしまったそうです。

営業電話が多い中で、取り逃してはいけない電話もあります。それが混在していて、解決する方法はないかと思ったんです。いろんなサービスを模索する中で、IVRyに辿り着きました。



日常的なお困りごとからビジネスが生まれたわけですね。現在では、SaaSを使った電話応対をするサービスは多くありますが、IVRyならではの側面はどのようなものですか。

高柳 様々な業種のニーズに対応した自動応答ができる点です。例えば、クリニック系なら予約や突発的なPCR検査のお問い合わせに対し、人が対応するか自動応対するか振り分けられるようにしています。一方で、薬局などは「日中は電話対応したいけど、営業時間外はどうしても受けられないから自動応対にしたい」という声があります。“電話対応をラクにしたい”というニーズは同じでも、やりたいことには違いがあります。それらのニーズに対しフィットするサービスを提供できたことが、業績を伸ばしてこられている理由だと自負しています。

操作性の面でも、20〜30代のネットリテラシーが高いお客様はもとより、大正時代から続く老舗の販売店を経営されているような高齢の方にも、ご自身で設定操作していただけているくらいカンタンな設計にしています。


お客様が設定することとしては、どういったことですか?

高柳 電話の自動応対の中で、どういうことをやりたいかルールを作成してもらいます。音声録音、SMSへメッセージを送る、電話転送、自動音声ガイダンスの4つの応対方法が使えるのですが、これらを自由に組み合わせていただくことになります。スモールビジネスや中小企業に最初に焦点を当てた理由はありますか?

高柳 日本の国際競争力は、2020年で34位。1990年代頃には1位だった時代もあったにも関わらず、今ではビジネス効率性は55位くらいです。

日本における企業の99.7%はスモールビジネスや中小企業と呼ばれるんですよね。そこの業務を効率的にできるようになれば、それぞれの企業が持っている価値をもっと発揮できるようになる。結果的に、それってすごく日本にとって大事なテーマだと考えています。


『IVRy』を通じ自然と最先端のサービスに触れられる

コロナ禍前にサービスをリリースされたかと思いますが、リモートワークも重なり需要が増えたのでは。

高柳 店舗系の企業はコロナ禍で一気に売上が落ちたときに、人手をそのまま確保し続けるのが難しくなってしまった。しかし、イレギュラーな状況下において電話での問い合わせが増え、電話対応はそれまで以上に必要な状況でした。人手不足をきっかけに、自動化のニーズが一気に高まった時期でした。コロナ禍を機に、DXやツールを使い業務を効率化していくことに対し、企業のみなさまがすごく前向きになったと感じますね。これまでDXというものに明確な予算をつけて取り組める企業はそれほど多くありませんでしたが、急激に増えてきたと実感しています。

本当は、コロナ禍であるか否かを問わず、電話の課題自体は普遍的にありました。実はビジネスにおいて潜在的に大きな課題だったと捉えています。電話応対は一回の受電で2〜3分の対応だとしても、それが一日数十件あれば1時間ほどの業務になることもある。少人数の企業の場合は、その1時間は本業、例えば接客などにも影響してきますよね。

テキストでのコミュニケーションが普及した今日、そしてこれから先も、「電話」というチャンネルを使ったコミュニケーションがなくなることはないでしょう。

御社のサービスを通じて、実際にどのように業務改善や集客力の改善が図れるのでしょうか。

高柳 IVRyを導入したことで「全体の8割の電話対応が自動化できた」とご報告いただいた企業もあります。また電話でのお問い合わせデータを溜める発想って、まだまだ持っていない企業が多いですが、このデータが蓄積できると、マーケティングが加速します。お客様から過去にどんな問い合わせがあったか、IVRyでは電話問合せの音声データが自動で残るので、例えば、電話をしてきた方に再来店を促すダイレクトメッセージを送ったり、キャンペーンのご案内をすることもできる。自然と自社や店舗の資産になるのは、大きなメリットだと思っています。「また来ていただきたい」「もっと満足していただきたい」という気持ちを、アクションに変えるためのベースとなるのが、データだと考えています。


実際に、顧客にはどのように活用されていますか?

高柳 ある店舗様は、お客様からお電話いただいた後に電話で折り返す代わりに、ショートメッセージの送信で完結していました。電話は、お客様が受電してくれるかどうかが分からないので、かけ直しが何度も発生してしまいがち。それが解消されることは、店舗もお客様もどちらにとってもハッピーな体験ですよね。

通話履歴を自動でテキスト化する機能も持っているんですね。さらに音声テキストを文字起こしして要約し、後から電話のやり取りの内容を振り返りやすくしています。それをサポートセンターやカスタマーセンターの振り返り分析に使っていただくケースもありました。ちゃんとデータを元に分析できるので、これまでの感覚ではなく事実をベースにして納得いく業務改善をしていらっしゃる企業様もありましたね。

産業廃棄物処理の企業や離島の診療所など、サービスを展開し始めた当初には想定していなかった業界からも使っていただけています。



電話口でよくある問合せ内容も把握できれば、ウェブサイトなどで展開することもできますよね。

高柳 「この質問に対して上手く回答できなかった」というデータを元に、「こう回答すればよさそうだね」という振り返りもできるでしょう。SaaSでご利用いただくことでデータが溜まっていき、課題を可視化できる。マーケティングをしていく上では大きなメリットですよね。

御社のサービスで実現したい最終的な目標はどのようなことか教えてください。

高柳 今、話題になっているChatGPTですが、当社でも電話での音声データを文字起こしして要約する面でその技術を使っています。本当にいい技術が世の中に浸透するのが、日本ではすごく時間が掛かっていたと思うんです。それがIVRyのような形でサービスを提供していくことにより、自然と最先端の技術をすぐにみなさまにお届けできる。そういう世界が、徐々にできているのかなと思います。老舗のお茶屋さんもそうですが、「こんな技術、使ったことないよ!」という方まで、サービスの技術を使い、より自身の業務をよくしていける。最先端技術を誰でも使いこなせるような形で提供することも、こうしたSaaSでのサービスを展開する企業の使命だと感じています。




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