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インタビューインタビュー

小売業界にデジタル革新! ”ユーザーファースト”な観点から小売業と生活者を結ぶ

小売業界にデジタル革新! ”ユーザーファースト”な観点から小売業と生活者を結ぶ
チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」を軸に、小売業向けSaaSを提供する2016年7月に創業した株式会社ロコガイド 。生活者のニーズに寄り添いながら小売業のマーケティング支援を行い、小売業と生活者の利便性を向上させている。人々に「毎日のくらしを、今よりもっと、かしこく、たのしくする『くふう』」を提供していきたいという木原宏樹さんに、同社がデジタル化で実現していきたいことについてお聞きしました。

目次

株式会社ロコガイド
営業副本部長 兼 事業企画部部長
木原 宏樹氏

2005年に㈱ライブドアに入社。事業企画組織でアドテクノロジーを軸としたメディアのマネタイズ事業に従事。その後、経営統合を経て2013年LINE㈱へ入社。LINEの広告商品企画を経験しつつ、企画責任者の立場で運用型広告プラットフォーム「LINE Ads Platform(現在はLINE広告)」事業の立ち上げ、並びにオーディエンスネットワーク事業の拡大を経験。2020年には㈱GA technologiesへ入社し、不動産領域のプロダクト、マーケティングを軸に事業を推進。2023年に現在の㈱ロコガイドに入社し営業本部副本部長兼事業企画部部長に就任。チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」の商品企画、小売業向けのマーケティング支援を行う。プライベートでは二児の父。

月間1600万人の生活者に利用されている「トクバイ」の強み

「チラシ」というアナログ販促をデジタル化した「トクバイ」について教えて下さい。

木原 「トクバイ」は月間で1,600万人*の生活者に利用頂いているお店のチラシなどを掲載している国内最大級のチラシ・買い物情報サービスです。「トクバイ」の掲載情報はウェブサイトとスマートフォンのアプリから閲覧が可能で、生活者の皆様が日常的に買い物に行くスーパーマーケットとドラッグストアに加えて、食料品店、酒屋・リカーショップ、スポーツ・アウトドア用品店、カー用品・自転車店などの業種も合わせると7万3000店舗以上*掲載しています。大手企業から地域に根ざした個人商店まで幅広く、一括でお得な情報をリアルタイムで得られるのが魅力です。アプリの提供は2016年7月に開始しました。“買い物を、かしこく、たのしく”を理念に掲げ情報の拡充と機能改善を進めた結果、2023年3月23日に累積1,000万ダウンロードを突破することができました。

* 2023年1月調べ

「チラシ」をデジタル化するというサービスを提供する上で、市場をどのように分析されていますか。   

木原 新聞を自宅で定期購読している人は年々減少しており、1997年には5,300万部以上あった発行部数も最近では「3,000万部割れが目前」で、生活者がチラシを手にとって見る機会が減少している状況です。しかし、小売業が販売している商品は日常生活で常に必要な物ですし、生活者は良い商品をできるだけ安く買いたいのでニーズも無くならないと考えています。時代の変化やユーザーが接する媒体に応じて「チラシ」の見せ方は変化していかなければいけないと思います。  


チラシアプリは複数ありますが、トクバイが支持されているのはどのような理由なのでしょうか。

木原 大きく4つあります。①「チラシ」が実際に手で紙をめくる感じでサクサク見られたり、お得な情報を見逃さない「お気に入りのお店をフォロー」や「買い物メモ」などの機能が充実しているなど「ユーザーファーストなUI/UX」。②天候や急な相場の変動にも対応した「リアルタイム性」のある情報が届くこと 。③各ユーザー範囲において、多様な業態の店舗の情報が網羅されているという「情報網羅性」。④旬の食材を使ったレシピやくらしに役立つ情報を紹介したり、ユーザーの様々な声にこたえる「コンテンツ力」 。紙のチラシをチェックする動作をアプリでも体験できるというもので、チラシの中で欲しい商品を長押しし、チラシ上に赤丸をつけ「買い物メモ」に保存できるんです。こういった遊び心を持ってるところは「トクバイ」のユニークなところですね。

このようにリアルで大切な要素をデジタル上で再現したり、遊び心があるところが「トクバイ」の強み 。ユーザーの中心は消費意欲の旺盛な働く女性・ファミリー層で、30代、40代の共働き世代から50代の方々にもご利用頂いています。仕事帰りやお子さんの送り迎えなど生活動線の中での利用も多く、90%以上のユーザーが週2回以上、約50%のユーザーが週5回以上使っている*というデータもあり、日常生活に溶け込んでいます。

*2023年9月ユーザーアンケートより


幅広いユーザーを中心に利用が進んでいるんですね。小売業側にはどんなメリットがありますか。




















木原 折込チラシの閲覧単価に比べ圧倒的にコストを下げつつ紙のチラシには載せきれない商品の数々を掲載したり、日替わりセールなどタイムリーな情報を発信できます。また、折込チラシを出稿する場合は折込み作業の数日前にチラシを完成させなければいけませんが「トクバイ」はリアルタイムで情報更新ができるので天候や急な相場の変動にも対応可能。さらには、割引・値引きクーポンを配布することにより新規顧客やリピーターを獲得し売上アップにつながるケースもあります。セール情報やクーポンに加えて売り場スタッフの顔写真入りで商品を紹介するなどの情報発信を続けたお客様もいらっしゃいます。そのような施策を含め様々な取り組みを試行錯誤いただいた結果、「トクバイ」内のアカウントで約3万人のフォロー数を獲得し、週間閲覧数も増加することに成功しました。


生成系AI技術を用いて「ユーザーファースト」なサービスを展開

生成系AIの技術を活用した新しい機能を追加したと聞きました。

木原 ChatGPTで話題のOpenAI社によるAPIを使って、ユーザーにぴったりなレシピと食材の買い物提案を行う『トクバイ AI プランナー』を2023年10月に実装しました。4つの選択肢からその日の気分でテーマを選ぶだけで、レシピを複数提案します。レシピ毎に調理時間が表示されていたり、調理に必要な食材をお得に購入できる近くのお店も同時に紹介しているので利用者からは「とても助かる」と喜びの声を多数頂いています。AIに触れたことのないユーザーにも優しいUI/UX設計となるよう、トクバイ新米スタッフキャラクター「トックー」とチャットする仕様となっており、「問いに対する答えを選択するだけ」でレシピを提案してもらえます。お手軽なのでぜひ1度体験してみて下さい。 

 

アプリの新機能にとどまらず、ユーザーの声を元にリアルな場での販売促進や支援も行っているそうですね。

木原 2022年から食料品を取り扱っているスーパーマーケットまたは小売店を対象に「全国スーパーマーケット おいしいもの総選挙」を開催しています。全国から我が店自慢の商品がエントリーし、「トクバイ」ユーザー、及び一般生活者が、商圏に関係なく「食べたことがあり、ぜひおすすめしたい!」という商品はもちろんのこと「これは食べてみたい!」と思う商品に投票します。第2回となった2023年はエントリー数146商品、投票数は12万6313票にものぼり、その地域ならではの食材を使った商品や生活者が初めて知るような特産品が多数受賞しました。物価高の昨今だからこそ「タイパ&コスパを重視した商品」「“プチ贅沢” が味わえる商品」が人気を博し、小売業の皆様にもユーザーにも喜んで頂けたので長寿企画になって欲しいと願っています。


「店舗」というリアルの場を介すことは、デジタル化する上でネックになるのではと思いますが、いかがでしょうか。

木原 リアル店舗を挟んだDXの難しさのひとつに効果計測があります。弊社としては「トクバイ」ユーザーの来店計測を積極的にしていきたいと考えていますが、そのためには位置計測や来訪を検知できるビーコン(Bluetoothの信号を使った端末)を店舗に設置する必要があります。様々な事情もあり実際に設置できているのはまだほんの一部なんです。ユーザーの流れが正確に掴みきれないのはもどかしいですね。 

将来的にはチラシがユーザーに何回見られたかという表面上の数値だけではなく、「トクバイ」だからこそ取得できる深いユーザーのニーズを可視化していきたい。他の店舗でどういう属性のお客様が多いのか、深夜帯には何を買っているのかといった隠れたニーズを見える化することで、企業課題に対して精度の高いご提案も可能になるはずです。我々が多種多様な小売業の皆様とお付き合いがあるからこそ実現できることだと思っています。




グループ会社のシナジーでユーザーの生活の質を底上げ

木原さんは違う業界から御社に入ったそうですが、理由がありますか。

木原 前職では不動産取引の包括的なデジタル化に取り組んでいました。その前はLINEでアドテクノロジーを活用した広告商品企画、運用型広告事業の立ち上げに携わっていました。ロコガイドに興味を持ったのはリアルとデジタルが交わるところ。両方のビジネスでの経験を活かし、これからロコガイドで、生活者がより賢く、楽しくくらしの選択ができるためのサービスを展開していきたいと思っています。


 木原さんは、企業がデジタルをどのように活用していくべきだとお考えですか。

木原 デジタル化するのは手段なので目的にならないように留意すべきではと考えています。トクバイのメインコンテンツとしてデジタルチラシがありますが、生活者に対して我々が色んな「くふう」を提供して、ユーザーに新しいひらめきだったり便利になる世界観を作ってもらうことが理想です。グループ会社では「トクバイ」以外にも家計簿アプリ「Zaim」や住まい事業、結婚関連事業なども行っています。生活者の人生に大切なタッチポイントにまつわるサービスを提供しているので、グループの中で連携しシナジーを生み出していけるよう邁進していきます。


最後にDXを通じて実現したいことを教えて下さい。

木原 「DX」 という言葉がひとり歩きしている現状だからこそ、ユーザーの期待に応える手段として、DXの原点である「ユーザーファースト」を徹底して突き詰めることが良い結果を生み出すことにつながると信じています。




 

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